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リンプへの対処法 完全ガイド

 ポーカーの良いところは、ルールがとても簡単で、誰でもすぐに楽しめることです。

 アクションもベット額も、プレイヤーが自由に決めることができます。途中参加・退室も自由ですし、ご飯を食べながら楽しんだって良いんです。この自由さがポーカーの普及に大きく貢献していると思います。

 ポーカーには、ルールやマナーを守っている限り、間違っているアクションなんて何一つありません。この記事を読む前に、絶対に、絶対に、心に留めておいておいてください。

 リンプも含めて、ルール・マナーを破らない限り、やってはいけないアクションなどポーカーには何一つありません。

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 くまぽかには、ときどき中学生の方が遊びに来てくれます。一生懸命考えたことを、自分自身の手で実際にチップを持って行動に移すことは、とても勇気がいることです。

 その様子を後ろから見ていると、くまぽかを通して何か成長に繋がる経験が得られているようで、僕はとても嬉しくなります。大人に混じって自分の主張をして、それが結果として帰ってくる。このようなことを楽しみながら学ぶことができる場は、子供にとってとても大切だと思います。

 リンプは、ポーカーを始める方の勇気ある第一歩です。

 リンプをいきなり否定するのは、子供相手に「女ってこうすると喜ぶから」「男ってそういうこと言うと傷つくから」なんて好き勝手に言ってる人達とよく似ています。

 初心者を見つけては一方的にアドバイスする人なんて、本質から的外れな会話をしているように感じることがほとんどです。

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 今回は、リンプするプレイヤーを倒すためのポイントが書かれた記事を翻訳したものです。簡潔にまとまっていて、大変勉強になりました。ただ、この初心者殺しとも言える内容を読んでも、偉そうにアドバイスを浴びせることは絶対にしないでください。

 何事もそうだと思うのですが、強くなるためには自分より弱い者を踏み倒すことばかりに執着してはいけません。むしろ、弱者を守ることこそ、回りまわって自分を強くする、自分に利益が返ってくるという大きな視点を持ってほしい。

 もちろん、ポーカーというゲームでは一見矛盾する言葉なのですが......それでも、日本でポーカーが成功するカギはここにあると信じています。

 これを理解した上で、今回の内容を読んでほしいです。

 それでは、どうぞ。


リンパーを完全にクラッシュするためのガイドライン

 リンプするプレイヤー(リンパー)は、大きな利益をあなたにもたらす素敵なお客様だ。彼らを圧倒的にクラッシュする方法を解説する。

1. そもそも、なぜリンプはだめなのか?

 オープンリンプは絶対にしてはいけない。絶対にだ。ただし、誰かのリンプにコールするプレイは、状況によって利益的になるので別に考えよう

 オープンリンプは原則的に良い戦略にはなりえない。これまで私たちが何度も何度も主張してきたことなのだが、これは繰り返し言っても足りないくらい価値のある事実だ。

 オープンリンプをしてしまうと、ポットを獲得する手段を自分から減らすことになる。レイズして参加することで、ポットを獲得するバリエーションが以下のように増える。

1. プリフロップの段階で、全員をフォールドさせる。
2. プリフロップで強いハンドを主張しておき、ポストフロップのベットで相手をフォールドさせる。
3. 実際に強い役を作ってショーダウンで勝つ。

 また、ポストフロップの参加人数が増えやすいというデメリットもあり、さらに多くの場合でフロップ以降に強いハンドだと主張することが非常に難しくなる。例えば、フロップがAJTの場合、リンプした後に強い手を作っている可能性は非常に低い。

 つまり、リンプした後に勝つためには、多人数相手にショーダウンで勝てるような、非常に強い手を作るしか方法がなくなってしまうのだ。

《参考リンク》


プリフロップ戦略

 リンパーに対するプリフロップ戦略は、大きく分けて2つある。

《アプローチ①:よりタイトにプレイする》 

 これは数学的な観点からは正しいように思う。リンプするということは、少なくとも「このポジションでプレイできるくらいの強さは十分あるよ」と言っているようなものだ。

 たしかに、9♣ 3♡ のようなとても弱いハンドで参加するプレイヤーもいるかもしれないが、さすがに最近はそこまで弱いプレイヤーはあまり見かけない。

 リンパーは、SB、BBとは別に考えた方が良い。彼らの方が実際に強いハンドを持っている可能性が高いと考えるべきだ。また、リンプされた後には、数学的には以下のことにも注意する必要がある。

