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Essay

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鳴海邦彦が思いつくままに、そして気ままに綴るフリーエッセー。
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#松田優作

エッセー「" 探偵物語 " 松田優作=工藤ちゃんは永遠のヒーローである。」     

松田優作主演「探偵物語」、お馴染み取調室のシーン。 成田三樹夫演じるバーニー服部こと服部刑事が、例によってトンカチで万年肩こりポンポンと叩きながら、松田優作演じる工藤俊作を尋問中。 「工藤ちゃ~ん、あんたがやったんだろ? そのなんだ、ほれ、このギラギラ、ギラギラっとしたナイフ、怖いね~、これだよ、このナイフでグザっと?」。 「だからねバーニー、なんど言ったらわかってくれるわけ? わたしが現場についた時はすでに死んでたって言っているでしょ。まったく頭悪いんだから~」。

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ショートエッセー「男の饗宴 沢田研二・内田裕也・松田優作」

まさに夢の饗宴である。 沢田研二が内田裕也のために作曲した" きめてやる今夜 "を二人が熱唱、そこに松田優作が加わる。 男の色気、艶、華、そして危険な香りと刺すような毒気、男が男であった懐かしき時代の残照。

エッセー「いま、男は”大藪な奴"を目指す」

 虚々実々、何が善で何が悪なのかもわからない混迷の時代。  ともすれば狡猾な為政者や権力者のプロパガンダに洗脳され、自らのアイデンティティすら失いかねない。そんな時代だからこそ重要なのがMeism(ミーイズム)である。  何があってブレない自分軸、自分こそが世界の中心、自分こそが神、本能と欲望の赴くまま自らの欲することをなす、それこそがMeismのドグマである。そしてMeismの権化とも言えるのが"蘇る金狼"の主人公 朝倉哲也なのである。  唇に微笑み心に拳銃。デモーニ

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エッセー「松田優作に見る " 男の美学 "」

「最も危険な遊戯」、「殺人遊戯」、「処刑遊戯」から構成される遊戯三部作は、今なお日本映画史上に燦然と輝く不滅の金字塔である。  遊戯三部作は、それまでの日本映画が最も不得意としてきたキャラクターである「プロの殺し屋」を、リアルに描く事に成功した唯一無二の作品群である。  松田優作という稀代の役者、鬼才・村川透の演出、仙元誠三の斬新なカメラワーク、大野雄二のジャジーな音楽、そのどれ一つ欠けてもこのシリーズの成功はなかった。  「殺人遊戯」冒頭の回想シーンで流れるのがこの曲、松田優作が歌う' 夏の流れ ' である。  殺しの手引きをした秘書(中島ゆたか)をクルマの中に残し、朝もやの立ちこめる埠頭に一人消えてゆく鳴海昌平の後ろ姿。  これをカッコいいと言わずして何をカッコいいと言えばよいのか。  強くなければ生きていけない。優しくなければ生きる資格はない。  男・漢、オトコたる者かくありたい。

エッセー 「70年代末期を駆け抜けた松田優作の異色作 " 俺達に墓はない "」

 松田優作主演の東映映画 " 俺たちに墓はない " は、ヒット作となった遊戯3部作(最も危険な遊戯、殺人遊戯、処刑遊戯)に続いて製作されたクライム・アクションである。  予告編では、あたかも遊戯シリーズと関連がありそうな思わせぶりのコピーが踊るが、実際は全くの別作品である。  松田優作、志賀勝、岩城滉一、山谷初男といった強烈な個性の主役・準主役もさることながら、内田稔、石橋蓮司、阿藤海、山西道広といった一癖も二癖もある脇役、そして竹田かほり、山科ゆり、岡本麗、森下愛子(友