2020.11.26.THU. 老いてゆく道
朝の連続テレビ小説「エール」が終わった。
撮影が中断しコロナに翻弄されたドラマに、やっぱりコロナに翻弄された私も、なんとなく朝の15分間一緒にその世界を生きてきた。
亡くなった志村けんさんは、最後にやっと笑顔で登場した。本番ではないテストテイクだったのかな。あのいたずらっ子のような笑顔だった。
老いて、病床に伏した妻を起こし手をとって、ゆっくり歩いていくと
いつかのあの白砂の海に走り出し
若い二人は転がるように駆けまわり、歌った。
今の私は老いの一本道、どのあたりにいるんだろうか。
怖いものなんてなんにもない、若さで輝いていたあのころを懐かしむくらいには老いている。
しかし数年後、振り返れば十分若かったと思える今を確かに生きている。
今年はたくさんの人を見送った。
コロナじゃなければ、もしかしたら今も笑っていたかもしれないと思わずにはいられない。私といくつも年の違わない人たちばかりだ。
老いて、生き切って、光あふれるラストシーンで終える
それは簡単なことじゃないと思わざるを得ない。
今自分の命が残りわずかだと知ったら
後悔するんだろうか
ああすればよかった、こうしとけばと、思うのだろうか。
後悔しないように
じゃあ、今なにをしようか
考えてみたんだけど、特に思い浮かばない。
後悔しないほど精一杯生きているつもりもないんだけど
選択の選択の選択の末に今があって
たぶん今この瞬間も
どこにも出かけず誰にも会わずこうしてなにか書いて
お昼にはなにか食べて、店を開いて、今日から抹茶善哉をお出しして、
片付けて閉まって買い物して帰って晩飯を作って食べて風呂に入ってちょっと本を読んで寝るのだ。
朝
弁当と朝食を作り終え、
寝ている家族を起こし、しゃーっとカーテンを開ける。
結露した窓をあけて、ベランダに出ると
まだ山の頭から太陽は顔をだしていなくて
ほんのり桃色の空、鳥はもう忙しそうに鳴いて
キリッとしてきた冷たい空気を吸って
さっき0655で聞いた「冬毛の歌」を歌ったりして
ふ
ふゆ ふゆ ふゆ 冬が来た
冬 冬 冬毛の季節です・・・・
これが幸せのかたちでなくてなんでしょうか。
こういう日々がいつか終わるとしても
80歳になったとしても
冬の朝はこんなふうに桃色で美しい。
今日も一日、機嫌よく生きよう。
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