1. ある程度のスキルを備えているリンパーであれば、バランスの取れたハンドレンジでリンプ/レイズ (3-bet) してくる。
2. 自分の後ろのプレイヤーの3ベット率が上がる。
3. エフェクティブスタックが小さい場合は、スキルやポジションのメリットを活かすチャンスが限られてしまう。

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アプローチ②:よりルースにプレイする》

 だが、実際は弱いプレイヤーに囲まれることが多いため、よりルースにプレイした方が利益を最大化できるだろう。

 ほとんどのリンパーは弱いのだ。彼らはいろんな場面でミスを連発し、あなたを難しい局面に追い込むようなことは滅多にない。本来勝てないようなハンドでも勝てることが多くなるため、あなたのハンドの価値は総合的に上昇する。

 リンプするプレイヤーは、現実的にはリンプ/レイズすることはあまりないし、自分の後ろのプレイヤーもそこまで高頻度で3ベットしてこない。エフェクティブスタックに関しても、スキル差を出すだけの量は通常持っていることだろう。

 リンパーを見つけたときは、そのチャンスを無駄にしないでほしい。彼らをアイソレートして、難しい状況に追い込むチャンスを見逃さないようにしよう。

 時には実際に強い手を引かれてしまうこともあるが、それでも驚いて攻撃を緩めてはいけない。あなたはすでにリンパーから大量のチップを獲得しており、負けたときはそれを少しだけ返しているだけなのだ。そう、まるで映画「ラウンダーズ」のラストでTeddy KGBがそうなったように......。

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基本となるハンドレンジ

 座ったばかりのテーブルでは、リンパーにどのような特徴があるのかわからない。まずは基本を身に付けよう。

 まず、相手は十分に練られたバランスの取れたリンプ/レイズレンジを構成していると仮定する(実際にそのようなプレイができるプレイヤーは世界でも非常に少ないのだが)。

 この場合、リンプするレンジは「レイズするほど強くないマージナルハンド(例:A4o, K6s, 65s)」と「罠にかけるための強いハンド」で構成されている。

 このようなリンプレンジに対して、あなたがハイジャックからレイズすべきハンドレンジを以下に示す。ここから状況に応じて調整してほしい。

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 タイトだと感じるかもしれないが、詳細不明のリンパーに対してはこのハンドレンジが基本になる。レンジをタイトに絞ることで、リンパーに対して十分に強い優位性を持つだけではなく、後ろに控えているプレイヤーの3ベットやコールドコールを抑制することができる。相手のことがよくわからない状況では、安全に、タイトにプレイするのが一番だ。

 リンパーの情報収集が完了したら、それに応じてハンドレンジを修正してほしい。修正する要点を以下のポスターにまとめている。

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 リンパーに対して考えるべき7つの要素

1. リンプ/フォールドが多ければ、ハンドレンジを広げよう。
2. リンプ/レイズが多ければ、ハンドレンジを狭くしよう。
3. 相手のリンプレンジが広ければ、こちらのレンジも広げよう。
4. ポジションが優位であれば、ハンドレンジを広げよう。
5. 後ろに控えているプレイヤーが多ければ、ハンドレンジを狭くしよう。
6. 後ろに控えているプレイヤーがルースでアグレッシブであれば、ハンドレンジを狭くしよう。
7. リンパーがアグレッシブであれば、ハンドレンジを狭くしよう。

 注意点として、さきほど提示した基本となるハンドレンジより狭く修正してはいけない。これらの7要素を踏まえると、より狭い方向に偏ってしまいそうだが、それでも基本レンジに含まれるハンドは守るようにしよう。

 さらに、別の例を示す。リンパーが1人のときにボタンからアクションするレンジをUpswing Labで考案したものだ。赤色のハンドは必ずレイズ、青色のハンドは必ずフォールドで、水色のハンドをリンパーの特徴によって調整する。これら2つのレンジを参考にプレイしてみてほしい。

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ポストフロップ戦略

 まず、以下の状況を想定してほしい。

【テーブル】6人、ブラインド 2/5、エフェクティブスタック 100bb

【プリフロップ】ハイジャックのプレイヤーが1bbをコール(リンプ)したので、あなたはボタンから4bbにレイズした。他のプレイヤーが全員フォールドして、リンパーだけがコールした。

