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腎臓 vs 便意の話

ついに入院する日が来た。

一昨日(この時まだ6月半ば)
わたしはステージから客席に向かってダイブしていた。

そんな人間が
今度は大学病院に向けて発射されている。

人生はいつも面白い。


ご存知かと思いますが
私一度左足がロボット(前十字靭帯再建手術)
になっておりまして、その時以来の入院だった。

病室は大部屋スタートだったけれど
とっても静かな大部屋だった。

靭帯が千切れて、靭帯を再建しに入院をした時は
横のベッドがめでたいパリピ女子高生だったので

お見舞いに来た友達と朝から大きな声で
ワンオクの「Wherever you are」を
大合唱しまくられた過去があったので、

隣人トラブルにはかなり警戒していたのだけど
無事に幸せに暮らせそう!パオーン!

いろんな説明を受け、血液検査を受け
カレーを食べ、ベットに寝そべってみた。
今日からここが、わたしの巣になるところだ!

いや普通に帰りてえ。

思い立ったら即行動なので、
早めに退院させてくれ。と看護師さんに伝えてみた。

家に猫がいるので、
早めに家に帰りたいとアピールをした。(迷惑女)

「先生に言いましたか?」と問われ、
「先生のような服を着た人が
2、3種類くらいかわるがわる登場するので
どれが先生か分からない。」と伝えたら

毎日先生が来るので、

その度にアピールしてください

と伝えられた。


ここはアメリカか?!?!



どうやらこの病院は意見を強い意志で主張しないと
通らないアメリカンスタイルらしい。


明日から帰りたいアピールすることになった。
バイトでも仕事でもそう。
帰りたいアピールするやつは基本的にだるい。

視線、態度、言動全てから滲み出る帰りたさは
周りを不快にさせる。スーパー兵器だ。

私は明日から一週間、そういったスーパー兵器に
成り下がるのである。それも猫様のためだ!!!

それと、
私は基本的にこういう公共の場みたいなところで
必ずといっていいほど浮き続ける節がある。

必ずと言っていいほど正義感のある
おばあ様、おじい様に存在をマークされる。
なのでそこも注意していきたい。

どうやら入院中、

私たち腎臓内科に入院してる人たちは、おしっこのATMのような機械に自分達のおしっこを貯金する。

尿ATMが尿の成分を色々チェックしてくれるみたい。

次の日、ビッグイベント腎生検に備えての説明があった。

「まず、腎臓に針を刺し、その後ベットに戻ってきてから24時間は体制に制限があります。」

ふ〜ん、おもしれえ検索🔍

そして、1日が経ち
ついにビッグイベント腎生検の日が来た。

腎臓の細胞を背中からボールペンくらいの針を刺して採取、そして採取した細胞を診て渾身の病名確定診断まで繋がるビッグイベントである。

アーティストにとってのサマソニやフジロックだ。

人生と腎生でビッグフェスを歩むような生き方になってるらしい。座布団500枚くらい欲しい。

夜のご飯を食べたら明日の夜まで何も食べれないらしい。

机の上に並べたポッキーをみて、これも食べられませんと申し訳なさそうに伝えていただきました。御意。

点滴のルート確保といって、
くそなげえまち針みたいな針を腕にブッ刺された。
ここ最近の中でベスト3を争うくらい痛かった。

ついに、腎生検を迎える。

サマソニのデカステージのバックステージにいる気分だった。

その前に小イベがあり、

緊張をほぐすお注射をしてもらう。

何だそのお注射は。

ライブ前にください。

ツアーファイナルの前に打ってください。

そんなことを考えてる間に
緊張をほくずお注射を肩にぶち込まれた。

後だから言えるけどこれが一番痛かった。
緊張をほぐすお注射という言葉からは
想像できない痛みだった。

そして背中に麻酔を打たれる。普通に痛い。
「これ痛いですか?」と聞かれてすぐ大きな声で

「痛いですうう!!!!!」と爪切りの苦手な犬のようにアピールをしまくった。

ここは意思を伝えないといけないアメリカンスタイルの病院だ。

「まあ、背中に針刺しとるからね、そんなもんやね」
めちゃくちゃ普通の回答が返ってきた。
戸惑いながらも痛いことだらけで

なんだか意識朦朧としながら、
その長い針が腎臓を突き刺す時を待ち受けた。

「突き刺す瞬間、バチっ!と音がします!」
と言われて、
何度もそのバチっ!バチっ!の音を聴かせてもらう。
もっと電気的な音かと思いきや、
ピアスのピアッサーのような音だった。

