「機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー」は凄いんだ!「特撮」「戦隊」「VS」そして「ゼンキラセンパイ」

こんにちは、はじめまして、くまゑです。

くまゑ


Youtubeではくまゑが埋もれてるな~と個人的に感じた推し漫画を紹介する「掘り出せ!推し漫画」を時々公開しています。
普段は森のなかで保育園をして、こぐまちゃんたちと遊んでます。

「推し!漫画」は先日の「ザ・モモタロウ」で10本目の紹介となりました。古いの新しいの、今後とも色々紹介していきたいです。

このnoteでは漫画以外のコンテンツ(映画やアニメ、小説、舞台やゲームなど)を中心に紹介していきたいと思います。文字情報が中心で、長めになります。

機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー

早速の1本目は観てきたばかりの「機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー」!

特撮」です。

「特撮」という言葉は元々特殊撮影(SFX)を意味していて、撮影にマネキンやスタントマンを採用したり、コマ撮りして動きを演出する「動画撮影だからこそ出来る加工技術」全般のことですが、近年ではこれらの技術をメインにした「実写ヒーロー作品」を示す言葉にもなっています。

現状定期的に新作が提供されている点で、「仮面ライダーシリーズ」と「スーパー戦隊シリーズ」、「ウルトラマンシリーズ」が代表的な「特撮3シリーズ」です。「ゴジラ」などの映画シリーズも含まれます。

今回はそのうちの「スーパー戦隊シリーズ」より「機界戦隊ゼンカイジャー」をメインに据えた一作、「機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー」です。

「機界戦隊ゼンカイジャー」自体の説明から入ります。
昨年度2021年度に1年をかけて放映されたスーパー戦隊シリーズで、シリーズ45作品目の記念作でした。

「スーパー戦隊シリーズ」は1975年に開始した「秘密戦隊ゴレンジャー」からはじまり、3作目「バトルフィーバーJ」からは1作ごとに1年をかけて放送しつづけてきて、45作目となりました。

「仮面ライダーシリーズ」「ウルトラマンシリーズ」がそれぞれ間に空白期間があることを踏まえると、継続性という点では随一のシリーズになります。

しかしその「スーパー戦隊シリーズ」も長く続いたことで逆に「定番」といった要素が「マンネリ」や「しがらみ」と呼ばれる部分が課題になってきました。特撮3シリーズの中でも特に「子ども向け」を標ぼうしていて、話や構成に大きいひねりや変化が与えにくいという課題は、製作側も視聴者側からも共通して見えていたものでした。

この「マンネリ」を打破することを現実的な目標として製作されたのが「ゼンカイジャー」です。
世界設定はおおむね現代ですが、並行世界は既に発見されている状況です。

その並行世界をすべて消そうとする悪の組織「トジテンド」に立ち向かう、人間のヒーロー「ゼンカイザー」とその仲間である4人の機械生命体「キカイノイド」のチーム「ゼンカイジャー」が活躍するというのが大筋です。

近年の「スーパー戦隊」は「それぞれ優秀なメンバーが集まり活動する、劇中最高峰の正義のヒーローたち」という表現が基本でしたが、「ゼンカイジャー」は「みんな出来ないことや苦手なことはあるけれど、5人集まって頑張ればなんとかなるよ!」という「チーム」をより意識した作りになっています。

この「出来ない」や「苦手」の表現がとてもとても上手にされた作品でした。特に「自信が持てない」マジーヌにまつわるエピソードは、教育的ながらも、非常に現代的かつ等身大的です。

右がマジーヌ。左が変身後のゼンカイマジーヌ。

普段は引込み思案だが好きなものを貶されたら激昂して早口になる」など、いわゆるオタク的な表現を本当に嫌味なく表現しています。

4人のキカイノイドたちを演じるのが「スーツアクター(特撮スーツを着て演技することを中心にする役者)」+「既に活躍している声優」のコンビであったことも、こうした表現の上手さに直結している部分が大きいようにも見えました。
ロボットながら人間じみた細かい動きをする点や、感情の起伏の大小を丁寧に表現する声色などは「特撮だからこそ」映えた部分です。

マジーヌだけでなく、ガオーン、ジュラン、ブルーンのキカイノイドたち。そしてチーム唯一の人間、介人のみんなが「苦手なこと」に悩みながらも仲間に助けられて面白くも楽しく解決していく成長譚です。

また個別のインタビューなどでも触れられている部分ですが、「口元に動きのないロボットに声をあてる」という点で担当声優の皆さんは「アドリブ」が入れやすい環境であったようで、時には話や演出を変えてしまうほどの大量のアドリブも見所です。
特にバンク(繰り返し同じ映像を使う)シーンである変身や合体シーンでは明らかに「楽しんでいるな」というアドリブが都度楽しめます。

3Dアニメ「ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー」もハチャメチャなアドリブが多く明るいことで有名な作品(グーグルのサジェストもアドリブに関するものが多い)ですが、全体を通して近しい雰囲気があります。

