《アンデッドの執事》ジャンドホガーク調整録~完璧だったリストからの脱却~【MTGO Legacy】

0.はじめに

こんにちは。くまです。
また読んでいただきありがとうございます。初めての方は初めまして。

今回はジャンドホガークのリストを見直しました。具体的には真紅の契りにて得た《アンデッドの執事》入りのジャンドホガークです。今回はプレイガイドではありませんが見直しの過程を備忘録的に記事にしたいと思います。

アンデッドの執事ホガークリスト

(追記)なんと世界トッププロのReid DukeとインフルエンサーMOパンダがこのリストを使ってくれました。プレイングが気になる方は是非こちらの動画をご覧ください。

ホガークを使用されている方に対して何か気づきを提供できればうれしく思いますし、ホガークなんて使わないよという方にも新しいホガークが何を考えているかを共有することで勝率を上げるなどのきっかけを得ていただければと思います。
筆者は使用デッキにかかわらず他の人の考え方等を読むのが好きなのでそう言った需要もあるかなと考えています。是非暇つぶしの読み物として楽しんでいただけると嬉しいです。(誤字脱字あれば脳内補正しながら読み進めていただけると幸いです。)

今回も有料に設定していますが、本文は全て無料でご覧いただけます。缶コーヒー1杯くらいの価値があったなと思っていただけたらサポートいただけると嬉しいです。また下記リンクのジャンドホガークガイドをご覧いただいた方が筆者の基本的な考え方がわかると思いますので、まだご覧いただいていない方はご覧いただくとより楽しんでいただけるかと思います。(唐突な宣伝)

1.背景

少し前にジャンドホガークのプレイガイドを書かせていただきましたが、その時紹介したホガークが最近のメタゲームに合っていないと痛感していました。調整前のリストは下記です。

ジャンドホガークプレイガイドで紹介したリスト

具体的には最高1880程度あったMOレートも1700前半まで落ち込むほどの連敗街道。しかしホガークはすでに完璧なバランスでデッキ構築されている上、そもそも新たに入れられるカードも無く完全に行き詰まり。
かと言って課金やサブスクリプションを活用して新しいデッキを回したりするほどのモチベーションもなく、1ヶ月以上マジックを離れていました。

子育てって本当便利な言い訳

そんな時気になるツイートを見つけます。

完璧なバランスのはずのリストに3枚も入った新カード《アンデッドの執事》。しかも使っているのは墓地マスター"O(果物)"くん。これは試してみたいと思い試行錯誤を始めました。

2.《アンデッドの執事》の強み・弱み

そもそも《アンデッドの執事》って何?という方もいらっしゃると思いますので、次は今回の主役《アンデッドの執事》を分析していきます。《アンデッドの執事》は真紅の契りで登場した2マナアンコモンのゾンビ。CIPで3枚切削,死亡時にクリーチャー回収するという《縫い師への供給者》に+αしたようなカードです。
この記事ではCIPで切削を行う《縫い師への供給者》、《サテュロスの道探し》、《アンデッドの執事》の3種を”墓地肥やし”と便宜上と呼ぶことにします。

《アンデッドの執事》の長所と短所は下記のとおりです。

《アンデッドの執事》の長所・短所

カードを見た時は、長所より短所に目が行ってしまい採用するレベルか?が正直な第一印象でした。長所は見たままなので割愛しますが、短所を長々とかいているため補足をしますと

Ⅰ:2T目《甦る死滅都市、ホガーク》キャストのための条件が他墓地肥やしより厳しい
→初期手札中の墓地肥やしが《アンデッドの執事》だけの場合下記2パターンのみ2T目に《甦る死滅都市、ホガーク》キャストができます。

①《アンデッドの執事》+《甦る死滅都市、ホガーク》+1マナ生物+"フェッチ"*2
②《アンデッドの執事》+《信仰なき物あさり》+《恐血鬼》+土地2

他の墓地肥やしの場合はマナあるいは切削枚数で《アンデッドの執事》を上回っているのでこれ以外のパターンでもホガークのキャストができます。

Ⅱ:2T目《復讐蔦》誘発がほぼさせられない
→2T目に《アンデッドの執事》をキャストして《復讐蔦》が墓地に落ちたとしても、パターン1の場合は落ちている墓地を全て追放する必要があるため《復讐蔦》がいなくなります。よって《復讐蔦》を誘発させるためには上図のパターン2にフェッチを絡めるしかありません。

