見出し画像

湯島の夜『爽やかに泣ける台湾映画「1秒先の彼女」』

最近は外国映画ばかり観ている。外国と言っても、殆どがアジア映画である。それも美的感覚と金をかけてるという点で、どうしても見応えがある韓国映画になるが、今回は違う。台湾映画だ。凄く良かった。泣けた。

その映画が、台湾アカデミー賞5部門を受賞した「1秒先の彼女」だ。監督はチェン・ユーシュン。

郵便局で働くシャオチー(リー・ペイユー、英語名パティ・リー)は、何をやっても冴えないアラサー女史である。恋する機会もない。最大の欠点は、写真を撮られれば目をつむり、映画を観て笑うタイミングも早すぎる。何をするにもワンテンポ早過ぎてしまうことだ。

もうひとりの主人公は、何をするにもワンテンポ遅いウー・グアタイ(リュウ・グアンティン)。シャオチーとは真逆の性格だ。怒って人を殴ろうとしてもテンポが遅いので逆に殴られてしまうほどだ。そのグアタイはシャオチーに好意を持っていて、毎日のように手紙を出しに来る。そんなグアタイを見て「変人」だと決めてけて精神的に敬遠してしまう。

ある日、シャオチーは、公園でのダンス教室に参加してハンサムなダンス教師(結婚詐欺師である)と知り合う。そして一目惚れ。バレンタインデーにデートをする約束をする。

しかし、バレンタインデー当日に目覚めるとベッドに寝ていて、何故か真っ赤に日焼けしている。慌てて約束場所に向うが、どうも街の雰囲気が違う。通りがかりの人に尋ねるとバレンタインデーの翌日になっている。シャオチーは「私はバレンタインデーに何をしていたんだろう?」と考えるが、肝心の記憶がない。また見覚えのない郵便局私書箱の鍵もあった。しかし、どこの郵便局の鍵なのかはわからない。

考えながら街を歩いていると写真館のウインドウに自分の写真が飾ってある。写真には見覚えがない。撮影場所は海辺の街のようだ。シャオチーはその場所がどこであるのか、あたりをつける。

そこで消えたバレンタインデーの記憶を探すために休暇を取って、あたりをつけた海辺の街に出かけるのだった。ヒントは私書箱の鍵だ。海辺の街の郵便局をすべてあたり、私書箱に鍵を差し込むが、なかなかみつからない。そうするうちにやっと鍵が合う私書箱をみつけた。開けて見るとたくさんの手紙が入っていた。その手紙は見覚えがあるグアタイの手紙だった。

シャオチーは、その手紙を読んで、消えたバレンタインデーの意外な秘密を知るのだった。

*「おみおくりの作法」(こちらも是非ご覧下さい)と違って、何も不幸が起こらない(一瞬、不幸が起きるように見えますがね)優しいファンタジー作品です。優しいファンタジー恋愛映画が観たいと思われる方は必見です。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?