「衰退する日本」を自覚する

イーロン・マスクのツイートが話題になっている。昨日、日本が過去最高の人口減を記録したという共同通信の記事に反応して、「これから出生率が死亡率を上回らない限り"Japan will eventually cease to exist"(日本は早晩、存在をやめるだろう=消滅するだろう)」という婉曲表現を使いながらも強いメッセージを出したのだ。”This would be a great loss for the world”(これは世界にとって大きな損失になる)としっかりフォローはしていたが、なぜ突然マスク氏が日本の人口問題に言及したのだろうか。

日経新聞によると、マスク氏は常々世界レベルの人口減少に警鐘を鳴らしていて、その課題解決として、労働力の補完としてのヒト型ロボットの開発を進めている最中であるという。おそらくその文脈でマスク氏にひっかかったニュースなのだろう。

日経新聞をはじめとしてたくさんのメディアがこのツイートを取り上げて、「日本が消滅」というストロングワードが拡散され、有識者たちも話題に取り上げているのだが、元ネタである総務省の4月15日の発表「2021年10月1日時点の日本の総人口推計が前年比64万4000人(0・51%)減の1億2550万2000人となり、減少幅は過去最大となった」というニュースは3週間も前で、そのときはほとんど反応はなかった。

外部からの指摘で初めて気づく日本の重大危機。

よく考えれば、1年で64万人がいなくなった、というのは衝撃的な話で、これは私が住む福島市の人口の2倍以上に相当する。1年で我が町の住民の倍以上が消失したと考えると空恐ろしい。来年以降もこのペースが加速していくとなると、マスク氏のいう「日本が早晩消滅する」日は予想以上に早いのだろう。

昨日と同じように今日も過ぎていく日常においては「日本の危機」を自覚するのは難しいが、人口だけでなく経済においても日本が衰退しているのは明らかな事実で、まずはこれを自覚することが未来を描く第一歩なのだと思う。

32歳の次男にそんな話をしたら、「オレら生まれた時からそういう感じだから。今さら何言ってるの」と言われてしまった。あちゃー。

右肩上がりとか成長とか、未来に対するイメージが固定しているバブル世代の自分は、まずはその拡大イメージをアンインストールして、「衰退の中の未来」を考える時期に来ているのかもしれない。


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