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韓国映画「野球少女」人に優しくあれ

また韓国映画です。以前、お金をかけていない映画は面白くないと書いたことがありますが、この作品は、それほどお金がかかっていないように思える作品ですが、面白いというか感動します。脚本・演出が素晴らしいのですね。

1997年に韓国で女性として初めて高校の野球部に所属し、その後韓国プロ野球(KBO)主催の公式戦に先発登板したアン・ヒャンミ選手がモデルとなっているそうです。

「投手として才能を見出された女子高生がプロ野球選手を目指す」お話ですが、プロ野球は男性のスポーツという常識が行く手を阻みます。“野球に才能があっても体力では男性には敵わない”、“娘の才能を理解していない母親との葛藤”、“ひとりだけプロ野球にスカウトされた野球部男性との軽い恋愛感”などが少女を苦しめます。

それでも少女は野球を辞めないのです。決して諦めないのです。コーチは彼女に体力をつけさせ、球速(134キロ)では男性に勝てない彼女にナックルボールを投げる特訓をしますが、決して汗臭い「ど根性話」にはなりません。それがこの作品の美しさに結実するのです。少女の清潔感が保たれたままに彼女はプロでも充分に戦える力をつけていきます。

「本当に目指したい道ならば決して諦めない」という精神高揚感と同時に人に優しくしようという気持ちになれる作品です。

主演は「梨泰院クラス」(未見)でトランスジェンダーを演じたイ・ジュヨン(野球少女撮影時は多分27~28歳くらいなんですよ)、彼女を支えるコーチは「聖女 Mad Sister」のイ・ジュニョクが演じます。

素晴らしいのは母親を演じる「無垢なる証人」のヨム・ヘランです。初めは苦しい生活によって、お金のことしか考えられなくなり、主人公のグローブを焼いてしまう憎まれ役なのですが、後半、娘のプロ野球テストを観てから娘の才能に気づき、真剣に娘を思う母親に変っていくのです。


映画を観たあとは、人に優しく接しようと思いますよ。そうそう、人には優しくしなくちゃいけませんよね。


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