伝わらなかったモノたちの死骸
伝えたいことが伝わらない。
思い返せば6歳の頃。
たまたま1人で留守番してた。そのときクリーニング屋のお兄さんが洗った父のスーツを届けてくれた。ぼくは「少し待てば大人が帰ってくるよ」「その間は楽しませるよ」という趣旨のことを拙い言葉で伝え、幼稚園であったこと、最近発見したこと、珍しい虫の話をずっと話し続けた。
母が帰ってきて、ホッとしつつ、何か言い放ちながら去っていくお兄さんが見えなくなるまでずっと手を振っていた。
「あの人の言った『小生意気』ってどういう意味?」
そ