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「国際教養としてのワインの基礎知識を」NPO法人地球ぶどうの会理事長 前田昌子さん

20年前、ワインの有資格者(ソムリエなど)は福岡に数えるほどしかいなかったそうです。焼酎王国と呼ばれた九州で、初めてのワインスクールを開校し、ワインのプロを大量に輩出すると同時に、ワイン市場を適正化し、飲料業界を活性化して行った前田昌子さん
現在はフランスからの叙任の栄誉に輝き、ワインのコンサルテイングで国内外を飛び回る多忙な日々を送っています。
しかし今最も力を入れているのは、飲料のプロの養成ではなく、二十歳以上の一般人に対するワイン教育だそうです。「国際教養としてのワインの基礎知識」の必要性を説き、大学や企業研修、ワイン検定などを精力的に行なっています。

前田昌子さんプロフィール
出身地:佐賀県
活動地域:全国
経歴:最終学歴京都大学大学院研究生。高校、専門学校などで教職歴あり。ワインスクール、アカデミー.•デュ•ヴァン福岡校開校、理事長校長就任した。ボルドー市福岡市姉妹都市プロジェクトの立ち上げに携わった。
現在の職業および活動:特定非営利活動法人地球ぶどうの会理事長、佐賀日仏協会理事、ワインインポーター(株)ミレジムコンサルテイング、日本ソムリエ協会主催「ワイン検定」認定講師、日本最大級の世界ワインコンクールJapan Wine Challenge審査員
賞罰:ブルゴーニュシュバリエ・デユ・タストバン、シュバリエ・デユ・パルメ、ボルドーコマンドリー叙任
座右の銘:生きるとは呼吸することではない。行動することだ/Living is not breathing but doing.

国際教養としてワインの基本を知ってほしい

Q1.前田昌子さん(以下、前田 敬称略)はどのような夢やビジョンをお持ちですか?

前田 高校教諭の夫との結婚生活38年、大学院生の娘もまもなく社会に羽ばたこうとしています。若い時代にはワイン教育に情熱を注ぐ事もできました。すでに身にあまる叙任も頂いていますので、還暦も過ぎ、自分自身さらにこうなりたいというような希望は特にはありません。

ただこれからのワイン教育の方向性について考えることはあります。
職業としてのワインのプロの養成とは別に、若い人には”国際教養としてワインの基本を学ぶ機会を持って欲しい”という事です。ワインは例えれば英語みたいなものです。英語は海外に行く予定がなくても義務教育の必須科目になっていますね。同様にワインの基礎知識は今や社会人の一般常識、好む好まざるに関わりなく避けては通れない分野だと申し上げたいのです。それほど沢山でなくていい、一通りの基礎知識があれば、仕事や人間関係の円滑なコミュニケーションツールとして役立てることができます。反面自己流のいい加減な知識では、思いがけない場面で信用を損なうばかりでなく、自らの品性や教養のなさが露呈してしまう怖いリトマス試験紙であることも認識すべきでしょう。「私、ワインは詳しくないんです。」は謙虚さではなく、無教養のどこが悪いんだ!という横着さとしか取られないというのが現実です。

ワインの基礎知識を知ってもらう

Q2.その夢やビジョンを具現化するために、どんな目標や計画を立てて、どのような活動をしていますか?

前田 大学や企業などでワインセミナーを行なっています。学生さんにはワインそのものの話の前に、一気飲みがなぜいけないのかという話や、アルコール中毒の怖さについてもお話しします。企業では新入社員研修と幹部研修で内容を変えて講習します。講演のご依頼にはできるだけお応えしたいと思っています。
一般の方が個人的に手軽に講習を受けたい場合には、日本ソムリエ協会主催の「ワイン検定」をおすすめしています。わずか90分の講習ではありますが、ワインに対する不安は一掃されます。https://www.winekentei.com

京都大学大学院特別講義での気づき

Q3.そもそも、その夢やビジョンを持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?

前田 京都大学大学院での気付きです。
ワインスクールを運営していた頃から、ただプロを養成するだけでいいのかという疑問がいつも胸の中にありました。有資格者になった途端、急に尊大な態度に急変する一部の受講生にも違和感や滑稽さを感じていました。そんな時、大学院で特別講義を担当することになり、飲食の世界にいない学生相手に初めてワインの講義を行い、そのリアクションの大きさに衝撃を受けます。サービスする側ではなく実はされる側にもワインの基礎を学ぶ必要性があることに気がついたのです。特に社会組織の頂点で活躍することになる学生達は、早い時期にワインの正しい知識が必要とされることを一瞬のうちに理解していました。

親の恩より師の恩

Q4.「恩師を大切にする」という、発見や出会いの背景には何があったのですか?

前田 思い返せば、私はいつも素晴らしい方々とのご縁に恵まれ、支えられてきました。この環境がなかったら今の私は影も形もありません。現在の私の評価や賞賛も、元を正せば名もなき夥しい数の先人の気の遠くなるほどの努力による恩恵であり、私が一人で成得たものなど何一つないのです。たとえ地球の裏側からでもご恩を頂いた方には子々孫々感謝を捧げるべきだと考えています。「親の恩より師の恩」と申します。特に恩師にはいつまでもお元気でいてほしいと願っています。

記者 ありがとうございました!ブルゴーニュのシュバリエを叙任されているのは全国で約300名、福岡県ではお二人のみ、前田さんはそのうちのお一人と伺いました。ボルドープロジェクトでは現地フランスの生産者と一から厚い信頼関係を構築し、毎年行われるワインコンクールの審査員としても活躍されている、ワインスクールで輩出された沢山の生徒さん達はワインのプロとして世界各地で活躍している、といういわばワインの世界の大御所にも関わらず、その視点は頂点ではなく、一般に向けられている所に深い感銘を受けました。

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前田昌子さんの活動、連絡については、こちらから
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書籍:「10日でわかるはじめてのワイン」・「女性・演劇・比較文化」等

講演の依頼:「講演の達人」:https://www.entatsu.com

SNS:https://www.facebook.com/shoko.maeda.923724

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【編集後記】インタビューの記者を担当した熊倉と水上です。

九州ワイン界の重鎮前田さんが大切にして来られたものは、何か突飛なことではなく、意外なことに、一にも二にも「信頼」でした。「還暦過ぎてるし、もう引退なんだけどね」と仰る前田さんですが、この先も目が離せないドキドキ感いっぱいです。熟成によって花開くワインのように、今後益々のご活躍を祈念いたします。貴重なお話を、本当にありがとうございました!

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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。


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