【全編公開】英文解釈 サンプル問題1(初級)
実際の英文解釈の演習問題とその解説のサンプルです。できる限り英文を読むときの思考過程(特に文型など形式面を中心に)を細かく解説し、そこからひとまずの和訳を完成させるところまでまとめています。
以下の「はじめに」を読んだうえで、解説の前提となる「基本ルール」を見ながら取り組んでいただければと思います。
<サンプル1>
On its journey around the sun, Venus comes closer to the earth than any other planet does.
【構造分析】
(ア)”On its journey” は前置詞+名詞で(M)
⋄Onは前置詞なので、後ろに名詞がきて(前置詞+名詞)で形容詞句または副詞句を作り、修飾語(M)になる[基本ルール2 ⅲー①、ⅴー①]。ここから(M)の括弧が始まる。
⋄“its journey”は「所有格+名詞」でひとかたまりの名詞扱いなので、ここまでで修飾語(M)の括弧を閉じる。
(イ)”around the sun” は前置詞+名詞で(M)
⋄aroundは前置詞なので、後ろに名詞がきて(前置詞+名詞)で形容詞句または副詞句を作り、修飾語(M)になる[基本ルール2ⅲ-①、ⅴ-①]。ここから(M)の括弧が始まる。
⋄“the sun”は「定冠詞the+名詞」でひとかたまりの名詞なので、ここまでで修飾語(M)の括弧を閉じる。
(ウ)”Venus” は名詞でS
⋄名詞の文中での機能は6つあるが[基本ルール1(ⅰ) ]、この文で初めて単独で出てきた名詞なので、ひとまずSと考えておく。(後で修正される可能性もあります)
(エ)”comes” は動詞の現在形でV
⋄comeは動詞で、三人称単数現在(三単現)のsがついて現在形になっている。現在形の動詞は必ず述語動詞になることや、Sの直後の動詞であることから、comesはV。
(オ)”closer” は形容詞の比較級でC
⋄closeには動詞・形容詞・副詞など様々な品詞があるが、closerと比較級になっている。比較級や最上級になれるのは形容詞か副詞だけなのでそのどちらか。
(比較級なので後ろにthan~が続くことを予測)
⋄また、comeの後ろであることにも注目。動詞comeには、come+C「Cになる」という用法があり、Cになれるのは名詞か形容詞[基本ルール1ⅰ-③、ⅲ-②]。よって、closerはC。
(カ)”to the earth” は前置詞+名詞で(M)
⋄toは前置詞なので、後ろに名詞がきて(前置詞+名詞)で形容詞句または副詞句を作り、修飾語(M)になる[基本ルール2 ⅲー①、ⅴー①]。ここから括弧が始まる。
⋄“the earth”は「定冠詞the+名詞」でひとかたまりの名詞なので、ここまでで修飾語(M)の括弧を閉じる。
(キ)”than any other planet does” は
従属接続詞+S’V’~で(M)
⋄thanは従属接続詞なので、後ろに文(S’V’~)がきて(従属接続詞+S’V’~)で名詞節または副詞節を作る [基本ルール2 ⅱ-①②、ⅵ-①]。ただし、名詞節を作る従属接続詞はthat/whether/ifなど限定的なので、このthanは副詞節を作り、修飾語(M)になる。ここから(M)の括弧が始まる。
⋄続いて、従属接続詞thanの後ろの文(S’V’~)を見ていく。
“any other planet”は「形容詞any other+名詞(単数形)」でひとかたまりの名詞なので、これがS‘。”does”は動詞doに三人称単数(三単現)のsがついた現在形。現在形の動詞は必ず述語動詞になることや、S’の直後の動詞であることから、doesはV’。ちなみにこのdoesは単に「~をする」では意味が通らないことから、前に出てきた一般動詞の繰り返しを避けるために使われる代動詞であり、ここではcomesの代わり。
さらに、従属接続詞thanの後ろの文では、前にある比較対象の文と同じ部分はできるだけ省略されるので、doseの後にclose to the earthが省略されている。
これでthan以下の文も成立したので、ここまでで修飾語(M)の括弧を閉じる。
【和訳作り】
(On its journey) (around the sun), Venus comes
(M) (M) S V
closer (to the earth) (than any other planet does).
C (M) (M)
(ア)まず、文の骨格部分は第2文型SVC「SはCだ」であり、動詞comeはcome+C「Cになる」という語法があるので → 「金星はより近くなる。」
(イ)次に、それぞれの修飾語(M)がどこを修飾するのか考えていく。
“On its journey”のitsはVenusのことを指しており、(前置詞+名詞)は形容詞句または副詞句になるので、形容詞句「その旅の途中の~」で名詞にかかるか、副詞句「その旅の途中で~」で名詞以外にかかるかのどちらか。ここでは、”On its journey”の前後に修飾する名詞がないので、ひとまず副詞句でVenus~以下の文(主節)全体にかかる、または述語動詞であるcomesにかかると考える。
→ 「その旅の途中で、金星はより近くなる。」
(ウ)”around the sun”も(前置詞+名詞)で形容詞句または副詞句になるので、形容詞句「太陽の周りの~」で名詞にかかるか、副詞句「太陽の周りに~」で名詞以外にかかるかのどちらか。ここでは、直前にits journeyという名詞があり、意味的にも自然なので、形容詞句でits journeyにかかると考える。
→「太陽の周りのその旅の途中で、金星はより近くなる。」
(エ)”to the earth”は(前置詞+名詞)で形容詞句または副詞句になるので、形容詞句「地球への~」で名詞にかかるか、副詞句「地球へ~」で名詞以外にかかるかのどちらか。ここでは、直前にcloserという形容詞があることや、close to~「~に近い」という頻出表現から、副詞句で直前の形容詞closerにかかると考える。→ 「~、金星は地球により近くなる。」
(オ)”than any other planet does”は副詞節で名詞以外を修飾する。
また、この節の内側の文S’V’~の構造は構造分析(キ)から分かっているので、まず訳してみると、「ほかのどの惑星が(地球に)近づくよりも~」となる。よって、この副詞節は、Venus~以下の文(主節)全体にかかる、または述語動詞であるcomesにかかると考える。
(訳を入れる位置は、以下のどちらでもOK。)
→「ほかのどの惑星が(地球に)近づくよりも、~途中で、金星は地球により近くなる。」
→「~途中で、ほかのどの惑星が(地球に)近づくよりも、金星は地球により近くなる。」
【訳例】
「太陽の周りのその旅の途中で、ほかのどの惑星が(地球に)近づくよりも、金星は地球により近くなる。」(構造に沿った直訳)
「金星は、太陽の周りを回る旅の途中で、ほかのどの惑星が近づくよりも地球により近づく。」(やや意訳)
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