note一本書くほどでもないけれど

レタスは細い細い千切りがいい

レタスは千切るもの。子どもの頃の愛読書だった「お料理ABC」にも（小林カツ代さんが監修のひとりだと、大人になってから知った）、家庭科の教科書にもそう書いてあったのだ。「レタス　 千切る」で検索をすると、「レタスには包丁厳禁」と書いてあるサイトが出てくる。包丁で切ると変色するんだって。さらに金気臭くなるとも。金気臭くって、なに。以前、知人の切ってくれた梨が玉ねぎ臭くて死にそうになったけど、金気臭いってこういうことかしら。いやだから玉ねぎじゃなく、金気。千切った方がドレッシングが馴染むとも書いてあった。先日、お店でランチを食べたとき、細い細い千切り野菜のミックスサラダに感激した。ランチについてくる乾いたサラダは大嫌いなんだけど、それは違った。キャベツではなく…これはレタスだ。細く刻まれたレタスは、千切ったものより断然食べやすくてドレッシングも絡む。以来、レタスは千切りか細め短冊切り。ね、ちょっとまって、千切ると千切りって同じ漢字じゃねえかと笑う。

母ちゃんのために

知人のアンジーが私の肩を揉みながら言う。「アンタ何言ってるの！　男の子なんてねえ、母さんにいいとこ見せたくて頑張るんだから！」と。
私はむすこの野球の試合に、行ったり行かなかったりの母親だ。なるべく土日は仕事をしなくて済むように段取りしているけど、フリーランスなものでどうしても土日に仕事をやっつけたいときもある。そんな話をアンジーにしたら、こう言われたのだ。接客業の長いアンジーの言葉には、いつも妙な説得力がある。その日もアンジーはメイクばっちりで、私にそう諭した。以来、私はむすこの試合を欠かさず見に行く。そしたら打つんだ、これが。春先までパッとしなかった打率が格段に上がっている。むすこは、試合と試合の合間にうれしそうに「打てた」と報告にくる。うん、見てたよ。カッコよかったよと伝えるとニヤリとしてチームメイトの元に戻る。私はむすこのランニングホームランの動画をジジババに送りまくって、親孝行をしたつもりになる。いいことだらけだ。アンジーは、アンジェリーナジョリーに似ている日本人だ。本名は知らない。

オンラインライブが大好きです

Official髭男dismのオンラインライブを楽しんだ。2200円也。安すぎて泣きそうだ。某韓流グループは２daysで9000円だった。しかもアーカイブなし。それを考えたら、髭のファンサービスはすごい。この1週間、アーカイブを流しまくった。仕事をしながら背後に、料理をしながら手元に、枕元でのナイトキャップにとヘビーローテーション。でも私以上のファンであるむすめが、あまりにも学校生活が忙しくてアーカイブすら見れてなかった。アーカイブ配信最終日にやっと鑑賞して、「ヒゲダンと同じ時代に生きててよかった！」と映像を噛み締めていた。HELLOの10分47秒のさとっちゃん舌ペロを教えたらドン引きしている。ごめん。ならちゃんのサックスは、何度聞いても元気が出るなあ。しかしあろうことかに、彼女は鑑賞後にほうっと溜息を漏らしながらタブを閉じた。私は叫び声が漏れた。「た…タブ…！閉じたああああああ」。オンラインライブ鑑賞に慣れている民なら知っているでしょう。タブを開きっぱなしにすると、アーカイブ視聴期間が終了してもしばらくは映像を楽しめるかもしれないということを。「お母さん！毎日見てたでしょう！なんでそんなに怒るの！ケチすぎる！」とむすめに怒られた。倹約しながらつぎ込むのが真のオタクなのだということを、彼女はまだわかってない。

古本を整理する

大好きだったお弁当の本を見返した。プロじゃなく、素人さんの弁当が並ぶ写真だ。レシピはない。何人もの弁当作成者の顔を眺めていると、ふと気が付いた。ベジタリアンと名乗るひとの顔つきがなんとなく似ていることに。まあまあ、気のせいだ気のせい。でも、このあたりにもいるなあこういう顔つきのひと、と思い浮かべる。移住者のひとだ。東日本大震災をきっかけに、関東から災害の少ないといわれる岡山へ引っ越してきたのだ。福島原発の汚染が怖かったと、はっきり言う。いまだに魚を食べられないらしい。肉は？　肉は食べるんだって。野菜はこだわりの無農薬や有機のもの。私は、近所の産直市場にならぶ、ぴちぴちの野菜をながめて彼らの言葉を考える。農薬か。きゅうりの皮をピーラーで縞々にむく。ほら、これできゅうりは華やかになるし、体に入るであろう農薬は半分になる。半分。生きている間じゅう続ければ、けっこうな量ではないかと思う。皮のゴミが出るね。すまんすまん。彼らは、そんな私の適当な態度が気に入らないみたいだ。

どこでだって生きていける。生活はどこでだってできる。そのほうが、人生はきっと楽しい。