はじめてデパートでデパコスを買った
50過ぎて今さらながらメイクにはまり、YouTube先生たちの動画を見ながら気になるコスメアイテムを写経する日々が続いております。
いわゆるドラッグストアで買えるプチプラのコスメを「ドラコス」と言うことを知った。1000円前後で気軽に買えるので、コスメ初心者には大変ありがたい。
それに対して、デパートの化粧品売り場で販売される高級ラインのコスメは「デパコス」と呼ばれているそうだ。
ファンデーションでも1万円越え(諭吉ファンデなどという呼称もある)、アイシャドーパレットも7千円とかもっとするものもある。
さらには驚くことにコスメの世界にもジェネリックの概念があった。
デパコスそっくりの成分や色やテクスチャーのプチプラコスメを紹介する動画などもあってたまげた。
おかげさまでジェネリックのプチプラでいろんなアイテムを買い揃えることができました。プチプラ上等。じゅうぶん楽しい。
しかし
お茶屋の自分にはそれを良しとしないモヤモヤがあった。
初心者だから、低いクオリティーのお茶でいいなんて、絶対にない。
初心者こそ、ハイクオリティなお茶のものすごさにくらってほしい。
飲めばわかる。絶対にわかる。そしてハマる。
若干高いかもしれない。お茶にそんなにお金出すなんて狂気の沙汰かと思うかもしれない。でもそれに見合うあるいはそれ以上の多幸感があるから。
だから、わかってる。デパコスを買ってみるべきだ。
ということで決意し、時は春、新色コスメに憧れを募らせながらデパートに行ってみることにした。ドキドキ。
化粧品売り場に到着。
今回のお目当ては「春の新色アイシャドー」
実はYouTubeで実際に使われているのを見て、2つのブランドのパレットで迷っていた。
そのブランドはちょうど隣接している。
さりげなく近づき、そのサンプルを凝視し、また遠ざかる。
(その頃まだコロナの影響でサンプルを自由に触れなかった)
となりのブランドのサンプルを凝視し、また離れる。
ぐるぐる、近づいて、じっと見ては遠ざかる。まるで回遊魚。
いやこのままでは埒があかない。
今日は「タッチアップしてもらう」と心に決めてきたじゃないの。
そう、ドラッグストアの店頭でサンプルの色を手の甲にいろいろ塗ってみたとて、実際に目に塗った時と感じが違うことを体感していた。
だから今日は実際に目に塗ってもらって、似合う方を、買うのだ。
意を決してBAさん(美容部員さん)に声をかけた。
あのう・・・アイシャドー、試してみたいんですけど
「あ、はいどうぞ〜ではこちらにおかけください」
鏡の前のハイスツールに案内される。
まるでスポットライトを浴びているかのような光量。まぶしい。
高い椅子なのでぎこちなく座ると、
きれいなBAさんが不織布の前掛けをしてくれた。
これはまるで・・・地蔵ではないか。
光に照らされて佇む、地蔵。もしや通りすがりに拝まれてしまうのでは?
などとドキドキしたが地味な前掛け地蔵に興味を示す人はなく、自分は地蔵ではなく路傍の石なのだと悟る。
「どれをお試しされますか?」
えーっと
実は2つで迷っていまして、こっちにこれ、こっちにこれを半顔ずつ塗っていただきたいのです、と言えたらよかった。
それはあまりにあつかましいかも。
恐る恐る「こっちを・・・」とオレンジベースのパレットを指さす。
ほんとはキラキラするピンクのアイシャドーも気になってた。
でもこの歳でピンクなんて、って無意識にブレーキをかけたのかもしれない。それと、もしピンクパレットならこちらのブランドじゃなくて隣のブランドのほうが素敵かもとも思っていたし。
「ではつけていきますね」
コロナ禍ゆえアルコール消毒し、すべて使い捨てのアイテムで塗布してくれた。
「まずはこちらの色をベースに仕込みます」
ふむふむ
「そしてこちらを二重幅に」
ほほう
「最後にこちらでライン的に締めていきます」
YouTube先生のやりかたとはちょっと違うね。
ぬり方に決まりはないんだね。
「はいこちらでいかがでしょう。ちょっとラインも引いておきますね」
とカーキ色のアイライナーでラインを引き、マスカラを塗って仕上げてくれた。
あらすてき!
なんか、すてき!
やっていただいたこの感じがすてき!
ということでもうこれください、となった。
ピンクの方はもうどうでもよくなっちゃった。
予定外であったがカーキ色のアイライナーも一緒にもらった。
素敵な紙袋に、いっぱいサンプルも入れてくれた。
デパートのBAさんって威圧的でこわいのかと思ったけどぜんぜんだった。
もう人生丸ごと相談したいくらい良い方でよかった。
帰宅し、箱からそーっと取り出してみる。
そう、デパコスはもう箱から、箱の紙質からラグジュアリー。
ケースもつやつやじゃない。なんかしっとりした手触り。
ぱか。
うつくしひ
まだ誰も触っていないアイシャドーの表面、うっとりする。
かねてから思っていたが、YouTube先輩たちは日々大量のコスメを扱うからもうそういうの何とも思わなくなってるんだろうけど、新品アイシャドーの表面をいきなり粗雑になですぎだよ。
ということで数日愛でたのち、いよいよ塗ってみる。
まずはこれをまぶた全体に仕込む。おおー
そしてこれを二重幅に・・・ん?色がつかないぞ
思ったより薄づき、というかアイシャドー表面を恐る恐る触りすぎたのかも。もっとこう、かな、うん、うう?
などといろいろやってみて新しいルックが完成いたしました。
デパコス買ってみてわかったこと。
コスメは心の栄養剤だね!
プチプラ気軽に買うのも楽しいけど、きれいなBAさんにやさしくしてもらって買い物するの、楽しいね!もはや介護だね!
紙袋やカタログやパッケージのデザイン、やっぱり特別感があるね。
それを持って使うたびにちょっと「うふ」ってなるもんな。
粉体や色の塩梅もやっぱりこう、ニュアンス?複雑み?素敵。
だけどアイライナーにおいては、プチプラのドラコス優秀なんだと知る。
いやむしろ価格1/3のアイライナーの方が細くにじまずぴたっと密着してくれてプチプラ恐るべしと思った。
こういうのは買ってみないとわからないね。
そしてメイク上級者先輩から
「ポイントメイクはプチプラで、ベースメイクはデパコスで」
という格言をいただいた。かー!なるほど!!!
そう、メイクにハマって以来きゃあきゃあいいながら買い揃えたのは主にプチプラのポイントメイクアイテム。アイシャドー、マスカラ、アイライナー、リップ、そしてここにきてデパコスのアイシャドー。
やっぱり「ベースメイク」への意識が欠けているのではないか?
どんなアイシャドーで彩っても、くすんでたるんだ肌では映えないのでは?
遅まきながら気がつきました。何事も基礎が大事だということを。
50過ぎたこの年季の入ったお顔を、どう改善してゆけばよいのか。
スキンケア・・・基礎化粧品・・・・
そこには未知の荒野が広がっていた。
それらのアイテムは課金ダンジョン。
ちょっとおいらのお小遣いでは無理っぽい。
課金せずどうにかならないのかい、と調べたら
「食事、適度な運動、睡眠」
加齢でおっくうになって知らんぷりしてきたことばかり
ものすごくまっとうな、基礎の基礎の偉大さを突きつけられた。
ぐうの音もでない。
メイク、それは生き様。
なんか真理を突きつけられて悟りそう。
美しくなるより先に地蔵になりそうだ。
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