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Essay

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鳴海邦彦が思いつくままに、そして気ままに綴るフリーエッセー。
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2024年3月の記事一覧

ショートエッセー 「神」

 神は気まぐれで全てを与え、気まぐれでその全てを奪う。  神は人間の尺度でいうサディストではない。残酷なまでに無垢なのだ。まるで赤ん坊が笑いながら小さな昆虫をバラバラにするように、自らが創造した人間の一生を弄び、飽きればボロボロにして捨てる。  しかし、神にも弱みがある。それは自らの完全なるコピーである人間を作ってしまったこと。人間が自らのうちにある神性に気づき、覚醒した時、創造主である神をも超える存在となる。  それをわかっている神は、天使と悪魔を造り人間の心を幻惑す

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ショートエッセー「Isle of Man TT(マン島TTレース)」

地球上では、1年に一度だけ人が風になる。 " The Isle of Man Tourist Trophy Race(マン島TTレース) " は、英国王室の属国であるIsle of Man(マン島)の公道を封鎖して行われる世界一危険でエキサイティングなモーターサイクルレースである。 その歴史は古く、起源は20世紀初頭の1907年まで遡り、世界最古の議会で『青空議会』としても知られるマン島議会「ティンワルド」が制定した公道閉鎖令に基づき公道を閉鎖して行なわれる。 競技は伝統的に5月最終週から6月第一週に開催され、島の南東部にある首都ダグラスを起点として、北東海岸部の町ラムゼイを経由してスタート地点まで戻る一周60.7kmの公道コースで争われる。 今年も、高低差396m、200を超えるコーナーが待ち構える世界一危険な一般公道を、命知らずのライダー達が平均193km/hを超えるスピードで駆け抜ける。

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ショートエッセー「究極のラインどり」

プロとアマチュアとの圧倒的な違い、それは"確信"を持って行動するか否かである。 地球上で最も危険な公道レース「マン島TTレース」を戦うライダー達が繰り広げる一見無謀とも見えるミリ単位のラインどりは、自らを信じ確信と自信を持って行動するプロフェッショナが見せる究極の神業なのである。