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新年風景 2022

初仕事乗り過ごして辿り着く
(はつしごと のりすごして たどりつく)

初仕事スマホを落とす便器傍
(はつしごと すまほをおとす べんきわき)

初仕事何も手付かず明日から
(はつしごと なにもてつかず あしたから)

1月4日が仕事始めだった。出勤の時、読んでいた本が面白すぎて乗り換えで降りるべき駅に着いたことに気づかなかった。次の駅で普段の通勤経路とは違う路線に乗り換えて出勤した。結果的に、普段より3分ほど前に職場に着いた。

自分のシフトを終えて、帰る前にトイレへ行く。私は大小に関わらず腰掛けて用を足す。いつからそうなったのか記憶は定かでないのだが、おそらく最初の結婚をしてトイレ掃除をするようになってからだと思う。今でも家のトイレ掃除は私の担当だ。どうしてそういうことになったのかは、別の機会に書くかもしれない。それで、用を済ませてスマホをポケットに入れるときに、ポケットに入らずに床に落下した。手を離れて床に着くまでの距離は大したものではないはずで、実際、落としたスマホは一見したところなんともなかった。ただ、Face IDが使えなくなった。

席に戻り、スマホでサポートに繋いだ。最初は電話の方を選択したのだが、音声案内に応えてテンキーを操作したが、テンキーへの入力に反応せず、「番号をお選びください」が繰り返される。そこで、チャットを選択したら、入力に手間取って時間ばかりかかる。結局、修理が必要との結論になり、webで修理に出す店舗の所定の受付を予約した。

予約したのは5日の夕方だ。職場近くのその店舗を訪れると、それほど待たされることなく担当の人が親切に対応してくれた。前日のチャットのことも予約の時に伝えておいたので、その場では現物の状態確認で、修理の内容と所要時間が提示された。1時間半ほどで完了とのことだったので、一旦職場に戻り、溜まっている仕事をしてから再度店舗を訪れた。すると、修理に必要なパーツの一部に店頭在庫切れのものがあるので新品と交換ということになった。

新品は結構なのだが、諸々設定をしたり、アプリを入れ直したりしないといけない。スマホというのは要するにパソコンの小さいものなので、電話以外の機能がたくさんある。その気になれば、スマホだけで生活に必要な用件を全て済ませることもできる。だからといって、スマホにそうした用件処理を集中させるとスマホが使えなくなった時に、生活に支障が生じる。また、スマホの寿命はそれほど長くもない。機種を変える度に面倒が生じる。便利なんだか不便なんだかよくわからない。

スマホが新品になったのを機に、勤め先に関係のあるアプリは入れないことにした。勤務先で独自に用意した様々なアプリがあり、それを自分のスマホやタブレットにインストールすると、かなりの程度の作業をどこでも行うことができる。しかし、そうなると始終何かに追われているような感覚になり精神衛生に良くない。本来、勤務時間外は勤務の義務は無いはずなのだが、現実にはいつでもメールに返信の来る人がいたりする。まして、ここ数年はリモートワークが急速に普及して職場に出勤しなくても勤務が可能になった。使用者からすれば被用者を使うのに「便利」になったに違いないが、被用者の側からすれば雇用関係が奴隷関係と化していると見えなくもない。何はともあれ、勤務時間外は勤務先のことに関わらないことにした。

勤務先では「原則として」満65歳が定年なのだが、60歳を超えて働いている人を個人的に知らない。出勤初日に自分が今年定年になるのかどうか照会を出した。確認中との返信は来たのだが、その後の連絡はまだない。今月中に今年の年俸が提示されるのだが、定年であろうとなかろうと、その金額次第では辞めてしまおうかとも考えている。

毎年似たような仕事始めの風景ではあるのだが、さすがに還暦ともなると気持ちの上でも少し違うものがある。何がどうというわけではないのだが。

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