懐かしいあの頃を思い出した。
高校生の時の放課後、ピアスを友達に開けてもらうも
不安で怖いのでお母さんに電話をして、

「ピアス開けてもいいですか?」の確認をとったひのこと。

お母さんは「やめときなさい」と
私にストレートに伝えてきたが、

その電話を切った後速攻穴を開けた。

矛盾のトルネードスネークを吹かせた高校生活だった。


しかし、そんな走馬灯を他所に

私はこの時そんなことはどうでもよくなりつつあった。


なぜかというと、
下向きにずっと寝転んでいたせいで、

便意を催したのである。


こんな人生の一大事の時に

腎臓vsうんち


が脳内で繰り広げられる

もちろん、うんちはできない。
しかし、腸はかなりウキウキである。
もう、今にも、迫り来るような腹痛を与えてくる。


「大丈夫ですか?」と声をかけられるが


とても便意が来てますなどと、流石に
雰囲気ぶち壊しなことは言えない雰囲気が漂う中

「大丈夫です、」と大丈夫じゃないくせに言った

これがジャパニーズスタイルである。

それからも交互に来る

便意!腎臓!便意!腎臓!

の中で、

バチっと音がなった瞬間

ドクターがマジの力ずくで背中を押さえつけてくる。

腎臓は体の中で血液がたくさん通る臓器なので
そんなところに穴を開けるとたくさん血が出てしまうから、止血をしないといけないらしい。人力で。

全力で血を止めにきてくれる気持ちが伝わるくらい
凄い勢いで押さえられてた。

かなりの押さえつけである。犯人を取り押さえる時並の強さ。銀行強盗犯の気分さえも味わえる。

5分に一回血圧を測ってくる機械にこのへんからイライラし始める。いてえんだよ。加減を知らないのかい?全体的に痛えんだよ。みんな。

そうこうしてるうちに、腎臓ピアッサーも終わりドクターに15分間取り押さえられるコースに移った。

15分人に押さえつけられたことがあるかい?

そうこうしてる間に便意がまた強くなる。

わたしは、今すごい体験をしている。
そう心で繰り返し感じながら押さえつけられた。
盗人のネズミのように。

いや、強盗犯も便意を我慢しながら
強盗したやつほとんどいないだろう。

漏れそうになりながら、
警察に捕まる気分を味わえるそんな体験をしていた。

押さえつけられたまま15分が経ち、
今度は背中に重荷が乗った。
2キロらしい。うちのネッコスは5キロ。
そう考えれば軽いと思った。

この瞬間から私は24時間動けなくなる。

立つことさえベッドで起き上がることさえ
許されなくなるのだ。

まず2時間、2分の1ネッコスを背中に乗せて
うつむせをする。ええい、寝たろうと思って
寝たのだが、起きても30分しか経ってない。

む、、ムリぃ!!!!!!!!!!!ー
痛い!!!!!2分の1ネッコスが痛いのか
腎臓が痛いのかさえわからない。

体調大丈夫ですか?とかわるがわる来てくれる看護師さんたちに聴かれるんだけど

痛いです。と言うと微笑まれた。
何かに似てる、歯医者だ。

この人たちは痛い人に微笑みかけてくださる
like a 天使なのである、なるほど(何が)


2時間のミッションを終えた。

ここで言いたいことがある。

本当に大変申し訳ないが

掃除のおじさんの鼻息が荒すぎる

部屋の前に立った瞬間、そのおじさんが来たことわかるくらいの鼻息である。

空気清浄機並みに吐き出している。
フーン、が聞こえた時点で、あ、掃除来てくれた。ってなるのは嬉しい。だけど

4日目にもなると、フーン!が
フーーーーーーーン!!!!!!!!
くらいに感じてヘッドホンをしてエヴァを見る。

入院してる時って、意外と何時間かおきに看護師さんやいろんな人がくるので気が張って寝れないよね。


つづく

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