 ハイジャックがリンプ/コールするレンジには、以下のハンドが考えられる。

弱いAx、オフスートのブロードウェイ2枚(QJo)、弱いコネクター(T9, 98)、スーテッドワンギャッパー(75s)、スーテッドのハイカードとミドルカード(K8s, J7s)など......。

 ここから、典型的な2つのタイプのフロップを例として解説する。これらの状況を基準とすることで、様々な状況に応用することができるはずだ。

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【フロップ例1:8♠ 5♢ 4♠ (Pot 9.5bb)】

 あなたのハンドレンジをバリューとブラフに分けて考えると良い。

《バリュー》このようなローボードでは、バリューハンドはその価値に忠実にプレイし、素早い決着を目指そう。広いハンドにバリューがあると見込んで、大きなベットサイズ(66-105% ポット)でダブルバレルを撃つ。ほとんどのリンパーはベットサイズに無頓着なので、ハンドの強さに忠実に変化させても大丈夫だ。QQのような非常に強い手では80%以上、77のようなマージナルハンドでは66%ほどに調整するのが良い。

《ブラフ》リンパーは「フィット or フォールド」のタイプが多いので、ブラフレンジを広げよう。通常のブラフで用いるようなストレートドロー、フラッシュドローに加えて、単なるオーバーカード2枚でも効果的だ。ターン以降でトップペアになれば、十分に強いバリューハンドとなる。

 また、ベットサイズを小さくするのも、よく知らないリンパーをエクスプロイトする良い方法だ。弱い相手はこちらのベットサイズでハンドレンジを調整することはしない。50-60%ポットほどのスモールベットによって、自分のブラフハンドに都合よくオッズを合わせることができる。

 たとえ、相手がこのスモールベットにアジャストしてきたとしても、相手のハンドレンジはターンでも弱いままなので、そのままダブルバレルを撃つことが依然として効果を持つだろう。

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【フロップ例2:A♠ 9♢ 3♣ (Pot 9.5bb)

《バリュー》例1と同様に考えて良い。ハンドの強さに忠実に、大きなベットを撃つようにしよう。

《ブラフ》例1と違う注意点は、オーバーカードがないということだ。ターン以降でトップヒットが得られないことから、大きなベットのメリットが損なわれる。相手のハンドがボードと絡んでいなければ、こちらのベットサイズが3bbだろうと6bbだろうとフォールドするだろう。

 これらの2つの例で明らかに対照的なポイントは、例1ではリンパーのハンドレンジの中でオーバーカードが占める割合が非常に高いことに対し、例2ではそれがすべて消えるということだ。あなたはボードと絡まなかったすべてのハンドで、30%ポットサイズほどのスモールベットを撃つと良い。

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リンパーから容赦なくチップを獲得するテクニック

 リンパーからさらにチップを奪い取るためのコツを7つ伝授しよう。

Tips 1:リンパーの数に応じてプリフロップのレイズ額を調整する。オンラインゲームでは3bb + 1bb/limper、ライブゲームでは4bb + 1bb/limperにしよう。

 このベットサイズの決め方は、古くから有効性が実証されてきている。リンパーにとってはコールで追いかけたくなる小さい額に見えるし、後ろに控えるプレイヤーにとってはディフェンスしたくない大きい額に見える。

 これを基準に、弱いプレイヤーにはさらにエクスプロイトを試みよう。5bbにスナップコールされたら、次は6bb、7bbとサイズを上げていくことで利益を最大化できる。できるだけ強いレンジで、できるだけ大きいポットを戦うのだ。

Tips 2:リンパーが40bb以下のときは、スモールペアでアイソレーションを試みてはいけない。

 通常の場合は、スモールペアでアイソレーションするのは適切なプレイだ。弱いプレイヤーに対して、小さな投資で大きなポットを取れるチャンスとなるが、相手がショートスタックの場合は話が変わってくる。

 通常のスタック-ポット比(SPR)が8-12の状態でポットを争うならば、スモールペアでもプリフロップの投資を十分に回収することができるだろう。しかし、SPRが5以下の状態ではトップペアを狙えるハンドなら良い投資になりえるが、ミドルペアすら危ないスモールペアはインプライドオッズが得られず赤字になる可能性が高い。

