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2020.12.5.sat 「お父さんだって我慢してるんだから」って言わないよ絶対

今日は高2の息子の保護者向け進路説明会だった。
昨今の事情をかんがみ、密を避けるため極寒の体育館で行われた。
昨年に引き続きPTA役員をしているため朝9時に集合し、準備を手伝った。

そもそも息子の学校行事にアレルギーがあり、小学校中学校と、運動会や参観日、学校に行くのが、というか、とにかく保護者の群れに入るのが嫌で嫌で仕方がなかった。
保護者は、暮らしぶり(所得)や教育への熱心さなんかでだいたい3つくらいのカテゴリーに分かれる。みんな上手に自分が所属するカテゴリーのお母さん同志ですっとなじんで仲良くなって情報交換する。
わたしはどこにも所属できなかった。うまく仲良くなれない。差し上げられるような情報も持たないので当然有益な情報もやってこない。

それがなぜに高校のPTA役員なんかしているのか?

小学校の時に息子が楽しく通っていた「スーパーサイエンスミュージアム」にてお世話になった先生が入学した高校にいらした。
「おかあさん、役員お願いね!」
頼まれたのでしぶしぶ
「役員に立候補する人が誰もいなければやってもよい」の欄に丸をつけ、まんまとクラス役員に選ばれた。

やだな、息を潜めて1年はつとめよう、と「広報委員会」というのに所属してPTA新聞作りに参加したら、これが楽しかったのだ。
そもそも受験して入学した子らの学力が近しく、この学校を選んだ考え方が理解できる、という基盤もあったとは思うが、保護者の方々の感じがとてもよかった。無理にべたべたせず、特定の誰かが偉そうにもせず、できる人ができることを自主的にすっとやって、無理しない。とても心地よく活動し、2年生になっても引き続きやることに抵抗はなかった。

なにより、息子からは一切入ってこない情報が入ってくる。
「えっ!そんなプリント見てないけど!?そんな提出物聞いてないけど!!?」
届くはずのお手紙も届かないうちには大変ありがたいことであった。

ということで極寒の体育館で「受付あちらです〜」などと手にアルコール消毒液を吹き付ける係をやり終え、本日の本題を聞くことになった。

「進路講演会 令和時代の大学進学と学習方針 保護者として知っておくこと」というタイトルで、大手進学予備校の講師が話をした。

「みなさん、もう、自分たちが就職活動をしていたころの日本とは違うんです」 企業の世界時価総額ランキング、1989年はNTTをトップに、ずらずらと日本企業ばかりが並んでいた。それが2018年、アップル、アマゾン、マイクロソフト・・・日本企業でTOP50に入っていたのは唯一トヨタ自動車だけだった。

これは大変だ、とは思わなかった。
まあ、そうだろうな。で? って思った。
このランキングを見せてこの人はなんの危機感を煽ろうとしてるのか。

その後も「社会の大学生を見る厳しい視線」などという記事を紹介。
企業の人事担当者はこういう視点で大学生を選別しているという話だった。だから、大学選びは大事だ、競争に勝ち抜かなくてはならない、と。

今年度から新しくなる受験システムの話、効率の良い勉強の話、エビングハウスの忘却曲線、うちの子ゲームばかりして動画ばかり見てぜんぜん勉強しないんですという保護者への回答・・・・

そしてその講師はこういった。

「ぜひ保護者の方も、お子さんと話をしていただきたいんです。
仕事も世の中も、楽しいことばかりじゃないんだぞ、お父さんだって、大変だけど我慢して頑張ってるんだ、と」

はぁ?

楽しいことを我慢して苦しいけど頑張って、死ぬ思いをして大学入って苦しいけど頑張って勉強して頑張って卒業したらその先も楽しいことばかりじゃなくて大変だけど我慢して頑張らなくちゃいけない世界が広がってるとしたら、それはもう死にたくなるよな。

大人は、そんな世界を見せるために、子供に我慢を強いるためにいるのか?
馬鹿じゃないのか?

人はいきいき生きるために生きてるんだ。
いいな!すごいな!楽しいな!と、心が躍るほうへ、1ミリでも近づいていくために生きてるんだ。じゃないと死んでるも同然だ。

あの小学校の参観日のあとのお母さんたちの立ち話は、今日の進路説明会とおんなじだった。いい塾へ、いい学校へ、競争を勝ち抜いて、だから今年は家族旅行も我慢してみんなで頑張らなきゃね、中学受験は親の受験だものね。

いま期末試験中の息子はほぼ毎日、仲のよい友達たちと「勉強してくる〜」とショッピングモールのフードコートに通い詰めている。ほんまに勉強しとるんかいな、まあ、どうせ勉強なんかになってないじゃろとは思うけど、絶対に楽しそうだからいいと思う。

仲の良い友達のお母さんもPTA役員をしていたので、「いつもお世話になってます〜」と挨拶をした。「なんか心配になって偵察にいったのよ、そしたらみんな教科書広げてちゃんとやってたわ。楽しそうに」
ねー、楽しそうですよねー。それが一番ですよね。結果が伴わなくてもね。
もうね、口うるさく言って成績上がるんならとっくに上がってますよね、言ってもね、もうしかたないですもんねー。

親が言って聞く時期はとっくに過ぎてる。
親がしてやれることはご飯作って食べさせるくらいのことだ。
あとは、自力で「まじやべえ、超すげえ」ってものにがつーんと出会ってくれることを願ってる。
そして楽しいことを我慢させて苦しみに耐えさせようとする大人なんかぶっとばして、思うようにいきいき生きてほしい。





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