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英文解釈【演習】超入門 <第1文型>

<第1文型>

今回は、第1文型の英文を実際に見ながら英文解釈の演習を行っていきます。

それぞれの品詞や句・節などを確認しながら、最終的に簡単な訳を考えていきます。ただし、和訳をすることそのものではなく、英文構造を把握するときの頭の働かせ方、辞書の使い方などの「考え方」を身につけることが重要なので、自分でイチからこの考え方を再現できるようになることを目指してじっくり進めてください。

<今回扱う英文>
He came home early yesterday.

※よく使う基本的な英文解釈のルールは以下のpdfにまとめてあるので、適宜参照しながら定着させていきましょう。

※前提となる用語などの知識が怪しい方は、基礎知識まとめの記事をまず読んでみて下さい。



He came home early yesterday.


【構造分析】

(ア)”He” は代名詞でS


⋄文頭にあるHeは代名詞で、文の要素としては名詞とほぼ同じ働きをします。そして、名詞の機能は6つ[基本ルール1(ⅰ)]。

ここでは、Heが文頭にあることから、ひとまず主語Sと判断する。


(イ)”came”は動詞でV


⋄続くcameは動詞で、英文の中での機能は2つ[基本ルール1(ⅱ)]。

ただし、動詞の過去形が②準動詞になることはなく、必ず①述語動詞になるので、このcameはV。


(ウ)”home”は副詞で(M)


⋄homeは注意が必要な語なので、1度ご自分で辞書を見てみてください。

すると、名詞・形容詞・副詞と3つの品詞の可能性があることが分かります。このように、1つの語に複数の品詞の可能性があることは多いので、「その英文中ではどの品詞として使われているのか」をしっかりと考えながら解釈をしていきましょう。

辞書の、副詞のhomeの項を見てみると、”(comeなど動作動詞とともに)家へ”とあります(ジーニアス5th)。また、例文を見てみると、”come /go/stay home”などが載っています。今回はまさに動詞cameとともに使われているのでこの副詞のhomeだと判断します。

副詞の機能は4つ[基本ルール1(ⅳ)]ありますが、ここでは上記の辞書の内容や意味から考えて、(M)になって動詞cameを修飾していると判断します。


(その他に、文型、特に動詞comeの語法からhomeが副詞だと判断することもできます。ここは少しややこしいので、以下は余裕があれば読んでみてください。)

→この文でhomeが名詞だとすると、[基本ルール1(ⅰ)]の6つの機能のうち、He(S)came(V)に続いて目的語Oになったり補語Cになったりしそうですが、落ち着いてcomeを辞書で調べてみましょう。

すると、comeを他動詞として使い、come+Oという形をとるのは、基本的に"come+年齢"「~歳になる」や"come+the名詞"「~の役を演じる、~ぶる」などなので、homeがOになることはできなそうだと分かります。

さらに、come+Cという形でCに名詞が入る場合、"come to 名詞"の形になる必要があるので、ここでhomeがCになる可能性もなく、この文ではhomeは名詞でないと判断できます。

また、homeが形容詞だとすると、[基本ルール1(ⅲ)]の2つの機能のうちどちらかになるはずです。

しかし、辞書の形容詞のhomeの項を見てみると、[限定]と書いてあると思います。これは、形容詞の機能のうち①(M)になって名詞修飾はできるが、②Cになることはできないということです。ではこの文で①が可能かというと、前後に修飾できる名詞が見当たらないことから、①もなさそうだと判断できます。

よって、今回のhomeは名詞でも形容詞でもなく副詞なのだろうと、形から判断することもできます。


(エ)”early”は副詞で(M)


⋄earlyは形容詞と副詞の2つの品詞の可能性があります。

形容詞だと考えると、形容詞の機能2つ[基本ルール1(ⅲ)]のどちらかになるはずですが、やはり前後に修飾できる適切な名詞がないことから、①(M)になって名詞修飾はなさそうです。

あとは②Cになるですが、動詞comeは"come+C"「~になる」の語法があり得ます。しかし、この形のCになれる形容詞はtrue/good/alive/closeなど限定的なものなので、earlyはCにはなれなさそうです。よって、今回のearlyは形容詞ではないと判断します。(こういった情報も辞書の「解説」「語法」などのコーナーに書いてあるので丁寧に読んでみましょう)

そうすると、このearlyは副詞で、意味から考えると(M)になって動詞cameを修飾していると分かります。

(ここでは丁寧に考えましたが、そもそもearly「(時間的に)早く・初期に」という語は、意味的にcomeととても相性がよく、一緒に使われることも多いので、最初から副詞だろうと考えて解釈を進め、もしおかしければ後から形容詞の可能性を本格的に検討するという読み方が実戦的だと思います)


(オ)”yesterday”は副詞で(M)


⋄yesterdayは名詞と副詞の2つの品詞の可能性があります。

上記のhomeが名詞かどうかの考察と同様に考えて、この文のyesterdayが名詞である可能性はありません。

そうすると、このyesterdayは副詞で、意味から考えると(M)になって動詞cameを修飾していると分かります。

(このyesterdayはあくまで名詞で、名詞の機能[基本ルール1(ⅰ)]の⑥副詞的目的格だと考えることも可能です。結局は副詞として(M)になり動詞cameを修飾しています。)


【和訳作り】


He came home early yesterday.
S     V      (M)   (M)     (M)



(ア)まず、文の骨格部分は第1文型SV「SはVする」なので 
→ 「彼は来た。」


(イ)次に、残りの3つの(M)がどこを修飾するのかを確認しつつ和訳に組み込んでいきます。日本語では、修飾語は修飾する語句よりも前に訳すのが基本です。

上記の「構造把握」で見てきたように、homeは副詞で動詞cameを修飾している。 
→ 「彼は家に(家へ)来た。」


(ウ)同様に、earlyは副詞で動詞cameを修飾している。
→ 「彼は家に(家へ)早く来た。」


(エ)また同様に、yesterdayは副詞で動詞cameを修飾している。
→ 「彼は、昨日家に(家へ)早く来た。」

※同じ語句を修飾する(M)が複数ある場合、日本語ではどんな順番で訳しても問題ない場合が多いです。

「彼は、昨日家に(家へ)早く来た。」
「彼は、昨日早く家に(家へ)来た。」
「彼は、家に(家へ)昨日早く来た。」

文脈などから、適切だと思う順番で訳していきましょう。


これで、英文の構造に沿った直訳は完成ですが、本来は前後の文脈などからこの英文の言いたいことをよく考え、より意味的にも日本語的にも自然な訳を目指していくことになります。

例えば"came home"「家に(家へ)来た」と直訳しました。今回は前後の文脈がないので分からないことが多いですが、実際には「家に帰ってきた」「家に帰った」と帰宅の意味で訳すことが多いです。

また、この文を発言・記述しているのが彼の母など同居している人物であれば「帰ってきた」が自然でしょうし、そうでなければ「家に帰った(帰っていった)」くらいが適切です(この場合はgo homeの方が普通ではあります)。

まずは形から直訳することを目標として練習していますが、常に意味も考えることが重要だということは忘れずにおきましょう。


【訳例】


「彼は、昨日早く家に(家へ)帰った。」
「彼は、昨日早く家へ(家へ)帰っていった。」

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