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ナレーションを極める3 「ニュースの初見に強くなるには」

ナレーターの熊崎友香です。

テレビ東京ワールドビジネスサテライトなどのナレーションを担当しています。

「ニュースや、難しい漢字が出てくる原稿が苦手なんです」という話をよく聞きます。

その苦手を克服できるかもしれない基本的な練習方法です。

「新聞を声に出して毎日読むこと」

これは大学時代のアナウンス勉強会でも、いま所属しているナレーター事務所の勉強会でも、実践されている練習方法で、最近尊敬する売れっ子ナレーターさん(レギュラーを何本も持っていて、誰もがその声を聞けばわかる憧れの存在)も実践されていたと聞き、改めてその大切さを再認識しているところです。

できれば難しい漢字が並んでいるという意味で、新聞がベストだと思いますが、いまネットでもニュースが簡単に見られますよね。LINEで送られてくるニュースなどなら、携帯そのままでも、できそうです。プリントアウトの必要もありません。

一面、トップニュース、社説など。ポイントは、下読みをしないこと!紙を裏返しておいて、パッとひっくり返しそのまま大きな声で読む!ゆっくりで構わない!

読めない漢字、わからない言葉、不明なアクセントは辞書やアクセント辞典で調べる。たとえば今なら「パンデミック」はどこにアクセントを置くか?


NHKアクセント辞典によれば、パではありません!デかミです。報道の番組で、アナウンサーやナレーターはどう発音しているか?都度チェック!

ちなみに本日は、この漢字が読めませんでした。

逼迫 

読めます?

ひっぱく

でした。

これを毎日続けると、日々のニュースの流れも把握でき、難しい漢字にも強くなり、相当量のストックになり全て自分の財産になります。

小さなラジオ局でニュースの送出をしたり、NHKのローカル局でニュースを読んだり、WBSでニュースを読んだり、かれこれ放送局に20年ほど携わっていますが

最近ようやく、初見でニュースを読んだとき、何か文章がおかしいと、噛んでしまったり読めなかったり、体が拒否反応を示すようになってきました。もっと極めて現場で役に立ちたいなぁと思っています。

昔、NHKスペシャルなどのナレーションを担当する、元NHKのアナウンサーの方に、自分が制作したラジオ番組のナレーションをしていただいたことがありますが、その時、ナレーションも凄いけど、この方、プロデューサーみたい!まるでスタジオにプロデューサーが2人いるのではないか!なぜ私が1ヶ月かけて取材してきたことを、朝送って読んできた人の方が詳しいの?と驚いたことがあります。

今思えば、経験値、引き出しなんですよね。。。

もう少し歳をとったとき、あんな風になれたらかっこいいな!と思っています。


ニュースの現場はバタバタしています。時々、何人もの方がチェックしていても漏れがあり、ナレーターは正しい日本語でお伝えできているか確認する最後の砦でもあるのです。


声に出して読むとき携帯のボイスメモなどで収録しあとで聴きなおしたり何人かで練習するときは、みんなで回しながら読むと緊張感があります。

ダラダラ読むのはダメ。自己満足もダメ。一発本番!

「これが全国に生放送で配信されている」と思って取り組むこと。

「初めて聞いた人が、理解できるように読む」ことを心がけて。

あくまで大切なのは、「内容が伝わっているか」。

とてもお世話になった方から教えてもらったのですが、かつて「ガイアの夜明け」のナレーターを担当されていた俳優の蟹江敬三さんも、お風呂に浸かりながら、日経新聞の一面を声に出して読み知識を入れながら滑舌の練習をされていたそうです!「だから熊崎さんもやってください」と。ありがたい助言に感謝です。

最近は朝ごはんの後に、ストレッチのように取り組んでいます!基本的で地味な練習かもしれませんが、尊敬する人が言っていました。

「努力を続けることしかない。日々積み重ねていくことで、5年先、10年先に、違う景色が見えてくるのだ」と。そんな景色を見てみたい!!と思って励みます。


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