カーコラム 「三菱A73型ランサーの想い出」
三菱のA73型ランサーは非常に思い出深いクルマである。
A73型ランサーのステアリングを始めて握った時の印象は「ともかくキビキビ走るクルマ」だった。
ステアリングの応答性はクイック(ラック&ピニオンではなくRB/リサーキュレーテッドボール)且つ正確、切り込み量に応じてノーズが入り、ノンアシストでもステアリング操作は軽かった。
ブレーキの効き・フィールも良好。軽いのでともかく踏めば止まった。
これはランサーだけの問題ではなく、この時代の日本車全般に言える事だが、ブレーキ全体のキャパシティが小さいため、連続使用での対フェード性にはやや難があったが、パッドを耐フェード性の高い競技用に交換すれば問題解決だった。因みに、当時使っていたのはフェロードDS11。こいつは「焼き」さえ完璧に入れれば、後はローターが真っ赤になっても効いてくれるので安心だった。
リヤブレーキはディスクではなくドラム式なので、サイドターンを多用するジムカーナやラリーでは使い勝手が良かった。
A73A型ランサーには、1600cc、1400cc、1200ccの搭載ユニットが用意されていたが、800kg台の軽い車重を引っ張るには1200ccや1400ccのレギュラーモデルでも動力性能は必要にして充分だった。
その昔約半年ほど1974年式の1600GSRに乗っていたことがあるが、三国製ソレックスツインキャブで武装したサターンエンジンを軽量コンパクトなボディに搭載したこのクルマはまさに「羊の皮を被った狼」。
純正ラリーキットのサスペンションと純正スポーツオプションのLSDを組み込めば、即実戦可能なほどそのポテンシャルは高かった。
さらに、思い出深いのはその燃費、キャブのセッテイングさえ決まっていれば、元気よく走っても市街地で10km/ℓを割ることは少なかった。
やはり、人間もクルマも軽量な方が健康・健全、すべてに好影響を及ぼすのである。ハイブリッドもEVも結構だが、まずはいらない過剰装備を外す事から始めるのが常道ではなかろうか。
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