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マコーレー・カルキンと婚約! ブレンダ・ソング主演『カンフー・プリンセス ウェンディ・ウー』①

「ホーム・アローン」2部作(90・92年)で日本を始め世界的な人気を博した子役出身の俳優マコーレー・カルキンが、8歳年下の女優と4年越しの交際の末に婚約したとのニュースが1月末に報道されました。
婚約者の名前はブレンダ・ソング。中国の少数民族出自の父親とタイ人の母親をもちカリフォルニア州で産まれたアジア系の女優です。

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カルキン君同様子役の出身で、2000年にディズニー・チャンネルのオリジナル映像作品に出演し好評を得た後2002年、正式にディズニーと契約。連続ドラマ「スイート・ライフ」(2005~2008年)のレギュラーでティーン層を中心に人気を確立しました。
その彼女が本格的なアクションにチャレンジしたのが、2006年にディズニー・チャンネルが制作したオリジナル劇映画『カンフー・プリンセス ウェンディー・ウー』(2006年)です。
おそらくですが、大元のモチーフはディズニーの代表的な作品のひとつで、アニメや実写映画化もされた「ムーラン」だと思われます。そこに香港映画の武俠ファンタジーやコメディー、日本のアニメ等の要素をアレンジして融合させた内容に仕上がっています。
前述の通り邦題にある「カンフー(アクション)」は言うまでもなく香港が本場ですが、これは「日本人スタッフがアメリカ(ロケはニュージーランドのオークランド)で作り上げたカンフー・アクション」という、非常に異彩を放つ1作なのです。
本作のアクション監督を務めたのは、今や「ウルトラマン」「仮面ライダー」「スーパー戦隊」など日本が誇る特撮ドラマシリーズを股にかけて、独自のアクション描写で注目を集め続ける坂本浩一監督です。本作制作時は日本ではまだまだ知る人ぞ知る存在だった坂本監督ですが、後年の代表作や作風への萌芽が既に見て取れるのです。

本作は前述した「ムーラン」から、キン・フー(胡金銓)監督の『大酔侠』(66年)や『侠女』(71年)、ブルース・リー(李小龍)が活躍した時期に登場したアンジェラ・マオ(茅瑛)やジュディ・リー(嘉凌)、シャン・カン・リン・ホー(上官靈鳳)などが主演した"女ドラゴン映画"、時代が下がって1980年代後半、ミシェル・ヨー(楊紫瓊)、ムーン・リー(李賽鳳)やシベール・フー(胡慧中)、アメリカからはシンシア・ラスロック、そして日本からも西脇美智子や大島ゆかり(シンシア・ラスター)が参入し盛上がった"女性アクションスターブーム"、更にはワイヤー・アクションと巧みなカメラワークと編集で魅了する90年前半の"古装片(時代劇ファンタジー)ブーム"という香港映画界で女性が活躍したアクション映画の様々な流れを汲んだ1本でもあるのですが、それに加えて『ドラゴンへの道』(72年)のブルース・リーVSチャック・ノリス、『スパルタンX』(84年)のジャッキー・チェン(成龍)VSベニー・ユキーデを彷彿とさせる「東洋人(の主役)VS西洋人(白人演じる敵)」の対決というクライマックスの図式を女優が演じて再現しているのも大きなポイントです。「西洋人(白人)」という視点でいえば、いかにも東洋的なカンフー・アクションの独特な動作を本作では白人の俳優たちが果敢にチャレンジしているのもほかの作品ではあまり見られないシーンです。
パロディやオマージュはこれだけにとどまらず、坂本監督が大ファンと公言するジャッキー・チェンの代表作『蛇拳』と『酔拳』(共に78年)の白眉である鍛錬シーンや、チャウ・シンチー(周星馳)が監督兼主演で日本でも大ヒットした『少林サッカー』(2001年)を思わせるカットもあったりします。

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しかしながら、『カンフー・プリンセス ウェンディー・ウー』の魅力はアクションだけではありません。時代に呼応したディズニーならではの豊かなドラマ世界に、本作の大いなる魅力が秘められているのもまた重要な事実なのです。(続く)

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