大好きなおじいちゃんの話をしよう。
私の引っ越した家は夫の祖父の住んでいた家だ。
おばあちゃんが数年前に亡くなりおじいちゃんが1人で住んでいたが、施設に入り空家になった家。
持ち主である叔父さんも、叔父さんの家族も住む気はなく、おばあちゃんの位牌だけが残されていた。
関西へUターンしこの家に住んで4日後、引っ越しの片付けが終わった頃におじいちゃんは亡くなった。
まるで私たちを待っていたかのようなタイミングだった。
99歳で大往生を遂げたおじいちゃんは、亡くなる日の朝までご飯もしっかり食べていたらしい。
数日後施設に会いに行く予定だったのに間に合わずに亡くなってしまったのは悲しいが、沖縄に住んでいたら確実に来れなかったであろうお通夜もお葬式も参列出来て、おじいちゃんの顔を最後に見られてよかった。
おじいちゃんは背が高くて格好良くて朗らかで、こんな人と結婚したら幸せだろうな、と思う憧れの人だった。
おばあちゃんの事をすごく愛している人だった。
昔、病院のロビーでおじいちゃんと2人の時に近づいて来た男性がちょっと変な人で、ずっと嘘かほんとか分からないような話をしていた。
私はすごく嫌で早く何処かへ行って欲しかったのだが、おじいちゃんはずっと親身に話を聞いていて、そのおじさんが見えなくなると「大変やな、可哀想やな」と心から心配していた。
おじいちゃんの心の優しさにすごく感動したのを覚えている。
そんな素敵な人だった。
Uターンして来た後の親戚へ挨拶はどうしようかと考えていたがお通夜とお葬式で全員にする事が出来た。
おじいちゃんが引き合わせてくれたようだ。
10年以上ぶりに会った夫の従兄弟達にドキドキしながら「ご無沙汰してます」と挨拶したら「あんた前歌ってた人やなぁ」と言われて、何の話だろうと思っていたら、どうやら結婚してすぐのお正月におじいちゃんとおばあちゃんの家に集まった時の話だった。
お酒の強いおじいちゃんに、ニコニコしながらしこたま常温の焼酎を飲まされたのだ。
歌を歌った覚えは無いが、おそらく歌ったのだろう。
結婚してすぐに夫の親族にそんな姿を見せていたなんてお恥ずかしい。
カラオケではなく自宅で歌うとかどんなシチュエーションだったのかは覚えていないが、あの時いっぱい飲む私を嬉しそうに見ていたおじいちゃんの顔を思い出せてよかった。
今日はそんなおじいちゃんの四十九日だった。
あんなに人徳のある素敵なおじいちゃんだから、心配なく極楽浄土に行ってまたおばあちゃんと仲良く過ごすのだろう。
我が家には今2人の位牌が仲良く並んでいる。
2人に見守られていると思うとすごく心強い。
亡くなった日は大雨だったが、今日はとても良いお天気だった。
燃えるような綺麗な夕陽も見れた。
これは明日もきっと良い日に違いない。
おじいちゃん、これからも見守ってね。
曇りのち晴れ
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