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9.國部龍太郎 その人とvol.3 -エナメルハート-

11月もnoteを書ける幸せ。感謝。

さて。
noteユーザーは分かると思うが、書く時まず初めにタイトルの上に表示する「見出し画像」というものを登録する。
登録しなくても良いし、記事に関係無い画像をなんとなく貼り付けるだけで良いのだが、これを選ぶのが個人的には楽しい時間だ。
特に本シリーズは過去の自分の写真を載せたいなと思うのだが、昔のアルバムを探って思い出に耽るあまり、気付くと結構時間が経っている。
そして他の人が映っていない自分だけの写真がほぼ無かったりするので、結局今回も「なんとなく」でテンプレートの画像を登録してしまった。

関係無いが、昔の写真を見返している時、1枚の写真が持つ「思い出」としての価値が今と昔で大きく変わったなーとふと思った。

例えば今なら、お店で料理が運ばれてきた時、1mmでもテンションが上がったら無意識の内にスマホで写真を撮る。
ただしSNSにアップすることはあっても、振り返って見ることはほぼ無い。
何かのきっかけで振り返っても、いつどこで撮ったかも分からない、大量にある料理の写真なんてスルーして、誰かと写っていたり、懐かしい風景とかに目が留まる。
目に留まったとしてもほとんどは思い入れも無い写真だから、「精査しろ」と言われたら10枚中1枚残るか残らないか。
でもそれが「今の」普通
分母(撮ってる枚数)が大きいからそれで十分で、100枚撮っていれば10枚くらいは思い出の写真として残っていく。

対して今から20年ほど前、僕の学生時代には当然スマホなんて存在しなかったし、カメラを持ち歩く習慣も無かったので写真の数自体が少ない、というか今と比べたらほぼ無いに等しい。
逆を言えば、昔の写真は入学式や修学旅行や家族旅行とか、自分にとって特別な日の風景だけなので、写真の1枚1枚が当時の自分の感情とか性格とか、なんなら匂いまで鮮明に思い出せるほどに懐かしく、見てるだけで自然と体温が少し上がる。

アホみたいにワックスで髪の毛を立てていた文化祭、初デートの時に撮った見るも無惨なプリクラ、綺麗に横一列に並んで全員真顔な家族の集合写真。
どれもこれも小っ恥ずかしくて、絶対人には見せたくないけど、捨てるに捨てられない特別で大切な思い出たち。

でも、そんな特別な瞬間ってイベントの日だけではなくて、何気無い日常の些細な時間の中にも沢山あったと思う。
そんな思い出たちを今隅々まで振り返られないのは寂しいなぁと思ったり。
今の子達は大人になっても、スマホの写真でいつでも子供時代にタイムスリップできるんだろうなぁと羨ましく思ったり。

今と昔どちらが良いとか悪いとか、ジジイみたいなことを言いたいわけではなく、撮るのがヘタクソでも良いから、これからも日常の特別な瞬間は逃さず写真に残しておきたいな、という話。

以上、なんとなく「見出し画像」の言い訳でした。






そいつは突然やって来た。
そのくらいの年齢になると、誰の元にもやって来るとは聞いていた。
なんなら周りではもっと早くから目撃情報もあった。

形だけの高校受験を終え、絶対ルールの白スニーカーから、慣れない革靴を履き、ぎこちなく家を飛び出した僕の頭の中は、夢と決意と煩悩で溢れかえっていた。


そう。思春期の到来である。


中学校時代は青春の全てを捨てて暗黒の3年間を過ごした。
先20年くらいの間に抱えるであろう悩みは悩みきった。
小説まがいの意味不明な文章を毎日毎日書きまくった。
当時どハマりしていたMr.Childrenの全曲の歌詞をノートに書き殴った。
そして、やることがなくなった先に見えた一筋の光。

そのスイッチが切り替わったきっかけ、闇と光の境目は何だったのか。
それは覚えていないというより、そんなものは存在せず、本当に春休みのある日突然だった。

「彼女が欲しい」ということだけが、来る高校生活において僕にとって全てのモチベーションになった。


さぁ、大変だ。
一体全体、何から手をつければ良いのか分からない。

共学の生徒だったら、入学式のクラス分けに胸を弾ませるだろうが、僕の通ったS中学、もといS高校は中高一貫、男子校一貫である。
どのクラスになろうが、扉を開けたら坊主が40人だ。

共学の生徒だったら、キャラ変して女子に積極的に話しかければ良いだけだが、3年間厳しい修行をしていた僕にとって、年頃の女子との話し方など微分積分よりも分からない。

彼女を作ることだけを考え、ネットも無いなか手探りで色んなことを実践した(そして山のように失敗した)僕が、特に大事だったと振り返る3つのアクションをこれから紹介する。
万が一、同じ境遇で同じ願望を抱く中高生が見ていたら是非参考にして欲しい。

1.運動部に入る
2.既にモテてるやつを見つける
3.人を好きになる

以上3つのミッションをクリアすることで、実際に僕はおよそ3ヶ月で念願の「彼女を作る」ことに成功した。
これが中々に凄いことだということは、男子校出身の読者なら分かっていただけると思う。


