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エッセー「サム・ペキンパーの金言」

 「わらの犬」、「ワイルドバンチ」、「戦争のはらわた」、「ゲッタウェイ」といった数々の名作を生み出した巨匠サム・ペキンパー監督は、かつてとあるインタビューの際、「なぜあなたは暴力をテーマにした作品を撮り続けるのか?」というインタビュアーの質問に対し以下のように答えた。

 「暴力は避けようとしても向こうの方からやって来る。その時、いわれなき理不尽な暴力に屈するか、それとも戦うか。あなたならどうする?」

 人間性の本質は悪である。性善説など信じない。人間の心の本質は悪魔であり神ではない。

 特に人心が乱れ、政治家から一般市民に至るまで「今だけ、金だけ、自分だけ」を是とする現代日本においては、かつては考えられないほど凶悪且つ残忍な事件が日々ニュースを賑わしている。

 クルマを運転すれば正気を失ったドライバーの煽り運転に見舞われ、電車に乗れば隣席に座ったストレス過剰の営業サラリーマンに絡まれる。そして恐ろしいのは彼ら、彼女らがすべて裏社会や反社会の人間ではなく、普通の一般人であることだ。

 今や日本は1億総発狂時代である。理不尽な暴力は避けても避けても向こうからやって来る。その時、敢然と怯むことなく対処しなければ、自らの命や愛すべき家族の命をも危険に晒されることになるという厳しい現実をしっかりと肝に銘じておくべきである。

 

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