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読んだ・観た・聴いた

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本や雑誌などを読んで思いついたこと。書評とか感想は上手にまとめる人がたくさんいるので、そういうものはそういう人たちにお任せする。本の内容とは全く関係なく見えることも少なくないが、… もっと読む
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#読書

カール・マルクス著 長谷部文雄訳 『賃労働と資本』 岩波文庫

たぶん「価値」というものは観念であって、それを恰も実体であるかのように認識するところから…

熊本熊
2日前
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片岡千歳 『古本屋 タンポポのあけくれ』 夏葉社

本書はエッセイだ。古書店を営む著者が日々思うあれこれを綴っている。ただ、書いた本人も、そ…

熊本熊
6日前
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大野晋 『日本語練習帳』 岩波新書

母語が思考を規定する。本書でも以前に読んだ田中克彦の著作でも、日本語が所謂「民主主義」に…

熊本熊
3週間前
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大野晋 『日本語の起源 新版』 岩波新書

言葉のそもそもに興味がある。人類は30万年ほど前にアフリカ大陸で生まれ、6万年ほど前にアフ…

熊本熊
4週間前
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勝俣鎮夫 『一揆』 岩波新書

4月、新学期、新年度。「イッキ、イッキ、イッキ、、、」というのは今はやらないらしい。強要…

熊本熊
1か月前
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池谷和信 『人間にとってスイカとは何か カラハリ狩猟民と考える』 臨川書店

初めて野生のスイカというものを目にしたのは1984年3月、オーストラリアを旅行したときのこと…

熊本熊
1か月前
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笠松宏至 『徳政令 中世の法と慣習』 講談社学術文庫

落語に『雁風呂』というのがある。米朝と圓生の動画でしか聴いたことがないのだが、この噺は大いに繁盛した上方の商人である淀屋辰五郎がお上から御取り潰しになったことをネタにしている。その御取り潰しは俗に「淀屋辰五郎の闕所」と呼ばれるが、闕所になったのは淀屋五代目の淀屋廣當である。 大阪に淀屋橋という橋がある。淀屋橋のそもそもは、淀屋が米市の人々の往来を便利にしようと私財を投じて建設したものとされている。元禄10年(1697年)に米市が堂島に移されるまでは、橋の南詰、中之島で米市が

古今亭志ん朝 『世の中ついでに生きてたい』 河出文庫

先日、noteでシズさんがビックリハウスのことを書いていたので、懐かしさを覚えてコメントを付…

熊本熊
1か月前
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蛇足 『職人歌合』

「職人」というのとは違うのだが、「職人」で思いついたことがある。道楽で陶芸をやっている。…

熊本熊
1か月前
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網野善彦 『職人歌合』 平凡社ライブラリー

「職人」という言葉に何を想うだろう。私は堕落した賃労働者なので、自分の腕で暮らしを立てる…

熊本熊
2か月前
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網野善彦『宮本常一『忘れられた日本人』を読む』岩波現代文庫

本書では「東日本と西日本」という章を設けている。宮本の方でも明確に東西を分ける境界のよう…

熊本熊
2か月前
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宮本常一 『忘れられた日本人』 岩波文庫

本書はずいぶん前に読んだのだが、最近になって網野善彦の『『忘れられた日本人』を読む』を読…

熊本熊
2か月前
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松岡宏大 『ひとりみんぱく』 国書刊行会

広告に弱い。築60年近い公団住宅に暮らし、テレビを持たず新聞を読まず、自家用車や自転車を持…

熊本熊
3か月前
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田中克彦 『差別語からはいる言語学入門』 ちくま学芸文庫

やっぱり田中克彦はおもしろい。差別ということについては近頃妙に喧しい所為もあって、関心が無いわけではなかったのだが、本書を読むと己の関心が薄弱であることがよくわかった。自他の別の延長として差別もあるのだろうが、それは言葉によって如何様にもコントロールできる、その原理的なところについて考えさせられた。 本書の記述はかなが多い。意図的に漢字をあてることを避けているかのようだ。おそらく、漢字による表記が読み手に与える印象や先入観といったものをできるだけ排除したいのだろう。それがど