1.運動部に入る
これは、賢かろうが、優しかろうが、走るのが早いやつが結局女子にモテるじゃん...ということではない。

大事なのは「エナメルバッグ」だ。

確かに、スポーツができるやつがモテるというのは小学校では鉄板。
高校でも少なからずあるのだろうが、男子校では話が変わってくる。
何故なら、部活で活躍しようが、それを見てくれる女子がいないからだ。
肝心なのは、運動部員であること
もっと言うと、運動部員であるということをアピールすることであった。
そのアピールにおいて、僕の場合はエナメルバッグを持つことが一番効果的だった。

思春期覚醒後の僕は女子にモテる見た目とは何か、をまず初めに考えた。
顔面は変えられないとすると、普通であれば服装や髪型を考えるだろう。
当然、それらもどうにかしようと色んなワックスを試してみたり、制服をダラっと着てみるといった、どの中高生もやる基本的なことは全てやった。

ただ服装に関しては、他の学生と差別化にするにはアレンジの幅が無さすぎるし、僕の高校の場合はあまりに過度なアレンジを加えると鬼の生活指導が入った。
ちなみに我が母校の当時の教師陣は10割が男性であり、その内8割が鬼みたいな顔して、2割がヒグマみたいな体格をしているような動物園状態だったから、不良も出ないくらい平和な学校だった。(中身は良い先生ばかりでした)

髪型に関しても同じだ。
毎月行われていた頭髪検査では坊主寄りのスポーツ刈りまで許されていたのだが、そこでワックスを使おうが何をしようが、幼い顔して坊主なのだから大きく括ると全員マルコメ君だ。

そんな中で僕が目をつけたのが、高校に入って新たに追加されるルール。
運動部の生徒だけが持つことを許されたアイテム、それがエナメルバッグだ。
しかも、学校名がアルファベットでお洒落に印字された爽やかブルーの特別モデル。
ルールでガチガチの母校において突如用意された、唯一の自由だった。

同じ髪型、同じ服、同じ靴。
そんなマルコメ君軍団の中で勝負をしていく上で、このエナメルバッグが持つ強みをご理解いただけるだろうか。

エナメルバッグは見た目の格好良さもさることながら、僕の高校の場合は特に希少価値も高かった。
そもそも勉強中心の進学校だったので、部活に所属する生徒は全体の2割くらいしかおらず、中でも僕のクラスは進学クラスだったため、40人の生徒の中で運動部員は僕と学級委員の2人だけだったからだ。

この課題をクリアする上で悩むポイントは「何部に入るか」だが、普通の学校に通うあなたにはそこまで難しくないだろう。
彼女が欲しいという熱い信念さえあれば、部活の多少の辛さなどは余裕で我慢できるはずだ。
野球だろうがサッカーだろうが、自分が興味があるスポーツでエナメルバッグのデザインが格好良い部活を選べば良い。

僕の場合はここで少しだけ悩んだ。
なにせ、母校にはグラウンドもプールも無いのだ
つまり、野球部やサッカー部が無かった。
小学校の時に習っていたサッカー、空手、水泳とかであれば楽かなと思ったが、そのどれも部活自体が無い。

あるのはテニスコート3面分の人工芝の中庭だけ。
(ちなみに体育館は存在したがスポーツ推薦組のバレー部が上級生徒のように我が物顔で占領しており、僕のような一般生徒は体育の授業時だけ使わせていただける場所であった)
当時その中庭で行われていた部活は、
・バスケットボール
・ハンドボール
・アメリカンフットボール

という渋めの3種目だ。

彼女を作って遊ぶことだけを考えていた僕は、いかにも簡単に怪我しそうなアメフトをまず選択肢から外した。
そして、よりモテそうという理由からバスケをチョイスした。
今となっては情けない理由だと思うが、こんな調子で始めたバスケは大学でも続けたし、社会人になった今でもたまにやるくらい、僕の一番好きなスポーツである。

バスケ部の練習はまず移動式のバスケットゴールを、中庭の所定の位置に動かすことから始まる。
バスケットコートに該当する場所には当然屋根も壁も無い。
そこで僕は「風の強さや向きを加味したシュート」という、練習試合や大会では一切使えない必殺技を習得した。

話が部活の方に脱線してしまった。
要は女子にモテるために、他の人と比べて何をすれば差別化を図れるか。
どうすれば他の人ではない、自分を選んでもらえるかを考えること。
そのためのエナメルバッグ。そのための運動部加入だ。

勿論あなたにとっての差別化の答えはエナメルバッグではないかもしれない。
僕にとっても、エナメルバッグが最終的に彼女を作れた要因だったのか、実際のところは分からない。
大事なことは、見た目に分かりやすく他と違う人間だとアピールすることだと思う。

ということで、強引にまとめようと思う。






一生分「エナメルバッグ」って言いました。

一気に書き上げてしまいたかったが、想像以上に長くなってしまったので、続きは次週でお願いします。

今回の教訓:変わりたければ中身はあと、まずは見た目を変えてみる

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