加えて、というか、更に、というか、ゼンカイジャーはここから2つの要素が加わり「面白い作品」から「メチャクチャに面白い」作品へと仕上がりました。

1つは「ゾックス」です。

ヨホホ~イ

バッキバキに顔の良いゾックス(右)が、スーパー戦隊シリーズ全体を通しても評判の良い「海賊戦隊ゴーカイジャー」をモチーフにした「ツーカイザー」に変身し、ニヒルに、そして傲慢かつ不遜に、そして強力にゼンカイジャーたちをサポートするのですが「6人目の正式な加入」ではなくあくまで助力の関係です。
(「聖闘士星矢」のフェニックス一輝みあります。)

ゴーカイジャー。カッコイイ。

この手合いのキャラクターはともすれば「シリアスすぎる」のが定番というか共通認識になりやすいのですが、ゾックスは登場するときには必ず「ヨホホ~イ」と謎の歌を歌いながらタンバリンを叩き、謎のタップダンスを繰り広げながら登場します。どんなシリアスなシーンでも、必ずです。

途中からは、敵も「いつも踊って現れる変な奴」という認識になりますし、ファンの間でもゾックス自身の通称が「ヨホホイ」となるほどです。

ゾックスあらためヨホホイもまた自身の使命を持ち、愛すべき者の為に戦うヒーローでしたが、ゼンカイジャーたちと同じく「弱い部分」も持ち合わせています。

特に「愛する者以外には心を閉ざしてしまう」点については、時間をかけてゼンカイジャーたちによって雪解けしていき、ヨホホイが介人と真の友人となるシーンは全話を通しても傑作エピソードの1つです。

そしてもう1つの「ハチャメチャに面白い」要素が、「ステイシー」です。

「捨て石」とも読める名前だが…?

元々脚本にないキャラクターだったのを、介人役としてオーディションに参加した世古口凌君を制作陣が是非使いたいということから採用されたという逸話があります。

ステイシーは「仮面ライダーシリーズ」における昭和シリーズのように、「敵組織によって製作された怪人じみた力を持つキャラクター」であり、実験体として改造されながらゼンカイジャーたちに立ちはばかります。

しかし父である敵幹部バラシタラが、亡くした母を嘲笑するような作戦をとったことを決定的な要素に、心は敵組織から離れていくものの、故郷を壊そうとするゼンカイジャーの味方になるという選択肢は取れずにどっちつかずの状態が長く、その状態が更に自分自身を苦しめていきました。

ゼンカイジャー、そしてツーカイザーとも異なり「ドシリアス」担当だったのですが、ステイシーも心のよりどころを見つけていました。

演:榊原郁恵

介人の祖母、ヤツデです。ヤツデの経営する駄菓子喫茶「カラフル」に正体を隠して通うステイシー(偽名サトシ)は、ヤツデの無償の優しさにふれ、迷い、そして反発しながらも成長していきます。

母性愛にふれている表現ですが、ステイシーは事あるごとに「ヤツデ…(ぽわわ~ん)」と独りごちるので、おおむね恋愛感情のように見えます。
(ヤツデ側は孫の良き友達としてしか認識してません。)

ゼンカイジャー唯一の女性メンバー、マジーヌは恋愛よりオタ活!という感じで全く色恋沙汰がないなかで、ステイシーからヤツデへの感情だけが逆に目立つので、結果的にヤツデがヒロインのようです

ひとりだけシリアスすぎて「生まれた作品が合ってない」とまで揶揄されるステイシーですが、彼がいたからこそゼンカイジャーはゼンカイジャーたることが出来ました。

とはいえ、若い生身の女性が全く出てこないかというと、そんなことはありません。ゾックスの妹「フリント」もまた、快活な妹として縦横無尽に活躍します。

実弟であるカッタナーとリッキーはSDの呪いを受けている

ゾックスの妹であるフリントは、違う作品であれば主人公である介人との間に恋愛感情が発生しても良いような立ち位置ですが、今作ではお互いに全く恋愛感情は描かれいません

ゾックスの弟妹たちは兄貴一筋!を貫きとおします。ゾックスが「ヨホホ~イ」と謎の踊りを踊れば、「兄貴は世界一カッコイイ!」と合いの手を入れてくるほどです。そんな可愛らしい弟妹たちを守るためにゾックスも全力を出します。

(少し掘り下げると、介人は幼い頃に両親が行方不明になっており精神年齢を自らの意志で幼いままとしており、恋愛等に対して現状全く興味がないことが読み取れる描写があります。)

チームゼンカイジャー、ツーカイザー一家、そしてステイシーとヤツデ。「機界戦隊ゼンカイジャー」は豊かすぎる個性のキャラクターたちが大活躍する話です。

また、敵側のいわゆるゲスト怪人たちも色々な「並行世界」の象徴的な力をもって襲ってくるのですが、「そんな世界あるの???」と毎回衝撃的です。

最序盤の「寿司で戦うスシワルド」や「柏餅の権化カシワモチワルド」の登場で、「あ、これ、ふざけるシリーズだ!」と思わせるのですが、「バカンスに勝てるやつなんかいない」と「バカンスワルド回」ではゼンカイジャーは負けますが、戦術の敵幹部バラシタラが軍人気質なため「バカンスなんか取るな!取らせるな!」と怪人を粛清してしまい、なんとか難を逃れます。

