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Essay

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鳴海邦彦が思いつくままに、そして気ままに綴るフリーエッセー。
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2023年5月の記事一覧

ショートエッセー「すべての因果は巡る」

 世の中、自分のことを知っている人間よりも知らない人間の方がはるかに多い。  物凄い数の友人・知人がいると豪語する者でも、地球規模で見ればその数は全人口のほんのわずかに過ぎない。  が故に自分は所見の相手に対峙した際には常に敬意と畏怖の念を持って接するようにしている。  翻ってみれば、日本人ほど見てくれや年齢、人相、風体、そしてなによりも肩書で人を判断する輩が多い国は例に見ない。  その手の輩は、いずれ致命的な判断ミスをおかし、自ら墓穴を掘ることになる。  取るにな

ショートエッセー「肉食獣は緊張しない」

 Hand to Hand、つまり素手での戦闘においては常に前に出ることを考える。  相手の攻撃を受け・かわしながらも常に前に出る。  体幹、すなわち体の中心軸をブラさず、常にリラックスした状態で柔軟且つ臨機応援に敵の動きに対応することが肝要。  素手での戦闘においては緊張することは敗北に繋がる。草食獣は緊張した瞬間に肉食獣に捕捉される。  肉食獣は緊張しない。

エッセー「国境の街 ヴァンテミリア」

 ニースから列車でわずか30分ほどでフランスとイタリアの国境の町ヴァンテミリアに着く。  イタリア語で"ヴァンテミリア"、フランス語で"ヴァンテミーユ"。  ここは立派にイタリア。リグーリア州インペリアルに属するエリア。  夏のリゾート期間以外は閑散としており、日本人の姿もほとんど見かけない。だからここが好きだ。  ニースやモナコ滞在中は必ずふらっと訪れ、馴染みの店でシーフードを食しながらリグーリアの辛口の白ワインを楽しむのが常。  ニースからもモナコからも30分程

エッセー「ミラノの運河 ポルタ・ジェノバ」

   Porta Genova(ポルタ・ジェノバ)はミラノのゾーン6行政区画内にある。最寄り駅は地下鉄のポルタ・ジェノバ駅。  「Porta Genova」とは「ジェノヴァ門」の意味。  この地区は、ミラノの古いスペイン城壁の城門、現在はカントーレ広場にあるジェノヴァに続く門にちなんで名付けられた。  ポルタ・ジェノバは近郊の水の要所とミラノ中心地とを結ぶため中世の時代から造られ始めた人口水路"ナヴィリオ運河”で広く知られるが、現在ではかつての港Darsena(ダルセ