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カーコラム「イタリアンデザインをまとったアメリカンマッチョ 優雅にして凶暴なる野獣 " デ・トマソ・パンテーラ(DE TOMASO PANTERA "」

 デ・トマソ・パンテーラ(DE TOMASO PANTERA)は、流麗なイタリアンデザインのボディにフォード製V8エンジンを搭載した、極めて魅力的なエキゾチックスーパーカーである。

 1960年代後半、当時フォードの副社長だったリー・アイアコッカが、自社のブランドイメージ向上のために「フォードGT40のイメージを踏襲するスポーツカー」のプロジェクトを企画、そのプロジェクトにアレッサンドロ・デ・トマソを召喚したことからパンテーラは誕生した。

 このプロジェクトの最大の目標は、徹底的にコストダウンを推し進め、大量生産による廉価なスポーツカーを売り出すことにあった。

 デザインは、当時デ・トマソ傘下で、フォードとも密接な協力関係にあったギア社のトム・ジャーダが担当し、ボディ構造は量産性に優れるモノコックが採用された。

 サスペンションはスポーツカーの定番とも言える、ダブルウィッシュボーン式を前後に採用している。

 エンジンはフォード製の351CDIユニット、通称「クリーブランド」を搭載。排気量5.8リッターの水冷V型8気筒OHVエンジンは、最高出力330馬力、最大トルク45㎏-mを発生するが、特にチューニングされたものではなく、コストダウン重視でほとんどノーマルの状態でミドシップに搭載された。

 その結果、最盛期の1972年には2700台以上を販売し、この種のスーパーカーとしては異例の大ヒットとなった。

 この恐竜のようなスーパーカーは、激動のオイルショックをも生き残り、1990年代まで生産が継続された。


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