予選会 -We must go- ②
さすが本気で箱根駅伝を目指してきただけあって、人波をぬって全速力で駆けるユメタは速い。夕真は背に追った機材を揺らしながら必死に追い縋ったが、どんどんその背は小さくなった。
行き先が分かってて助かった! 息を切らせながらも、安堵に胸を撫で下ろす。
すっかり撒かれてしまったものの、みどりの窓口で夕真が自分は青嵐大の学生であることを伝えると、窓口にいた壮年の駅員は親切に医務室まで連れてきてくれた。
「──ありがとうございます。お騒がせしてすみません」
夕真は少し声を顰め