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夢へと手を伸ばすとき(映画感想文)

1957年ロンドン。
戦争から帰ってこない夫を家政婦の仕事をしながら待つミセス・ハリス。仕事場ではブルーの小花柄の愛らしいエプロンを身につけ、様々な事情を抱える家の掃除や片付け、得意な繕い物をこなす日々。突然届いた小包は、夫の遺品である指輪だった。傷心のなか、金払いの良くない困った仕事先で、一枚の素敵なドレスに目も心も奪われる。それは魅惑のクリスチャン・ディオール。

ドレスの持ち主である婦人は「最近つらいことが続いたけれど、これを着ると元気になる」と語る。

そう、気分の上がるもの。洋服はもちろんだけど、装飾品、靴にバッグ、香水、音楽、食べ物、推し、お気に入りのあれこれ。決して若くはないハリスが、出会ってしまった魅惑のディオールを目指す一筋縄ではいかない物語。

映画【ミセス・ハリス、パリへ行く】は気持ちの良い作品だ。

落ち込んでしまうあらゆる出来事が、じつは幸運を運んでくる。冒頭の届いた小包の中身を見るまえにコイントスをする。橋の欄干でくるくると回る様子を見て良い予感に駆られるけど、愛する夫は亡くなっているし、サッカーの勝敗の予想を当てお金が入るもドッグレースに全てを賭けてすっからかんとなる。禍福は糾える縄の如し。ここからがまさに夢のような展開になるのだが、たくさんの人に応援され愛されるハリスの行方がおもしろい。

昔から、素直さは財産だと言われる。素直に振る舞ったことで相手が傷つくこともある。人々の親切、意地悪。そのあたりもきちんと描かれているのがこの映画の魅力だと思う。夢にむかって進んでいるひとへ、思いを託して応援する側が描かれてるところも好き。

フィクションとノンフィクション。
存在と無。

一緒に笑顔になったり、悔しがったり、見惚れたり、打ちのめされたり、最後まで勇気あるミセス・ハリスをあなたにも楽しんでほしい。

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個人的には、モデルのナターシャとのふれあい、若い2人へのお節介、ボタン付け、本丸へ乗り込んでいくところ、友人のヴァイが素敵だった。みなさんの好きなシーンも良ければ聞かせてください。

追記 : 日本版だと主演は宮本信子さん一択です!




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