中でも「テニスじゃないと倒せないテニスワルド回」(29話)は後にも先にも「ゼンカイジャーじゃないと出来ない伝説クラスの内容」となっています。この回だけでもゼンカイジャーがどのくらいハチャメチャなのか分かってもらえると思います。

「機界戦隊ゼンカイジャー」自体のあらかたの説明は以上にして、あらためて本題の「機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー」です。


これはテレビシリーズではなく、かといって厳密には「映画作品」でもありません。「Vシネクスト」という東映Vシネマ内レーベル作品であり、いわゆる「ビデオ用映像作品」として製作されたものです。
(※ビデオ用とは販売DVDや配信での発表を含みます。)

映画館上映も出来るほどのクオリティで製作されており、期間限定で上映することを前提にしたのが「Vシネクスト」であり、今作もティザーの通り(2022/)4/29から期間限定で映画館上映されています。

タイトルの「キラメイジャー」は「魔進戦隊キラメイジャー」のことであり、スーパー戦隊シリーズとしてはゼンカイジャーの前作にあたる44作目作品です。

キラメキッ!

昨年の作品と一昨年の作品がクロスオーバー的に登場するVシネシリーズがこの「VSシリーズ」であり、お互いに本編終了後の話として描かれています。

通常、「VSシリーズ」は2作品のクロスオーバー作品なのですが、今回もう1つ「センパイジャー」というのが付け加えられています。これはこれまでの戦隊シリーズの名前ではなく、また今年の作品のタイトルでもありません。(今年は暴太郎戦隊ドンブラザーズ

どういうことかというとキラメイジャー以前のいろんな作品から数人ずつゲストとして「先輩」として登場するというものです。
※ごく一部を除いて誰が登場するかは上映まで明らかにされませんでした。

あらためて「ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー」の良いところを紹介します。

先述の通り「ゼンカイジャー」は戦隊のなかでも振り切れすぎていて「異質」に近く、明るいとはいえ比較的マジメな「キラメイジャー」とどう関わるの!?と(特にキラメイジャー)ファンは心配(期待)していましたが、その心配(期待)を120%上回ってきてくれました。

登場するゲスト怪人は「カルビワルド」。もちろん焼肉のカルビのことです。(ちなみに「トウギュウワルド」と「ギュウニュウワルド」が別にいます。)

ちょっとこわい

カルビワルドはゼンカイジャーとキラメイジャーを焼肉空間に閉じ込め、「用意された焼肉を食いきるまで誰もここから出られない」「焼肉屋空間のなかでは暴力は一切受け付けない」という強力な怪人です。
(ゼンカイジャーのキカイノイドたちは元々普通にご飯を食べる生物です。)

幽遊白書のファンはここで「仙水編」におけるゲームマスター天沼の悲劇を連想することと思いますが、結果的に視聴者は鞍馬のように鬼の形相になることはなく、カルビワルド戦はいかに笑いをこらえて観てられるかという自身との勝負が始まっていきます。

言うなればゼンカイジャーもキラメイジャーも全員「ご飯の食べ過ぎで物事を上手く考えられない状態」にさせられています。ゼンカイジャーだけでなくキラメイジャー側も凄いことになります。本当に凄いんだ。

マナーとしてはもちろん良いことではないんですが、劇場でまあまあ大きい声で「あっはっはっ」って笑っちゃいました。我慢できないよ、こんなの。

そして肝心の「センパイジャー」からメインとなるのは2人。
先述のゴーカイジャーのゴーカイレッドと、「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」(というテレビシリーズ)からルパンレッドが登場します。

ゴーカイレッドとツーカイジャーの夢の競演が見れますし、もちろんツーカージャーのヨホホイ踊りもシネマサイズで美しく表現されています。
まだ間に合うので本当の本当に映画館で見て欲しい作品です。
画面の大きさの無駄遣いに痺れます

ゼンカイジャーのテレビシリーズは全49話、大好評の最終回に至るまで全部100点の出来でした。1年4クールという長さなので傑作と言われるシリーズでも詳しく掘り下げると「途中までが良かった」「最初はダルい」みたいな評価になることも多いのですが、ゼンカイジャーは1話から通してずっと素晴らしいシリーズでした。

「機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー」はその上で本当に全ての期待に応えてくれて、120点の出来でした。

エンディングのゼンカイジャーとキラメイジャーの主題歌のミックスとダンスもカッコ良いので是非最後まで楽しんでください。

こうした作品にいち早く出逢えるからこそ、映画館に行くのが楽しくて仕方ありません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後ともYoutube動画「掘り出せ!推し漫画」と合わせて楽しんでいただければと思います。


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