以上をより《縫い師への供給者》と《サテュロスの道探し》はホガークデッキにとっていかに神調整であったかを再認識させられるとともに、《アンデッドの執事》は他の墓地肥やしと比較すると物足りなさを感じることがお分かりいただけると思います。そんな最初から酷評してしまった《アンデッドの執事》を採用するまでのプロセスを次章よりで記していきます。

3.条件整理

まず、初めにホガークの持つ勝ち手段毎につらいアクションを整理し、なぜホガークが勝つことができないのかを考えます。ホガークの勝ち手段って何?って方は下図をご覧ください。

ジャンドホガークの基礎情報

結果を下に記します。

つらいアクション

一目瞭然ですが、ホガークデッキの持つ勝ち手段全てが壊れセットのモダンホライゾン2のカードで対策されやすくなってしまったことと有利に戦えるコントロールが減ったことが勝てなくなった原因とわかります。
(逆にいえば壊れセットのモダンホライゾン2から何か新カードを得られていれば…とも言えそうですが…)

逆におぼろげながら突破口が見えてきます。①の高速《甦る死滅都市、ホガーク》は止められやすくなったと書いていますが、これらの止めることのできるカードは早いターンには出てきません。
つまり、早期に《甦る死滅都市、ホガーク》キャスト(具体的には2T目)に勝ち手段の重心をずらした構築にした方が環境にマッチして勝ちやすいのでは?と仮説を立てます。したがって、2T目ホガークキャストの確率を増やすことのできる《アンデッドの執事》は少し墓地肥やしとして物足りなさがあれど採用すべきと結論付けました。

4.《アンデッドの執事》採用ためのYWT(やったこと・わかったこと・次にやること)

筆者が行った3回の試行錯誤を行い、冒頭のリストを完成しました。ここでは各試行錯誤で”やったこと・わかったこと・次にやること"(以下YWT)をまとめます。

STEP1:既存リストからのリストラ

初めにやったことは、”既存リスト”から優先順位の低いカードをリストラして《アンデッドの執事》を採用することです。
リストラしたのは《恐血鬼》と《黄泉からの橋》
《恐血鬼》は《狂気の祭壇》でのライブラリーアウト(以下L.O)をするときの頭数と対コントロールでは欲しいですがそれ以外のマッチで活躍できないと判断。《黄泉からの橋》は初期手札には来てほしく無いうえL.Oコンボ始動の際に1枚落ちればよいので枚数削減しました。そして作成したリストはこちら

STEP1リスト

5~6回のリーグトライで無事5-0することができました。

ここでL.Oコンボを開始するときにも特に困ったこともなく、初手にくる確率が下がって快適だったため《黄泉からの橋》の枚数は3枚で問題ないと結論付けます。一方で《アンデッドの執事》入れて活躍したなーいうマッチもあまりありませんでした。むしろ《アンデッドの執事》を入れたことでしっくり来ない所もでてきていました。主に3つの原因があると考えました。

1つ目が《信仰なき物あさり》は4枚必須なのか?という点
《信仰なき物あさり》の強い使い方は《恐血鬼》や《黄泉からの橋》などの手札にあると腐ってしまうカードを墓地に送りつつ有効牌を引くことです。ただ今回は不要牌を減らした上2T目に《甦る死滅都市、ホガーク》キャストを目指した動きをするため初手にあっても打つのは3T目以降ということも多く4枚要らなくない?と感じました。
1T目:《信仰なき物あさり》→《恐血鬼》、2T目セットランド→墓地肥やし生物からの《甦る死滅都市、ホガーク》キャストの目をつぶすことにはなりますが1T目1マナクリーチャーを召喚しても同じ結果を得ることができるので初手にある優先度は高いと思えませんでした。さらにクリーチャーであれば《復讐蔦》を誘発させることができます。ですので次STEPで枚数調整することにします。

