予選会 -We must go- ①
十月二十日。日曜日。空には厚く、重たい雲が垂れ込めている。
ここ数年、箱根駅伝の予選会では雨が降ることが多い。少なくとも夕真が青嵐大のスポーツ紙──通称〝青スポ〟の記者として参加した過去三回の予選会はいずれも雨。もしくは、曇りのち雨だった。
「今年も降りそうだなあ……」
ノブタは信号待ちでブレーキを踏んだ直後、三浦ハウスから出発した駅伝部員と夕真で鮨詰めになった車の運転席から外に頭を出して唸る。
「まあ現に、九時から十一時にかけての降水確率は六十パーセントだしね