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GIGNの電撃作戦「1994年 "エールフランス8969便ハイジャック事件"」

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以下、wikipedia( https://qr.paps.jp/ADyWS )より引用。

 1994年12月24日11時15分。アルジェリアのアルジェにあるウアリ・ブーメディアン空港からフランスのパリオルリー空港へ向かうエールフランス8969便は、乗客220人と乗員12人を乗せ離陸の準備中、突如、アルジェリアの大統領警護警察を装いが乗り込んできた4人の男たちにハイジャックされた。

 男たちは窓のブラインドを閉じるように指示し、乗客のパスポートをチェックすると所持品をビニール袋へ入れるように指示した。

 定刻になっても離陸の兆候が見えないエールフランス機に不審を抱いたアルジェリアの空港当局は、「ニンジャ(Ninja)」と呼ばれた軍の特殊部隊をエアバス機の周囲に配置した。

男たちは「アルジェリア航空」のロゴの入った作業服を脱ぎ捨て、隠し持っていたAK47、UZI、手製の手榴弾を振りかざし自らがハイジャック犯であること明かした。

 彼らは20本以上のダイナマイトを機内に持ち込んでおり、ダイナマイトはコックピットに1束、客席中央部に1束置かれ、起爆装置で繋がれていた。ハイジャック犯は客室係りの制服に着替え、乗客を男女別々の座席に分け、客室乗務員も含め女性客にはショールを被らせた。

 アルジェリアの内務相が空港に到着し、ハイジャック犯との交渉が始まった。犯人グループは機長を通じイスラム救国戦線(FIS)の2人の指導者の釈放を要求した。

 FISは1992年以降、アルジェリアでは非合法組織と認定されており、指名された2人も自宅軟禁の状態にあった。内務相はもし政府と交渉したいのなら子供と老人をまず解放するように説得した。

 その頃、フランス内務省でも危機管理チームが発足していた。エドゥアール・バラデュール首相や政府高官は全員クリスマス休暇から呼び戻された。特殊部隊を使った強攻策を主張するアルジェリア政府に対し、フランス政府は苦しい外交交渉を続けた。

 ハイジャック勃発から2時間後、機長を通じて旅客機を取り囲むアルジェリア軍特殊部隊を撤収させ8969便を離陸させるよう要求したハイジャック犯は、それが拒否されると離陸を許可しなければ機体を爆破させると警告した。

 乗客の中にアルジェリアの警官が一人いることに気づいたハイジャック犯は、その警官を射殺し滑走路に投げ捨てた。さらにハイジャック犯に対し対決的な姿勢をとったとして乗客の一人であるアルジェリアのベトナム大使館勤務のベトナム人男性を射殺した。

 フランス政府は機体がフランスのもので乗客の多くがフランス人であるとして、アルジェリアに対してフランスの特殊部隊を送ることを提案するもアルジェリア政府はそれを拒否した。

 フランス政府はフランス国家憲兵隊治安介入部隊(GIGN)の投入を決定、スペイン政府からGIGNをアルジェリアに一番近いたスペインのマヨルカ島に出動させる許可を得た。GIGNはパルマ・デ・マリョルカ空港に移動する間にエアバスA300の内部構造を把握・分析し、急襲作戦を練り上げた。その頃、アルジェリア政府は最終的にフランスの協力を拒否する通告をしてきた。

 翌25日、パリに戻ったバラデュール首相はここでアルジェリアの武装イスラム集団に潜入させている諜報員から、このハイジャックの真の目的はエールフランス機をパリ市街に墜落させることである旨の緊急連絡を受けた。

 乗客の一部を解放するよう促す交渉により女子供、病人の63人が解放されたが、依然170人以上が残されていた。ハイジャック犯はアルジェリア人乗客のさらなる解放には同意したが、フランス人乗客の解放は許可しなかった。

