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つぎはコレ読みたい! 2024/03

毎年のこととはいえ、今年はことさら寒暖差が激しいような・・・体調はいかがでしょう。私は……何の影響もありません。丈夫に生まれるってほんとにありがたい。みなさまどうぞご自愛くださいませ。

今月最初に紹介するコージーミステリはどこかで見覚えがあるような・・・?

『Caught Dead-Handed』 by Jennifer Wright-Berryman
シリーズ:Hospice Heroes #2 (The Dying Five)
カテゴリ:コージーミステリ

 ホスピスに暮らす〈ダイイング・ファイブ(死にかけ5人衆?)〉5人の経歴はさまざま。かつてホームレスだったこともあるメアリーは、ホームレスのシェルターにボランティアできていた若者が殺されたことに大きなショックを受け、仲間たちとともに歩行器や車いすで犯人探しに奔走する。彼らは入居者のひとり、シルヴィアを仲間に引きこんだ。彼女は製薬業界にいたときの人脈を活かしてホームレスや困窮する人々に必要な医薬品を秘密裏に届ける活動をしているのだが、その配布担当者が殺されたことから、この活動組織の解体をもくろむ者がいることを知って〈ダイイング・ファイブ〉に協力を求めた。
 組織のなかの誰が信用でき、誰が信用できないのかもわからず、調べるほどに誰にも動機がありそうに思えてくる。手がかりという手がかりに振り回され、真相に近づいたかと思えばひっくり返り、メンバーそれぞれに災難がふりかかるが、彼らの勢いは誰にも止められない!

 いまどきの高齢者は年齢を重ねているとはいえ実に元気だ。老人ホームや高齢者向けコミュニティに暮らす人々が現役時代の知見を駆使して殺人事件の解決にあたるタイプのミステリも高評価なものが多く、本作もその部類に入ります。表紙からして『木曜殺人クラブ』を意識しているのがまるわかり。でもあちらが比較的健康なご老人たちであるのに対して、こちらはなにしろ「ホスピス」の住人、すなわち治療の手立てがもはやなくなって苦痛を紛らわしつつ最期のときを待つばかりのはずの人たち。そんな彼らが謎ときに夢中になって生き生きと活躍するなんて、これ以上励まされることはありません。

「強く生きる」って生易しくないよね、と主人公を励ましたくなるサスペンス。

『The Killer’s Daughter』 by Kate Wiley
シリーズ:Detective Margot Phalen #1
カテゴリ:スリラー

 後部座席で赤ん坊が泣きだした。彼はラジオの音量を下げて彼女をなだめた。「静かにするんだよ、ベイビー。パパはすぐに戻ってくるからね」そして彼はそのまま森の奥に姿を消した……。

 20年前にベイエリアを恐怖に陥れた連続殺人鬼エド・フィンチの娘マーゴットは、長じてサンフランシスコ警察殺人課の刑事になった。自分の生い立ちを忘れようとしてもわすれることのできない彼女のもとに、父の弁護士から連絡があった。ついに死刑囚監房に移送されることが決まったのだ。その父が、ずっと隠しつづけてきた秘密を明かしたいと言ってきた。ただし、彼女自身が会いに行くことを条件に。
 サン・クエンティン刑務所のゲートのまえで、マーゴットは引きかえしたい気持ちにあらがっていた。かつて父と呼んだ、怪物になりはてた男の人となりを少しでも知ることができるかもしれない。彼女を車の後部座席に残していった彼が何をしたのか、ついに本当のことを話してくれるかもしれない。

 犯罪者の身内が被害者とはべつの苦しみを背負うことになるのは想像に難くない。親ならどこで育て方を間違えたかと悔みつづけるだろうし、世間もそういう目で見てくるからひっそりと暮らしていこうとするだろう。だが子供は? まったく責任がないのに偏見を持たれながら、どうやって自分の人生を歩んでいけばいいのか。正義を追及する側に立つことを選択したマーゴットの覚悟と心意気に注目したい。

SFというよりは特殊設定ミステリかな。

『The Memory Bank』 by Brian Shea, Raquel Byrnes
シリーズ:Memory Bank #1
カテゴリ:SFスリラー

 テクノロジー分野において頂点を極めたジェラルド・プライス博士は、長年研究してきた記憶力拡張法に関して世界を揺るがす発見を成しとげた。だが彼の人生をかけた偉業は、みすぼらしいモーテルでの過剰摂取によりとつぜんの終わりを告げた。
 あらゆる証拠から自殺とされて捜査は打ち切られたが、よく似た状況の連続不審死を捜査するモーガン・リード刑事はナタリー・デラクルーズ刑事とともに事件を深堀していく。数々の嘘や企業による背信行為をあばいていった彼らによって、多くの人命を危険にさらしかねない衝撃的な陰謀が露わになる。
 最新テクノロジーに絡んで不正に金が動く世界で、ふたりは無辜の人々を救うためにその闇のネットワークに切りこんでいく。

 最新のテクノロジーが登場してあっという間に世界のしくみや人々の生活スタイルが一変するスピードは、IT産業の発展にともなってますます加速している。それだけに「当たれば大きい」影響が出るし、とりわけ経済に与える影響の大きさを考えれば利権をめぐる争いが起きないわけがない。スゴイ発見をするようなものすごく頭のいい人間が倫理的にも善人であるとは限らず、かといって最新テクノロジーの構造や展望を見通すほどの能力を持たない人間には何を規制すればよいのかすらわからないゆえに後手に回らざるを得ないのがもどかしい。その時差を悪用するたかり屋をどうすればよいのか。
 3部作なのか、すでに3巻まで発売予定があるようです。

記事にとりあげる「気になる新刊」はEdgeブラウザのコレクション機能を使ってまとめておいて、日にちを置いて記事を書いてるんですが、なんと先月はそのコレクションをうっかり削除してしまい・・・あらためて本探しからやってようやく更新にこぎつけました。これからは気をつけないと・・・というか何か救済措置を考えないとね。予備のリストも作っておくか。

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