オルテガ・イ・ガセット 著 佐々木孝 訳 『大衆の反逆』 岩波文庫
個人的な感覚として「大衆」という言葉の響きには蔑みを含んでいる気がする。おそらくそれは、自意識として自分と「大衆」との間に一線を画しているからなのだろう。しかし、国家の体制を超えて、圧倒的大多数の人は自覚するとしないとに関わらず「大衆」として存在している。ところで「大衆」とは何なのか。
ざっくりと言ってしまえば、大衆とは己の存在を当然正当なものとして疑うことがなく、それでいて何事にも当事者意識を覚えることなく貴方任せの無責任な存在ということだ。そういうことであれば、私なんぞ