予選会 -We must go- ④
「あははははは! あいつ、一体なんなんだ!? 十五キロ過ぎてあの加速力!! 信じらんねえ!!」
土田コーチが高らかに上げた笑い声で、はっと我に返る。
「やばっ! タイム!!」
シャッターを切るのと声援を送るのに夢中になっていて、レースの速報値を伝えるのをすっかり忘れていた。
「ま、いいべそれは。喜久井はもう大丈夫だろ」
あっけらかんとそう言った土田コーチは、一瞬だけ晴れ晴れとした顔をして見せる。が、すぐに鳩尾あたりをさすりながら眉間に皺を寄せた。
「問題はノ