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『大人になるってどういうこと?みんなで考えよう18歳成人』ためし読み② ~好きな人に頼まれたアブナイ名義貸し~

2022年4月から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。
『大人になるってどういうこと? みんなで考えよう18歳成人』(著:神内聡)では、高校生の身近で起こりそうな事例から、18歳成人について考えられます。今回は、「第5章 シャレにならないSNSやスマホのトラブル 事例編 好きな人に頼まれたアブナイ名義貸し」をご紹介します。

友達への名義貸しで大変な目に


 「ちょっとお願いがあるんだけど……」。

ある日、高校3年生で18歳のA 男は、別の学校に通う幼なじみのG 子から呼び出された。

「私の代わりにスマホの契約してくれない? 代金や通話料はこっちが出すから」。先輩から受けた依頼だが、G 子は17歳の未成年のため契約できなかったという。「1台につき1万円あげるからさ。お願い」。

ためらうA 男にG 子は泣きそうな顔で迫ってくる。実は昔からG 子が気になっていたA 男。結局、承諾し、携帯ショップで3台契約した。
「ありがと!」。G 子は契約したスマホを受け取ると、3万円をA男に手渡した。A 男の手に一瞬G子の手が触れた。

 ところが、後日、A 男は携帯会社から「督促状」と記された郵便を受け取った。そこには携帯の使用料、43万円を支払うよう書かれていた。驚いたA 男は、G 子に連絡。しかし、電話はつながらなかった。

 携帯電話の契約では、支払い義務があるのは名義人だ。名義とは、書類などに記された責任者や所有者などの名前のこと。つまり、ここではA 男になる。

 もし名義人が請求を無視していると「不払者」として登録され、普段使っている携帯電話は解約。新たな契約もできなくなる恐れがある。さらに、名義を貸した携帯電話が犯罪に使われたら、共犯を疑われることもあるんだ。名義貸しのリスクは高すぎる。

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▲好きな人に名義を貸しても、ただ利用されるだけで恋に発展する望みは薄い。きっぱり断るのが正解だ。

考えてみよう

世の中には、先輩や好きな人、仲のいい人などからの頼みごとを断れず、生活が乱れたり、知らない間に犯罪に手を貸していたりする人がいます。そういう人には、どういうアドバイスや手だてが必要でしょう。

(『大人になるってどういうこと みんなで考えよう18歳成人』(著:神内聡)第3章 18歳成人で変わること、変わらないこと 102ページ~103ページより引用)

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神内聡
1978年、香川県生まれ。弁護士、兵庫教育大学大学院准教授。東京大学法学部政治コース卒業。同大大学院教育学研究科修了。中高一貫校の社会科教師として勤務しながら、各地の学校のスクールロイヤーとして活動している。テレビドラマ「やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる」の法律考証や、「公共」の教科書執筆なども担当。著書に『学校弁護士』(角川新書)、『スクールロイヤー』(日本加除出版)など。

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