 よって、スモールペアでは大人しくリンプにコールしておくか、後ろに控えているプレイヤーがアグレッシブであればフォールドするのが良いだろう。

《参考リンク》

Tips 3:ブラインドからはよりタイトなレンジでレイズする。

 言うまでもなく、アウト・オブ・ポジション(OOT)からのプレイは難しい。GTO戦略の解析結果は非常に複雑なものになっており、人間が模倣するのは不可能に近い。マージナルハンドで得られる期待値のほとんどは、相手に対して完璧にプレイした場合に実現されるものなので、OOPからプレイするレンジは狭くしておくのがベストだ。

 これは、ボタンからアイソレーションするレンジにも当てはまる。おそらく相手は何を持っているか予想のつかないコーリングステーションと思われる。ブラフを考慮するより、強いドローやフラッシュを狙えるタイトなハンドレンジでフロップを戦うべきだ。

 決して忘れないでほしい。ポジションがないときは、タイトに絞るんだ。

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Tips 4:相手がリンプ/レイズしてきたら、それは間違いなく強いハンドだ。

 ある程度ポーカーをプレイしていれば、AA-QQでリンプ/レイズを仕掛けてきたプレイヤーを見たことがあると思う。

 オンラインにもこういうプレイヤーは多い。リンプするほとんどのハンドはレイズするほどでもないマージナルハンドなのだが、ときどきAQ+、JJ+を持って罠を仕掛けている。たしかに、エアブラフであることもあるが、実際ほとんどの場合は非常に強い。

 このような相手に対する有効なハンドレンジは、スーテッドのプレミアハンド、ポケットペア、AQo+が良いだろう。ただし、もしフロップがAxx, Qxxとなり、あなたにトップペアが出来たときなどは要注意だ。相手がベットしてきたら、それは相当に強いハンドが完成しているはずだ。

Tips 5:フロップとターンでは、シンバリューベットに挑戦しよう。

 リンプするプレイヤーは、 ポーカーを楽しむことが目的であることが多い。彼らはたくさんのハンドを楽しみたいので、基本的にはコーリングステーションになっている。

 ポットオッズなどの概念がないので、こちらの大きなベットに対しても、ストレートやフラッシュ、ツーペアなどを追いかけるためにコールしてしまう。

 相手にドローがあるフロップやターンのうちに、できるだけチップを引き出すようにしよう。相手のハンドレンジに対して少ししか優位性がないハンドでも(Thin Value)、実際はたくさんのチップを引き出せるはずだ。

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Tips 6:ブラフでダブルバレルを撃ち込むのは慎重に考えよう。

 弱いプレイヤーであるほど、ボードの種類やこちらのベット額でコーリングレンジを変えることはしない。基本的に、ターンのフォールド率はフロップより下がっているはずだ。

 リンパーは広いレンジでコールしているため、フロップではボードと絡まないことが多い。しかし、それでもコールしてくるということは、少なくとも何かしらのドローハンドである可能性が高い。

 よって、フロップとターンでブラフする際は、通常の相手よりも状況が大きく異なることを意識してほしい。ただし、ターンでも十分にフォールドしてくれることがわかれば、ブラフすることを考えよう。

Tips 7:Cベットにレイズしてきたら、フォールドだ。

 リンパーは基本的にパッシブなコーリングステーションだ。それでもレイズしてきたということは、相手がツーペア以上を持っている可能性が非常に高くなる。相手のレイズにはこちらもタイトなレンジで戦うべきだ。

《参考リンク》

まとめ

 リンパーとプレイする際は、相手から伝わってくる様々なニュアンスをもとにアクションを決定することが多くなるだろう。自分が持つロジックをそれぞれの状況に応用して、最も利益的なアクションやベットサイズを決定しよう。

 今回の記事は、リンプする弱いプレイヤーに対する戦略に特化して書いたものだ。経験のある通常のプレイヤーに対して行ってしまうと、逆にやり返されることになるだろう。

 この記事を読んで、リンパーを見たらハッピーに感じるようになってほしい。


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 翻訳は以上です。

 僕もリンプはしない方が良いと思います。ただし、リンプするプレイを一方的に訂正するアドバイスは、絶対にダメです。

 相手を変えるのではなく、自分が変わりましょう。

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