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ホラー映画「ビバリウム」「ウイッシュルーム」

最近観たホラー映画で感心したのが「ビバリウム」と「ウイッシュルーム」です。両作品とも住宅という狭小な(ある意味広大でもあります)環境で不条理な物語が展開されます。

「ビバリウム」

ビバリウムは、広大な住宅地に閉じ込められてしまうという話です。

新居を探すトムとジェマは、不動産屋から住宅地「ヨンダー」を紹介されます。不動産屋の車に自分たちの車で着いていくと、それまで、見たことのない広大な住宅地に入っていきます。そこには何一つ変わらない同じ大きさとデザインの気味の悪い住宅がびっしりと並んでいます。ふたりはそのうちの1軒に案内されます。室内はごく普通ですが、個性のない無機質な雰囲気です。

初めから乗り気ではない二人は、そのこじんまりとした個性のない家には興味がありません。内見を終えて帰ろうとすると、ついさっきまで案内していた不動産屋が消えています。仕方なく、ふたりがと車を走らせて帰ろうとすると、住宅地のどこまで行っても、住宅地から出られないのです。それだけでなく、また案内された家に戻り着いてしまう。

仕方なく、その家にとどまることになりますが、不思議なことに、毎日、家の前の道に食料が置かれるのです。戸惑いながらも食料に手をつけつつ住宅地から脱出する方法を考えめぐらすのですが、どうにもならない。精神的にも肉体的にも疲れ切ってしまいます。そんなとき、今度は「赤ちゃんが入った段ボール箱」が道に置かれています。

ふたりは仕方なく、その子を育てるのですが、異様に生育が早いのです。あっという間に少年になっちゃう。それだけでなく、この子は、かなり精神状態がおかしい。そのうちに言うことをきかなくなるんです。

この子がさらに大きくなるんですが、こいつを捕まえようとすると『考えもつかなかった場所』に逃げ込むのですが、それが最高に気味が悪いのです。

果たしてふたりは、この住宅地ヨンダーから脱出できるのでしょうか?

さて、ビバリウムとは何でしょう?

「生き物が住む環境を再現した空間」を意味していたようですが、現在では、爬虫類や両生類の棲む環境を再現したガラス(もしくは透明プラスチック)箱のことをビバリウムと呼ぶようです。言うなれば、僕が趣味で作っているジオラマのようなものですね。住宅地ヨンダーこそがビバリウムなのです。

もうひとつは「ウィッシュルーム」です。ウィッシュの意味は望み…ですよね? 望みが叶う部屋のホラー作品です。 

夫婦が古い邸に引っ越してきます。見るからに幽霊屋敷のような見た目です。「よくこんな不気味な邸で生活ができるもんだ」と普通の人だったら思いますよ。その邸で引っ越しの片付けをしていると、奥の方に奇妙な部屋があります。開かずの間なんですが、その部屋の鍵を見つけた夫が部屋を開けてしまうのです。灯りもなく真っ暗な部屋です。

翌日、その部屋の中を見ると、数えきれぬほどの管やケーブルが生き物の血管のように張り巡らされています。もの凄く不気味です。

夫がネットで調べると、この邸では昔、夫婦が殺されたらしいのです。『スプリンウェル殺人事件 血の館…逮捕された若い男の容疑者に関しては、いまだに身元不明』という文字が記事にあります。

不安になった夫が、その部屋でウイスキーを飲み干して「もう1本欲しいな」と何気なく呟くと、目の前に1本のウイスキーが置かれているのです。

翌日、妻が部屋に入ると、ゴッホやセザンヌの絵やその他の美術品が所狭しと並んでいます。夫の願いを「ウイッシュルーム」が叶えたのです。信じられない妻も、「お金が欲しい」と言います。すると現金が目の前に現れるのです。

ただし、そんなにうまくいくはずがありません。邸の外に出ると消え失せてしまうのです。そんなふたりは子どもが欲しいと願います。すると赤ちゃんが現れます。

その赤ちゃんはウィッシュルームが創ったモノですから“マトモ”ではありません。あっという間に大きくなってしまうのです。ん?

気づきましたか。ビバリウムと同じです。この子どもが厄災の源となるのです。

はたして夫婦の運命やいかに?ビバリウムみたいにならなきゃいいんだけど…。


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