主体性
主体性という文字が頭の中を通過してゆく。人間はどうしようもなく迷った時に自然に触れたくなるらしい。原風景。原始的。どうやら迷っているので俺は川に行く。川に行ったら近くの山から降りてきたであろう子猿と対岸の間で見つめ合っている60代くらいの爺さんがいた。俺はそこでなんとなくこの小猿と爺さんはテレパシーで通じようと双方ともに思っているが上手くいってないと思った。俺は猿と人間では言語が違うのだからこの爺さんはテレパシーとやらで言葉を介さずに喋ろうとしているのだ。相手は子猿。もし子猿に何かあればあいつの親猿は猛烈に怒るだろうな。子猿が耐えかねてここから去ろうと忍び足で後方へ数歩下がっていった。数歩下がったのを爺さんは確認して「タローこっちこい!帰るぞ!」と言いリードがないが首輪をしている柴犬がやって来た。
空が青いなと思った。