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夢の風景 9

僕は街を見下ろせる山の頂上にある電話ボックスで妻に電話をした。「・・・」
「どなたですか?」
「・・・」
「いたずら電話なら切りますよ」電話が切られた。
不思議なことに妻には僕の声が聞こえないようだった。

この山には、登山道のあとこちに公衆電話ボックスがある。山を降りる決心が鈍れば、電話してリタイヤすればいいのだ。人生とはそういうものだ。

僕は妻に会うために山を降りる決心をしたのだ。

山を降りるのは大変だが、10年ぶりに妻に会えるのだ。多少の寒さを我慢しながら歩いて行く。遠くには京東ー新土津までを貫く高速鉄道線の高架が見える。

山を降りると、1匹の犬が近寄ってきた。あの神社で飼われている犬なのか?

神社を過ぎても、まだ犬はついてくる。邪魔になることもないから旅の道連れとしよう。目の前の教会(境界)を抜ければ、故郷の街がある。

教会を抜けると目の前が開けた。故郷の街が目の前に見えた。

故郷の街への吊り橋を渡る。妻は僕を明るく迎えてくれるだろうか? 
ん、犬は・・・? いつの間にか彼は消えてしまった。

妻が待つ館が見えた。もうすぐ君に会えるんだ。

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