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「Gohstwire:Tokyo」ゴーストワイヤートウキョウ クリア感想

*ネタバレを少し含んでいます。

*PC版でプレイ、サブクエストなどは未クリア部分あり。

結論から言うと面白かった。クリア時間の設定が計算されていると感じた。(筆者のクリア時間はサブクエストなど含めて30時間ちょい)
日本人にはおなじみの渋谷だが、人がいない渋谷の美しさや物量など新たな発見があるなと感じた。渋谷の街を散歩するだけでも価値がある。
ストーリーとゲーム部分、この作品の売りであるだろう美術について書きたいと思う。

味のあるキャラクター達

ストーリー自体は単純なのだが、主人公とそれに取りついたKKというコンビの掛け合いが面白く、一種のバディものになっている。さながら、先輩刑事と新人といった関係である。ゲーム中には2人の短い会話劇が多数用意されおり、ストーリーでは語られていない2人の内面を表している。
筆者はラストの演出が非常に好きであり、キャラクターを理解して描いているなと感じた。

日本ならではの妖怪(河童)なども登場し、とてもかわいらしい。今作を遊んでいて思ったのがゲゲゲの鬼太郎など文化の影響は大きく、名前を聞いただけでどんな姿か想像できるのは楽しいなと感じた。
逆に、外国人にはどの程度妖怪が伝わるのかとも思った。河童=きゅうりという概念は日本人にのみ伝わるのでは?とも感じた(私の考えが浅いだろうか?)。そう考えると多くの日本人ゲームプレイヤーはアニメ、ゲームなどで他国の伝説や伝承をよく勉強していると思う。

敵のデザインも素晴らしい。敵のボスは般若の仮面をつけておりどこか不気味だし、雨降る渋谷を徘徊しているエネミーは傘をさしたり、レインコートを着ていたりと日本、渋谷に非常にマッチしている。

ストーリーは短いながらもキャラクターという点ではとてもよかった。

ワクワクする百鬼夜行、カッコイイー

アクションといい塩梅のクリア時間

アクションはFPS、TPSに近い。3種類の攻撃ができる、例えるならハンドガン、ショットガン、グレネードランチャー、それに加えてサブの弓(スナイパーライフル)、お札(グレネード)などがある。
最初は弾が当たらなくて面倒に感じていたが、だんだんとコツを掴むと楽しくなってくる。とはいっても、敵の種類が多い訳ではないので飽きてくる。
なんとなくだが、クリア時間がアクションに飽きてくるだろうなという時間に終わるようになっている気がした。
戦闘は基本的に回復アイテムを使いながら適当に撃ってるだけでなんとかなるが、一部の空中を動き回る敵などはストレスを感じた。
また、その他のアクションである印を結ぶや追跡なのだがこれは後述したい。

圧倒的な物量と素晴らしい美術

本当に圧巻、これを見るためだけにプレイしてもいいと思えるほど。
人がいない雨降る渋谷の美しさと物量には驚かされる。ハリウッド映画でも日本はネオンと濡れた街でよく表現されるが、日本人から見たらどこかおかしかったりする。しかし、日本のゲームだけあって違和感なく美しさとフィクションを融合させている。IGNJapanのインタビュー(注1)で答えている通り相当こだわっているのが伝わってくる。
また、物量もすさまじく、渋谷という色々ごった返している街をレイアウトして表現するのも大変だったはずだが、全てのロケーションを抜かりなくこだわっている。
この渋谷を舞台にした作品が日本から出たことに感謝したい。多くの会社が企画の段階で諦めそうなものをここまで素晴らしいものにしたのはユーザーとしてうれしい。

*注1
「確かにそれはありますね……。東京の魅力って何なのかと考えたときに、実は代表的な交差点とかではなくて、むしろ裏通りとか、ごちゃごちゃした路地裏とか、ちょっと閑静な住宅街、寂れたアーケード街とか、そういう何かが潜んでいそうな場所を優先的に表現したいなというのがあったんです。暗がりから向こうに見えるちょっとしたネオンのきらめいた雑居ビル街があって、さらにその向こうにはカゲリエという超高層ビルの未来都市が見える、と。僕の中での東京の魅力はそういう薄暗い、ちょっとレトロな街並みとのギャップで、そこを一番表現したいと思っていました」と陣田氏は語る。

こうして『Ghostwire: Tokyo』の渋谷は誕生した――メイキング・オブ・シブヤ特別インタビュー


ネオンとごちゃごちゃが美しい
おしゃん
109ではないよ

本当にささいな疑問

ここまで作品の素晴らしさを書いたが個人的だが本当にささいな疑問を書きたい。それが印を結ぶととあるミッションの追跡についてだ。

印を結ぶとはアナログスティックを表示通りに動かすことで封印を解いたり悪霊を払ったりすることができるアクションだ。これがスティックを倒しているのに動きがぎこちない、そのためかボタンをおしっぱで自動でやってくれる機能がある。制作サイドも少し面倒だと感じたのかもしれない。

プレイした方にしか伝わらないかもしれないが、浮かんでいる霊を回収する際に経験値が多いやつにはこのアクションをする必要がある。
これが面倒なだけでテンポが悪く、ゲームの面白さに繋がっていないと感じた。
確かに悪霊を払うなどの印を結ぶは気持ちがいい。しかし、この霊を回収するというのは所謂、経験値稼ぎである。ただ、時間を取られるだけでなんで封印されているかなどよくわからない上に大体が敵キャラが待ち受けている。憶測だが敵キャラを無視して回収されないようにしていると考えた。しかし、だったら最初から戦闘に勝ったら大量経験値の方が面白いのでは?と思う。

2つめの追跡についてだがサブミッションで「ぺけぺけを追え」というミッションがある。
筆者だけかもしれないが、本当にストレスだった。足跡を追っていくミッションなのだが、物量が多い上に痕跡が他のオブジェクトと同じ色のため非常に見えずらい。また、建物を昇り降りする場所があるのだが落ちたら地点の最初からで面倒だった。狭い道を歩かされる上、足跡の痕跡見えにくいためどこにいったかわからない、落ちたらやり直しは筆者にはストレスだった。
ここだけで後半にも関わらず、ちょっとやる気が削られてしまった。

この2点だけがささいな疑問に感じた。
逆にこれ以外は非常に満足できた内容だった。

まとめ

今作は非常にオススメできると言える。
クリアしようと思えば短時間で終わる、長く遊ぼうと思えば探索がはかどるなどどちらのプレイヤーでも楽しく遊べるだろう。
何度も言うが美術は本当に一見の価値ありだと思う。制作者の愛が伝わる。(注2)
これが海外発だったら非常に惜しいことをしたとなっていたに違いなく、日本人が表見する日本伝統の少し不気味で美しい側面を世界に届けられただろう。背景デザイナーやライティングなどに関わる方は勉強になるのではないだろうか。

是非プレイしてほしい作品になっている。

*注2
「データの締め切りぎりぎりか、ちょっと超えたくらいまで、ずっと背景のブラッシュアップをしてましたね(笑)」と木村Dも思い出し、陣田氏と藤井氏の熱意がチーム全体を引き上げたと言う。
「我々は日本人として日本の景色を見て育ってきたので、適当な配置はちょっと許されないという気持ちもあって、ここまで細かい配置ができたのかなと思います」と木村D。

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