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わたし日本語教師なんです

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日本語教師としての悩みや気づきについて書いたnoteのまとめです。
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#日本語教師

日本文化講座を担当して、日本をもっと知りたいと思った話

今月、わたしは日本文化講座「日本の歴史(奈良時代・平安時代・鎌倉時代」の講師をしています。 参考にしたのは、日本の小学校・中学校の歴史の教科書、そしてAmazon Kindle アンリミテッドで利用できる歴史関連の本です。 学校の授業のようにならないように。でも、教養とまではいかなくても日本の歴史に関して知識を届けたいなと思い準備しました。 参加者は3人と少なめでしたが、質問やツッコミもありましたので成功だったと思います。 今回、情報の提供者になるにあたって、まず自分

中国在住日本語教師が友人と語った、今後の仕事と副業のお話

昨日、友人夫婦と彼の自宅でデリバリーのピザを食べながらおしゃべりしました。 毎度いろいろな話題が飛び交うのですが、毎回盛り上がるのが「日本に帰ったらどんな仕事しよう」というテーマです。 わたしたちも友人も夫婦共に日本語教師をしています。 日本語を学びたい人がいる限り、このお仕事はなくなりません。 でも、マンツーマン日本語教師は、人気商売であることは間違いありませんし、時間を切り売りする仕事なので収入の上限もわかりやすくあります。 彼が中国の様子を動画にとってYouT

日本語教師のわたしが iPhone15 Pro Max のみでお仕事できるかもと気づいたお話

皆さんは普段どのような環境でお仕事をされていますか? わたしは週に数日は派遣先の会議室で日本語を教えていますし、自社の教室でも授業をします。オンライン授業のための設備を自宅に持っているので、家でも仕事します。 また、授業準備は自宅でも会社でも行いますし、隙間時間があればスタバなどでお仕事することもあります。 つまり、いつでもどこでも仕事できるように設備を持ち歩いているわけです。 以前はMacBook Proに iPad mini を持ち歩いていましたが、地下鉄とバス、

言語学習者の間違いを笑わない理由:中国語学習で学んだ大切な教訓

わたしのお仕事は日本語教師です。 それで、外国人の間違った日本語や、ちょっとおかしな発音に毎日のように接します。 中には吹き出しそうになる言い間違いや、発音に問題があって聞き取れないこともあるのですが、表情に出さずにフィードバックすることを心がけています。 もし、わたしが学習者の間違いを笑ったり、咎めたりすると、学習者は萎縮したり、恥ずかしい思いをしてしまい、日本語を話そうとする意欲や勇気を削ってしまうかもしれないと思っているからです。 それは、自分が中国語学習者であ

さようなら!と言うと高確率で中国人にびっくりされる件

わたしは中国の広東省で日本語教師をしています。 今まで、いろいろな背景を持つ中国人に日本語を教えてきて気づいたことがあります。 それは、大抵の中国人日本語学習者は「さようなら」という言葉の意味を「永遠の別れ」にだけ使うと思っていることです。 授業が終わり学習者(学生)たちが教室を立ち去るとき、わたしが「さようなら!」と声をかけると、かなりの確立で「先生、どうしてさようならですか。また来週会います」と言われます。 確かに三省堂国語辞典の「さようなら」の欄には次のような注

さまよえる日本語教師から脱却したい話

雨ばかりだった6月が終わり、いつの間にか深圳の本格的な夏が到来しました。 日中は目が開けてられないほどの日差し、そして日が暮れると湿り気のある風が街を吹き抜けます。 妻はそのドンヨリとした風を気持ちいいって言ってますが、わたしは頭皮に湿り気を感じて嫌な気持ちになります。 できれば爽やかな風を感じたいものです。 さて、中国の地元の学校に通う子どもたちは、期末試験も終わりソワソワしているようです。すでに、夏休みに入った学校もあるようで、友人たちの中には里帰りした人もいます

数名の声が全員に?中国人ボスのフィードバックに振り回される日本語教師のお話

自分はきっととっても心が狭い奴なんだと思います。 なぜって? だって、すこしでも適当なことを言われると許せなくなってしまうんです。 昨日、突然ボスから電話がかかってきました。 内容は担当しているクラスの数名が、ペースが速すぎてついて行けないからもっとゆっくりして欲しいという要望でした。 それで、わたしは30数名のクラスのうち、何人が早すぎると言っているのですかと聞くと「数名」と言います。 それで、つまり人数は把握できてないけど一部の学習者が、難しさを感じているって

