読む絵本 『つばさ』②
とりさんは、長い間自慢話を続け、
チョウは物から物へヒラヒラと移動しながら、その話に耳を傾けました。
ひととおり自慢が終わると、とりさんが言いました。
「話は変わるけど、
きみはどうして飛べるんだい？
歩くのはとても疲れるし、
飛べたとしたら、
またみんなにうらやましがられて
とてもいい気分だろうねえ。」
チョウは少しびっくりした表情で、
「いい気分になりたくて
飛んでいるのではありません。
飛んでいるといろんな景色が見えて、
美しいとは思いますが・・・
飛んで花から蜜を貰うのも、花から花へ
花粉という届け物を届けるという、
仕事でもあるんです。」
「ふ〜ん・・・そんなことをして、何になるんだい。」
とりさん、納得いかずけげんな表情です。
チョウは
「単純なことです。
私は花から蜜をもらい、
おなかがいっぱいになって幸せになる。
花は自分で届けることができない花粉を、
私が届けることで幸せになる。
そうやって自分ができることを、お互いに
与え合いながら、幸せになるんですよ。」
するととりさん
「ふ〜ん、よくわからないな。
そんなことで幸せだなんて。
ぼくは自分がほかのみんなより
多くのものを持って
みんなに憧れの目で見られて、
自分が楽しければそれが幸せだよ。」
と言って、花をプラプラともてあそびました。
チョウはそのまわりをヒラヒラ飛びながら、
「もちろん、楽しい事は大切です。
でも、さっき私の方へ歩いてきたとりさんは
ちっとも楽しそうではありませんでしたよ。
そして幸せそうに見えませんでした。
こちらへきてこの中を覗いてみてください。」
そう言って、とりさんの部屋にある大きな
水瓶にとまって、とりさんをうながしました。
とりさんがそっと中を覗くと、水瓶に映った
自分の顔が見えたのです。
その顔はなんともみにくく、目はつり上がり
きれいに整えた毛並みには、とても不釣り合い
なものでした。
なんとかしようと顔をなでる手は、
毛だらけでどうしようもなく・・・
「もういやだ！この手はなんてじゃまなんだ。
何もかも、何をするにも
うまくいかないよ！」
と、言いながら肩を落としてしくしくと
泣いてしまいました。
チョウはそっととりさんの手にとまり
「とりさん、あなたのその手は
とてもステキですよ。
ただ、とりさんは、どうして手が大きくて
毛におおわれているのか、よく考えた
ことがないだけなのです。」
チョウはまた水瓶の縁にとまり
「もう一度この中を覗いてみてください。」
言われた通り、とりさんはまた水に映る自分を
見つめてみました。
今度は大きらいな毛だらけの手を広げて、
よーくよーく見てみました。
「・・・やっぱり大きくてみっともない。」
すると、チョウは言いました。
「ねぇとりさん、私のはねを見てください。
体よりも大きくて、ただこうして止まって
いると、じゃまなだけに見えませんか？
とりさんのその手によく似ていると
思います。」
とりさんは、大きく目を見開いて輝かせました。
「じゃあ、ぼくもきみのようにヒラヒラと
飛ぶことができるのかな！」
＊＊＊
自分も飛べるかもしれない！そう思うと
心の中から、言葉にできないワクワクが溢れてきて
がまんできなくなって、とりさんとチョウは外へ走り出し
チョウはヒラヒラと空へ、
とりさんはなれない様子で大きく手を広げて、
手をバサバサと力いっぱい上下にふりました。
つづく♡
あとがき＊
2話目、今日はここまで。
いかがでしたか？( ´ ▽ ` )♡
ステキな人や頑張っている人を見て、
すごいなーとか、うらやましいなぁとか、
あんな風になりたい。けど、自分にはムリだなぁとか、
私はそんな劣等感の塊を持っていました。
できない事、叶わないことを数えて過ごす時間は
できなかった、叶わなかったという
現実を連れてやってきます。
ならば
小さく感じても、できたこと、幸せに感じた事
ワクワクすること
自分の中のそんな感覚に、耳を 心の眼を傾ける。
「でも」とか 「できないよ」とか頭からそんな声が
聞こえてきても心の声に集中してあげる。
そんな時間の連続が、今度はできる環境、叶うチャンスを
呼ぶのではないか。。。
このどちらかの時間を、自分が自由に選択できるのだから
今まで完全に無視してきた、自分の心の声を
今こうしたい！と感じている事を、聞き逃さず
叶えてあげる。
小さな選択の連続を、常に自分と相談しながら。
例えば、目の前にあるご飯の、何から手をつけようかな。
なんて事も、真剣に。
最近はそんな現実を、今この一瞬を、
行ったり来たりしながら、生きています。
長くなりました。
最後までご覧頂きありがとうございました♡
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