 アルジェリア当局はナイトビジョンを用いて機内のハイジャック犯の首謀者を特定、その母親を連れてきて説得工作を開始した。しかし、それが犯人の怒りを買った。激高したハイジャック犯は離陸を許可しなければさ30分おきに乗客を殺すと警告、しかしそれでもアルジェリア当局が離陸を許可しなかったため、3人目の犠牲者としてアルジェリアのフランス大使館に勤めるシェフが殺害された。

 その事態を深刻に受け止めたフランス政府は、アルジェリア政府に対してエールフランス機をフランスに向け離陸させるように圧力をかけた。その結果、ハイジャック発生から39時間経過してやっと8969便の離陸の許可が下りる。しかし、待機の間、補助動力装置を稼動させていたため、8969便にはパリまでの燃料は残されていなかった。犯人側は「マルセイユまで飛べるか」と機長に確認、マルセイユ・プロヴァンス空港まで飛行しそこで給油することとなった。

 12月26日深夜、8969便はマルセイユに着陸しようとしていた。しかし、そこには既にGIGNが待機していた。GIGNはマヨルカから既にマルセイユの空軍基地に展開を終えており、突入作戦の訓練も完了し待機していた。3時33分、8969便はマルセイユ・プロヴァンス空港に着陸、フランス当局は故意に8969便を空港ターミナルから遠い空港の隅に誘導した。

 ハイジャック犯は27トンの燃料給油を要求、しかしマルセイユからパリまでは9トンもあれば十分であり、燃料を満タンにした8969便をパリ中心部に突入させるという犯人側の狙いが明確になった。それ以前にフランス当局はマルセイユ空港から8969便を留め置くことを決定していた。

 午前8時、犯人側は9時40分までに離陸させるように要求、フランス当局は給油だけでなく食糧や水の補充などで時間を稼いだ。交渉人は犯人側に機内で記者会見し政治声明を出したらどうかと提案すると犯人側もそれに同意。マスコミをいれるために機内前方を空けるように説得したが、これはGIGNの突入のため乗客を機体後部に集めておくための配慮だった、その間、GIGNは空港職員を偽装して接近、8969便のドアが完全にロックされていないことに気づいた。

 GIGNは窓に盗聴器を設置、それにより犯人の位置関係を完全に掌握した。GIGNは陽が落ちるのを待った。マスコミが現れないのでハイジャック犯は怒って機長に8969便を移動させるように命令し、機体を管制塔やターミナルの方に移動させた。これはGIGNには予想外の事態だった。GIGNは急遽、編成を組み直し、狙撃手を管制塔に配備しコックピットを狙わせた。11人ずつのチームが2つ編成され、それぞれが左側後部ドアから突入、さらに8人編成の第3のチームは右側後部ドアから突入する。犯人たちをコックピットに隔離するための作戦だった。

 午後5時、当局は給油作業を一方的に中止、怒った犯人側はコックピットに来て4人目の犠牲者を物色し始めた。犯人たちはドアを開け、滑走路に銃を乱射、機内アナウンスでコーランを詠み始めた。さらに交渉人が管制塔にいると思った犯人側は管制塔に向けてコックピットから銃を乱射し始めた。これで突入が決まった。

 タラップが機体に近づくと、それに気づいたハイジャック犯がGIGNに発砲、その時、2チームが後部ドアから機内へなだれ込んだ。GIGNの催涙弾・閃光手榴弾が炸裂、ハイジャック犯の手製手榴弾の1つが爆発したものの被害は軽微だった。

 GIGNは人質となっている乗客に「伏せてろ」と指示、ファーストクラス付近で激しい銃撃戦が始まった。その間に副操縦士はコックピットの窓から飛び降りた。これで障害物がなくなり管制塔から狙撃手がコックピットの犯人をピンポイントで狙撃することが可能となった。。

 GIGNは乗客を機体後部の非常用シュートで脱出させた。この時点で4名の犯人のうち3人は射殺され、最後の1人はコックピットに居た。銃撃戦は20分続いたが、犯人は弾薬を撃ちつくしそれで運が尽きた。最終的にハイジャック犯4名は全員射殺された。機内にいた154人のうち、乗客13人、乗員3人、GIGN隊員9人が負傷した。


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