見出し画像

コーヒーを学びたい人へ

自家焙煎コーヒーと手づくりおやつのお店「cafe旅人の木」を夫婦で経営している。
僕の主な業務はコーヒー豆の焙煎。
妻はおやつづくり。
コーヒーを淹れる、おやつを盛りつける、提供する、などはとくに専門性は不要なので、店内の状況を見つつどちらかが行なっている。
翌日以降に提供するおやつの仕込みをしながら営業をするため、僕の方がコーヒーを淹れることは多いが。

経営者(というかお店の人)あるあるだが、経歴を尋ねられることが多い。
やっている側とすれば経歴はあまり重要ではないようにも感じるが、お客さんとすれば一種の安心とか信用のポイントなのだろう。

さて、最近立て続けに「コーヒーを学ぶ」ことについて質問されたので、それについて思うことを。(開業2年目なので、プレッシャーを感じざるを得ない…)

コーヒーを学びたいという人は、何となく多いと思う。
趣味としてや、コーヒーを扱ってるけど勤め先(飲食店)で学ぶ機会がない、将来的にコーヒーを商売にしたい、という理由が主。
じゃあやれば良いじゃん(ネットで調べれば情報はたくさんあるし)というのが本音だが、自分がコーヒーを学びたいと思ったときを思い返してみる。

僕がコーヒーを学びたいと思って最初に始めたのはコーヒー屋さんでのバイト。(結局その後、契約社員を経て店長、正社員となったのだが)
働きながらコーヒーも1杯は頂けたし、新豆が入荷すると店長や先輩スタッフがコーヒーを淹れてくれた。(途中からは自分から淹れていた)
ある程度慣れてくると「コーヒーを淹れる」という業務も任される。

書きながらふと思ったので、純粋にコーヒー(エスプレッソを除く)について計算してみた。

①7,200(1日平均3杯を300日で8年間)
②75,000(1日平均50杯を300日で5年間)

何の数字かと言えば

①はコーヒーを飲んだ杯数
②はコーヒーをハンドドリップした杯数

あくまで最低でもこれぐらいだろうなぁという単純計算なので、実際はどちらもこれ以上になるはず。
エスプレッソを含めるともうよくわからない。
さすがにこれぐらいやると、一般の人から見れば確実にコーヒーに関する味わいや淹れ方については学んだと言えるはずだが、あくまで業務レベルの話。
長くコーヒー屋で勤めていれば数字だけは確保できるというだけ。
たしかに、量というのはとても大切だが、重要なのはそこに質が伴っているか?だと思う。

毎日水として飲むコーヒーか、どんな味わいか考えながら飲むコーヒーか。
教えられたとおりにドリップしたコーヒーが本当にベストな抽出なのか、もっと良い方法はないか。
なぜ自分が淹れたコーヒーと他人が淹れたコーヒーの味が違うのか、どこに原因があるか。

こうやって「考えながら仕事をするかどうか」でも身につくことの差は大きくなる。
実際、同じ年月を働いた同僚でも、コーヒーに対する考え方でその知識や技術にかなり差があったように感じる。

ただし、ここまでは「コーヒー屋で勤務している時間」で身につくこと。

もうひとつやったことはコーヒーの本を読むこと。
当然、勤務時間外で読むわけだが専門書というものは案外、ある程度の知識や経験がある人向けに書かれていることが多い。(バイトを始めた頃に読んだものはあまり理解できなかった)
雑誌に至ってはコーヒーに詳しくない記者が書いたものが少なくないため、間違いや誤解を招くような記事が掲載されていることが多い。(同僚が取材を受けたときに記者の方がそう話してくれた)
ここには、コーヒー屋で働いたことが役に立ったと思う。
専門書の内容は概ね理解し易かったし、雑誌からは必要な情報だけ吸い上げることができた。

ここまでが僕の話。

振り返ってみて思うのはやはり、やれば良いということ。

僕がバイトを始めた頃はスマホが存在しない時代。
知識を得ようにもどの本を読んで良いかわからなかった。(今ならコーヒー書籍のオススメなんてすぐに調べられる)
技術を得ようにもやり方がわからなかった。(今なら動画で調べられる)

今は知識も技術も調べられる時代。(SNSだって役立つ情報源)
コーヒーを学びたい人へ僕からのアドバイスは3つ。

⓪調べる
①1,000杯のコーヒーを、味わいを感じながら飲む
②1,000杯のコーヒーを、どうやったら美味しく淹れられるか考えながらドリップしてみる

お店をやりつつも僕が経歴はそれほど重要でないと思うのは、時代の流れが変わったと思うから。
10年前は修行が当たり前の時代。
今は自分で知識も技術も調べるのが当たり前の時代。
年月を掛ければ身につくのは当たり前。
今はいかに効果的に身につけていくかが重要じゃないかなと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?