2つ目は《恐血鬼》は今回のホガークデッキに必要なのか?という点
《恐血鬼》が強く使えるシチュエーションは
①《甦る死滅都市、ホガーク》の招集コストが手札に無いとき
 (ホガークのパターン2のようなイメージです。)
②《狂気の祭壇》のL.Oを見切り発車する時
の2パターンと考えていますが、現状あまりそのシチュエーションがありません。なぜなら①《黄泉からの橋》を抜き《アンデッドの執事》を採用したことで手札にクリーチャーがくる確率が増えた&《墓所這い》が墓地からキャストしやすくなった②《忍耐》や《虹色の終焉》のせいでL.Oの見切り発車はしないためです。ですので《恐血鬼》をデッキから抜くか検討します。

3つ目は《アンデッドの執事》の死亡時誘発で拾いたいクリーチャーがいない点
そもそもホガークは墓地利用デッキで大抵のクリーチャーは勝手に墓地から戦場に戻ることが可能なためわざわざ手札に戻す必要がありません。さらに墓地から戻ることのできないクリーチャーは大抵ホガーク召喚時に美味しく食べられてしまいます。しいて回収先を挙げるなら1T目打ち消された《縫い師への供給者》を手札に戻すのが一番嬉しいでしょうか?そこで《アンデッドの執事》の死亡時誘発を活かせるいいクリーチャーカードがないか再確認してみることにします。

以上をまとめるとSTEP1でのYWTは下記通りです。

STEP1:YWT

STEP2:イチからのリスト構築

STEP1でのYWTを踏まえてリストを作成していきます。

初めに《信仰なき物あさり》の枚数を3枚に減量しました。代わりに1マナクリーチャーで手札を捨てることのできる《朽ちゆくインプ》を1枚採用します。

次に《恐血鬼》枚数の調整です。
先ほどは《恐血鬼》は必要か?と書きましたが、フェッチと絡めながら戦場と墓地を行き来させることで敗北濃厚な盤面から大まくりできるカードであるため0枚にできないとも考えていました。
そこで今回は、3T目L.Oコンボを完遂できる確率で枚数を決定しました。
コンボを完遂するためには2T目キャストで来ているであろう《甦る死滅都市、ホガーク》を2回サクった時点で《黄泉からの橋》が1枚以上落ちている必要があるのでその確率を求めます。

確率を求める前提条件は下記です。
2T目《甦る死滅都市、ホガーク》キャスト
3T目に《黄泉からの橋》と《恐血鬼》はライブラリーにすべてある状態で《狂気の祭壇》を設置し自分対象に《狂気の祭壇》を起動。
数学上級者にツッコまれそうなので詳しい計算は割愛しますが《恐血鬼》0枚では約69%だった確率が《恐血鬼》2枚入れることによって約93%になります(はず…)。これは《恐血鬼》があることで《恐血鬼》を招集コストに充てホガークを3T目中に2度キャストできたり、フェッチと絡めて墓地を掘る枚数を増やせる場合があるためです。93%あれば実質100%なので《恐血鬼》は2枚に決定です。といいつつ7%の裏目くらいはすぐ引いてしまうのですが…(最ぁぁ後ぉの一撃~♪ ボタン→パリンRUSH即抜けと同じ確率です。)

最後に、墓地から拾いたいクリーチャーカードを選定です。
探し始めた時にふと前出のO(果物)君が昔教えてくれたコメントを思い出します。
『《悲嘆》って想起でキャストで《黄泉からの橋》誘発させれるんで感触悪くないです!』

これや!拾いたい!

得るものがなかったはずのモダンホライゾン2から実は戦力を得ていたのです。《アンデッドの執事》の能力で回収してハンデスを連打できれば、ホガークデッキが苦手なコンボへの相性が改善できそうなので採用します。ただメインには枠がないのでサイドでの運用です。また《飢餓の潮流、グリスト》を採用しているリストも発見したのでお試しで採用です。

モダンホライゾン2からの戦力2

そうして完成したリストはこちらです。

STEP2リスト

こちらは勝率も上々で感触もよく3回目のトライで5-0を達成できました。

《恐血鬼》と《黄泉からの橋》を減らしたので《信仰なき物あさり》が3枚でもストレス無くデッキが回るようになりました。《信仰なき物あさり》という間違いなく4枚いると思い込んでいたカードでも減らすことができたのは段階を踏んでデッキを改善した結果と思います。

