京大強力粉倶楽部

京大文系は学歴煽りに最適である、という話は古来より伝わる伝家の宝刀、諸刃の剣、ペンは剣よりも強しということである。しかしそんな話は置いといて、京大周辺にはインドカレー屋が多い。なにかしらインド人(ネパール人)のネットワークが働いているのか、あそこは儲かるなど噂が広まって大集結しているのだろう。私がオススメするならマハでもチャンダーでもなく、ナマステカレーである。詳しい話は省くが、美味いしナン無料でおかわり自由だし学割セットだとサラダ・ラッシー付きで990円。あなたがヴィシュヌ神か。

このようにカレー屋が多い京大周辺であるが、私が近年着目しているのがタコス🌮屋である。何を隠そう、私はタコスが大好きなのだ。食った感じがまるでしないモスやらバーキンやらマック(マクド)やらと比べ、タコスは私の胃に満足感というスパイスを蹴りこんでくれる。大体は自家製タコスでまだ一度も店のタコスを食ったことがないのだから、店タコスに期待してしまうのも無理はないと理解して頂けるだろう。私が見つけた店は350円でタコスが1個食えるのだ。なんてリーズナブル。生協の495円に見合わない薄っぺらい皮に包まれた、ソースだけで何とかしている味も込められた熱量も薄氷同然の不安定なケバブと比べたら、考えるだけで脳汁が出る。そもそも国公立生協の飯が全体的にカスなことは1度でも生協食堂でパクパクしたことがある人ならわかってくれるだろう。松屋やすき家、吉野家が乱立する百万遍交差点と生協食堂がまともにやり合ったらほぼ確で負ける。勝てる部分がちょっと近くてミールプランが使えるぐらいしかない。経営努力をしろ、経営努力を。

話をタコスに戻そう。そのタコス屋はどうやら平日の午後6時ぐらいから開いているという情報を、私は不確かな情報筋から聞きつけた。テスト期間でふとしょに篭もりすぎた身体を、タコスのメキシカンパワーで解そうと意気揚々と駆け出す。しかし、だがしかし、そこには思いもよらない光景が拡がっていた。「タコスおいしヨ!」シャンシャン鳴るマラカスを持ち、メキシコを感じさせる独特な帽子を被った陽気なおじさんが呼び込みをしている。そんな想像を木っ端微塵に粉砕する光景がそこにはあった。

恐らく店員だと思われる、紋々入りのオニイチャンが3人、同じく紋々入りの激しく肌を露出させたオネェチャンが1人、タバコをふかしながらだべっていた。

最悪だ。何だこの光景は。ふざけるな、と。タコスを穢すんじゃアない。汚らしいジャップが、それも圧倒的アッチ側の、煤を啜って生きているようなやつがタコスの前で笑うんじゃあない! というようなことを涙ながらに心の中で叫んだ。

私はチキンだ。彼らが怖くて逃げ出してしまった。所詮タコスへの愛もこの程度のものだと言うことが白日の元に晒されてしまった。真のタコス好きなら、そんなことお構い無しに「Un taco, por favor.(私にタコスをひとつ)」と言い、メキシコ譲りの情熱さで彼らとも愉快に談笑出来るはずなのだ! タコスに関わるモノは皆等しく我が同胞、同志のはずなのに! アァ、タコスの神よ! 私を罰してください!

そんな嘆きはもはや遠い夢の中。スーパーで1個220円もするライムを横目に、私は今日も半額の唐揚げを主婦のカゴから掠め取る。所詮弱肉強食。メキシカンマフィアもそう言っていた。

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