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Essay

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鳴海邦彦が思いつくままに、そして気ままに綴るフリーエッセー。
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2024年4月の記事一覧

ショートエッセー 「バジリコ部長」

前職の営業部長M氏は人呼んで「バジリコ部長」。 全身からスゥイートバジルの香りが漂う「歩くイタリアレストラン」。 最初の頃はバジルの香水でも使っているのかと思っていた。 しかし、たまたま彼がトイレで「大」をした後に入ってしまった個室でびっくり! なんと強烈なバジルの香りが漂っているではないか。 そう、驚いた事にバジル臭の源は、なんと彼の体内だったのである。 後に判明した事実によれば、彼の奥様が「バジルは健康に良い」という雑誌の記事を読んで以降、和食、洋食、中華を問わ

再生

ショートエッセー「追想 千葉真一」

キーハンターで幼年期を過ごし、東映カラテアクション映画で青春時代を過ごした自分にとって、千葉真一はブルース・リーと並ぶ人生の師であり、憧れである。 そんなグレート千葉と初めて会ったのは今を遡ること23年ほど前の2001年のこと。当時働いていた香港系の外資系企業のとある女性を通して、グレート千葉と野際陽子さんとの間に生まれた長女(剣舞アーチスト)を紹介されたのがきっかけだった。 初見は今は無き六本木の旧防衛庁横のクラブ「エロス・グロッソ」の隣にあった、日本が誇るハリウツドSFX界の巨匠スクリーミング・マッド・ジョージが内装を手がけたカフェバー(名前は忘れた)。 物凄いオーラと共に現れたグレート千葉は、まさにグレート千葉(なんのこっちゃ?)。初対面の挨拶もそこそこに、ただひらすら一方的に熱く熱く語ること凡そ1時間、「それでではまた、ごきげんよう!」再び固い握手と共に颯爽と店を後にした。

ショートエッセー 「追憶 青山プエブロ」

 かつて表参道 国道246 南青山5丁目交差点近のビルの3階に店を構えていたスペイン料理の老舗 ”プエブロ青山 " 。数年前、惜しまれながらもその長い歴史に幕を閉じたが、この店には大学時代から足掛け30年以上通った。  まだ日本に本格的なスペイン料理店がわずかしか存在しない時代に誕生したプエブロのパエージャは唯一無二、まさに至高の逸品だった。  私見だが、未だプエブロのパエージャを超えるものは存在しない。今一度あの絶品を味わいたいものだ。

再生

ショートエッセー 「映画史上最もクールな銃撃戦 ”THE MATRIX”」

映画史上、最もカッコよくスタイリッシュな銃撃戦シーン。マトリックス以前かマトリックス以後か、この映画により歴史は変わった。 The coolest and most stylish gunfight scene in the history of cinema. Before or after The Matrix, history was changed by this film.

エッセー 「津久井湖 沼本ワンド カマキリ事件」

旧友のKはカマキリが大の苦手。  その昔、津久井湖が減水して沼本ワンドがほとんど干上がってしまった事があった。  そのため沼本旅館のボート乗り場は遥か沖合いとなり、たどり着くまでには葦・雑草が生い茂る湿地を歩かねばならなかった。  事件はKを先頭にボート乗り場に向かっていた時に起こった。  因みに、Kはかなりの巨体であり全ての動作はスローモー、否、優雅だった。  プラノのタックルボックスをぶら下げ、ヨーロッパ貴族のピクニックのように前方で優雅に歩みを進めていたKが急