仕事量と生活のバランスを考える:在中国日本語教師の日常

2月から市内のIT企業で日本語クラスを担当しています。 月曜日は自由に参加できる初級日本語講座があり、そこで毎回30名ほどの皆さんに日本語を教えています。 すべての方が毎週継続的に参加できるわけではないので、授業は積み重ね式ではなくて、毎回なにかひとつ使えるフレーズを覚えてもらうようにしています。 そして、火曜日と木曜日に少人数のグループレッスンを行っています。こちらは社員がプライベートで設定しているレッスンで、企業内の会議室を借りて授業を行っています。 参加者の熱量

外国語を学ぶのに、文字からはじめる理由がわからない件

外国語を学ぶとなると、まずは文字からと考える人が多い様です。 恐らくほとんどの日本人が最初に学ぶ外国語は英語でしょう。そして、中学の時、英語を最初に学んだときテキストに書いてあったのはアルファベットでした。 ひたすらABCを読み、書く練習をしたのを覚えています。 とても退屈でした。 そして、アルファベットはくせ者です。 アルファベットは26文字で、大文字と小文字があることを考えると合計52個の文字を覚えることになります。 しかし、アルファベット単体の発音と単語や文

中国在住日本語教師のわたしが思う、教師がマウントを取ることの理不尽さについて

世の中には、何の役にも立たないアドバイスをする人がいます。 何の役にも立たないとは言い過ぎですね。ごく一部の人には刺さるかもしれませんが、99.99%の人には役に立たないアドバイスをする人がいます。 そういった人のアドバイスには「意味がない」「通用しない」「価値がない」などの表現が含まれます。 この「○○がない」という言葉がでたら要注意です。 特に、わたしのように外国語の習得を助ける教師が、あなたの日本語は通用しないとか、その程度の努力では価値がないとか、あなたのして

中国の大学院生たちがスタバをやめてお白湯を飲むのを見て、日本語教師の仕事に不安を感じたお話

わたしのお仕事は日本語教師です。 でも、日本で日本語教師をしたことがないので、自分はきっと日本語教師としてはいびつな存在なのだろうと思います。今まで、担当した学習者はすべて中国人です。また使ったことがある教科書も「みんなの日本語」「まるごと」「いろどり」だけです。 2019年に日本語教育能力検定試験に準備不足のまま望み、当然不合格。それ以降は日本に帰ってませんので、受験もできてません。ただ、大学で日本語教育関連の授業を受け、教育実習も受けていますので、完全に無資格というわ

時短とか効率追究ではなく、成功の必殺技を知りたがる中国人のお話

先日「タイパ」について思うところを書きました。 その中で「中国人って、時短とか、効率って言葉が好きなので、タイパって概念、こちらでも流行るかもしれませんね」と書いたのですが、よくよく考えてみると、これはわたしの勘違いでした。 多くの中国人が好きなのは「時短」とか「効率」ではなくて「楽すること」です。もう少し丁寧に説明すると「得すること」です。 必殺技を知りたがる学生たちわたしは教員ですし、試験対策の日本語を教えます。 しかし、試験で高得点をとるためのテクニックのみを追

相手を傷つけるのではなく、気遣うことがアドバイザーに必要な資質

わたしの仕事はアドバイスすることです。 例えば、他の教員の授業に参加して気づいたことを伝えます。また作られたテキストや教材を確認し、意見を述べます。 意見される方も気を遣うでしょうが、意見する方も気を遣います。むしろ誰かに提案したりフィードバックする側は、アドバイス受ける側よりもはるかに時間も気も遣うべきなのです。だってわたしだって教師であり、自分を喜ばすわけにはいかないのです。 この記事で書いたとおり、少しでも偽善や欺瞞を相手に感じさせると、相手はこちら側の提案を受け

「大学を卒業しました」と「大学から卒業しました」のお話 - 言語転移と反応のこと

毎日のように採用担当者が録画した面接のビデオを確認しています。 就職希望者の自己紹介からはじまり、HRが指定した内容で模擬授業で終わります。だいたい30分から1時間くらいの内容です。 自己紹介の部分が終わったら、いつも早送りで内容を確認します。わたしの時給は安くありませんし、他にもたくさんの業務がありますので仕方がありません。 さて、採用試験に臨む中国人日本語教師たちのほとんどが言い間違えるフレーズがあります。それは「わたしは 2022年6月に 北京大学 から 卒業しま