あなたは私のことを好きだと言ったのに、どうしてわたしを嫌いだといったの。
 あの時は雨だったわよね。雨って言っても激しくない、静かでしっとりとした雨・気づかないうちに地面を濡らしていくような、そんな雨。私はあなたのこと大好きだったのよ。本当に、本当に好きだったの。だから、私があなたを殺すことにしたの。こうやってあなたの家で一緒にお酒飲んで未練を持たない都合の良い元カノを演じて、ね?薬を混ぜて手足を縛って。あの女と過ごした年月は楽しかった?私を振ってあの女と付き合って。私は別に嫉妬であなたを殺すわけじゃないのよ、勘違いしないで。私はあなたを憎んでるわけでもないのよ。ただ、私があなたを殺そうと思ったの。だから殺すの。私は、あなたを。もうそろそろお薬の効き目が薄まってきたんじゃない?まあ動けないだろうけど。早くあなたの目玉をくりぬいて、早くあなたの薬指を切り落として、早くあなたの骨に頬ずりがしたいわ。そろそろこうやっておしゃべりするのも飽きてきたから殺すわ、何?俺の何がいけなかったのって?そんなのたった一つだけよ、私なんかに深い愛を注いでしまったこと。それまで特別を知らなかった私に特別を教えたのがあなたの罪よ。さよなら、(暗転)

2年くらい前に書いた文章です。独りよがりで一方的な主張を繰り広げる女の子を想像しながら書いた記憶があります。

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