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西尾市のワクチン接種横入り未遂事件

謝罪は、信頼回復のための、最後の、そして最高のチャンス。
失敗した時こそ、正直に真摯に自分と向き合い、振り返ることができるのですが、つい、焦ってその場を逃れようとしがちなのも、謝罪の場面。振り返るのは、失敗した時には苦しい作業だけど、自分の心の大掃除と捉え取り組むのが成功のポイント。今回は、この苦しい場面で見落としてしまった謝るべき相手のお話し。

「接種の公平性を欠き、市民の皆様からの信頼を著しく損ねてしまったことに対して、心からおわび申し上げます。申し訳ございませんでした。」

白いマスク姿の3人がテーブルに並び、深々と頭を下げた謝罪会見場。
中央でこのコメントを発したのは愛知県西尾市の中村健市長、42歳。西尾市議を1期務め西尾市長に当選した若手の首長です。

マスク越しにも市長より年長とわかる両脇の二名は、左が簗瀬貴央健康福祉部長、右は近藤芳英副市長。謝罪の席次として、この並びは正解です。しかし、私が気になったのは、これは、西尾市だけの問題ではなく、選挙で選ばれずに就く副市長という行政の構造問題にあるのではないかでした。謝罪会見が始まり事の顛末が明らかになり始めたころ、本件の本質的な問題が見えてきました。

事件はこうでした。
全国に1400店舗を展開する薬局大手、スギホールディングス(スギHD)の社長秘書から西尾市の健康課保健センターに電話がかかってきたのは4月12日。内容は、新型コロナウイルスのワクチン接種について、スギHDの創始者である杉浦広一会長(70)とその妻である昭子相談役(67)を、高齢者の施設入所者枠などで優先的に接種予約ができないかというものでした。

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