心の拠り所考 『「昭和」を送る』
心の拠り所ということで忘れ得ぬ話がある。中学校の教科書に載っていたものだ。成人してしばらくは義務教育から高校までの教科書や副読本を全て保管していたのだが、貧弱な住宅事情のためいつの間にか手放していた。ただ、いくつか脳裏から離れないものがあって、その一つが「一切れのパン」という短い物語だ。義務教育の教科書に採用されるような話なので、いつでも原典を入手できるだろうと、自分の記憶を確認する作業を怠っていた。数年前に、何かの事情で急に気になることがあって、探してみたのだが容易に見つけ