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工芸思考_備忘録2020_0107

工芸思考という、工芸のものづくりを通して見えてくる思想があるのでは?と様々な分野の職人と対話を深めて、思考を話し言葉で言語化していく試みを、

木桶の中川木工芸の中川さんと、お茶筒の開化堂の八木さんに誘っていただいて、しています。

中川さんと八木さんの木桶もお茶筒もすごいのだ。(よかったらググってみてください。)
まず理屈抜きに美しい。そして、思想がある。そして、積極的なコラボレーション精神。アグレッシブさよ。

このお兄さんたちは、敢えて俗っぽくわかりやすく言うと
京都の工芸界のSMAP(私が勝手にそう例えてますGO ONの皆さんすみません!)とも言えるGO ONのメンバーで、

GO ONが工芸を語ると、スタイリッシュになる。集客力がある。
京都でイベントをすれば、
一家言ありそうな関西のお洒落人・知識人も集まるし、お知恵やヒントを貰いたい工芸の事業主さん・職人さんも沢山集まる。

そんなGO ONからスピンアウトしたお兄さんふたりにお声をかけられたのは
ありがたいことこの上ない訳で。

で、私は何ができるのだろうと、必死で考えながらどうにかよちよちついていってるのだけど
中川さんの直感と感覚で果敢に切り拓いていく行動力と、八木さんのうまいこと聴きやすい方向に誘導しながら掘り下げていくバランス力と、ふたりの引き出しの多さに目を見張るばかり。工芸の周辺ってこんな考えることがあるんだな。そして、おもしろいじゃないか('◇')って。

職人さんの対談とインタビューと、去年の11月から計三回やってみて(詳しくは工芸思考のページにアーカイブで残しています)
いろんな感触があるのだけど、ひとまず
2019年12月18日の朝日焼のお茶室で松林さんとの対話が、おもしろい展開だったので、かいつまんで、その場で挙げられた問いを書いておきます。

よかったら工芸思考のFBページから聴いてみてください。

・マスプロダクトに支配される日本の地方。日本の地方には、ローカル文化があまり残らない理由とは
・台湾は自分で商売する感覚が強く、ローカルで作られたものがその地域で消費され、その行為が地域の多様性を育てるのでは

・先祖帰りの風土ではなく新しい風土へ。新しいものが生まれるときの雑さと遊び感覚
・革新が起こる環境とはどのようなものか。日本は新しいものが出てきにくく、おおもととディテールを大切にする。
・工芸の進化論とは。挑戦することの感覚のズレ

・言葉で伝わっているものは何か。茶道で利休がいいと言った茶碗や作法をそのまま伝承すること。そのまま伝承すべきもの、残らないものとは。

・美しいと感じるもの、感じられないものの違い。アートと工芸の違い。
再現可能な美しさを持つ工芸と、再現された美しさに意味がない
アートは今までに無い概念が大事。
・茶碗の偶然性、茶筒の再現性
茶碗の焼き上がりの結果の偶然性はあるが、再現性を重要視している。

・工芸はすべてロボットで作れるか。ロボット工芸と職人工芸の価値の違い。工芸を生み出す職人の試行錯誤が価値を持つ。

・人間国宝はいても、人間国宝の作るものが国宝になっていない。
国宝は丁寧に扱われる何かが宿って、複数のひとの手を経て、国宝になる。茶碗の箱には誰の手に渡ったか履歴が記される。次の時代に残すべきことをバトンのように渡していく。

・中国は土地の使用権利を、月々国に支払いしているが、それは理にかなっているのでは。共有資産と所有感覚の在り方。

・焼き物は無くならず生産力が過剰だが、作り続けている、ということ自体に価値がある。いままで培ってきたことをそのまま残す行為。

・工芸のサブスクリプション
所有とシェアの感覚の変化。中川木工芸が旅館の特別室一室を設える、桶づくりワークショップ開催の試みについて。作り続ける職人とは違う形の職人。

・所有欲の正体。〇〇さんのクオリティのものが欲しい。
価値の理解を促進するために、デザイン、アート、ファッションとのコラボレーションを進める。

・工芸を楽しむための情報や知識の提供。多くのひとが楽しむ方法、楽しむ価値の伝え方が足りない。
・日本スタンダードにしすぎていた工芸の価値の伝え方から、世界をマーケットにした伝え方へ。現地に行くべき。
・海外や現場を見たことがあるかないか、が大きな違いになる。
海外デザイナーの言うままに作るだけでは意味がない。

・移動距離がクリエイティビティになる。心の移動距離、ワォと思ったことがクリエイティビティになる。
違う場所から来たひととの風土がそれぞれにあり、多様性がある状態がよい。

話し言葉は、問いになる。エモーショナルでもあるけど、親しみを呼び起こす。(書き言葉は、自己完結型、上から目線になりがち)

さて。これをどうやって、伝えていこうか、という備忘録。

お時間いただきありがとうございます。