簡潔
会話。
話をするというのは、聞き手が存在する。
ちゃんと聞いてくれるひと。
聞いてくれる安心感は、ときに主題から逸れてまったく異なる展開となる。
ひろがったあとに行き着く場所は始点だったりする。
ぐるぐる視点を変え、ぼんやりだけれどことばを反芻する。
相手は解をもとめていない。
お祈りのことばにも似た様子で、聞き終えたひとは話し出す。
下描きの線描をくっきりと浮かび上がらせるのだ。
輪郭線をなぞられる快感といったらいいのだろうか。
似ているのかもしれない。
ひとつひとつ背負い込んだものを置いていく。
自分にはひどく重いものが、軽くなる瞬間。
よく手放すというが、それともちがう。
また性懲りもなく軽くなったものを自ら背負う。
その様子を黙って見届ける。
本質は変わらない。
テキストのメッセージはあっさりしている。
装飾に憧れる一方で簡潔を望む。
共鳴した。
なぜ話すのか。
たぶん、わたしを憶えていてほしいから。
はじめて気がついた。
詩と写真がすきなあなたへ。
読んでくださりありがとうございます。