またサイドボードの《悲嘆》は思った10倍くらい活躍しました。《思考囲い》も強いカードであるのですが、《悲嘆》は墓地肥やしで墓地に落ちてしまっても回収できる《思考囲い》なので上位互換(言い過ぎ?)に感じたのとサイドボード後は墓地対策や打消しでグダるゲームが多くなるのですが後引きしても嬉しい点も評価が高いためサイドボード確定です。ほかにも書きたいことがありますがここで書くとややこしいので次の章で書くことにします。

一方で落ち着いて考えてみると2マナクリーチャー10枚と多すぎる気もしていました。《アンデッドの執事》からのホガークキャストに必要な1マナクリーチャー初期札にない状況もそれなりにありました。そんな中1件のリプを頂きます。

強プレイヤーは一瞬で見抜く

やっぱりそうかと思うことができましたので次STEPでマナカーブを調整することにします。以上をまとめるとSTEP2でのYWTは下記通りです。

STEP2 YWT

STEP3:マナカーブ調整

STEP2で決めた次にやることを反映していきます。
ここで検討することは一つ、何を抜いて何をいれるか?のみなのでさらっと結論を書きます。

IN:《屍肉喰らい》*1
OUT:《アンデッドの執事》*1です。

理由は単純で墓地肥やしで一番弱い《アンデッドの執事》をOUT《朽ちゆくインプ》よりサクリ台として様々なシナジー生み出せる《屍肉喰らい》をINしました。そして冒頭にお見せしたリストの完成です。

アンデッドの執事ホガークリスト

これが、2022年1月時点で筆者の考えるホガークの最適解です。

5.今回のアップデートに伴う小ネタ

ここではデッキ構築以外で気づいたことをメモします。当たり前のことを書いているだけなのですが筆者は気づいていなかったのでメモします。

1.《屍肉喰らい》で場の《アンデッドの執事》を生け贄にしてから《屍肉喰らい》自体を生け贄にすると《屍肉喰らい》を回収できる。

文字ではわかりにくいかもしれないので下図をご覧ください。

《アンデッドの執事》の《呪文滑り》化

これ何の意味があるん?と思われそうですがこのテクニックは《屍肉喰らい》に除去を打たれた時にサクリ台を維持するのにで役に立ちます。疑似《呪文滑り》といった印象でしょうか。《アンデッドの執事》は場に出た段階で役割はないので基本的にサクります。

めっちゃレアケースですが墓地に《黄泉からの橋》と《憤怒》しかない時に盤面のクリーチャー数を無理やり増やして勝てたこともあります。

2.《悲嘆》の想起キャストや《飢餓の潮流、グリスト》でもクリーチャーを唱えているので《復讐蔦》が誘発する。
つまり2T目に《アンデッドの執事》で《復讐蔦》が落ちた後に《悲嘆》想起キャストすれば《復讐蔦》を盤面に戻すことができます。

3.《悲嘆》の想起キャストで《黄泉からの橋》を誘発させることができる。

4.リアニメイトの《別館の大長》が公開されていても、《悲嘆》想起であれば1T目にハンデスできる。
これは気づきでもなんでもなく、実戦で強いなーと思ったシチュエーションです。5-0した時のリアニメイト戦で後手1T目に《悲嘆》2T目《陰謀団式療法》した瞬間チャットが飛んできたほど強かったです。

6.最後に

ここまでご覧いただきありがとうございました。
言語化してみると大したことをしていない気もしますが何か皆様に気づきが提供できていれば嬉しいです。モダンホライゾン2で廃れたデッキでもMOのリーグくらいならば楽しむことができます。

サイドボードのご質問や筆者へのアドバイスございましたらコメントやTwitterのDMいただけたらと思います。

7.あとがき

本編とは全く関係ない書きたいことを脈絡なく書いています。。あくまでおまけですのであまり期待せずご覧ください。

本文をここまでご覧いただいた方の中にこう思われた方いらっしゃらないでしょうか?

黒単色の墓地肥やしが8枚で、赤を使用するルーティング減らしたってことは、"そもそもこのホガークに赤いる?ゴルガリ(黒緑)あるいは黒単でよくない?"

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