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日々掌編短編小説(そよかぜの千夜一夜物語)

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2020年1月1日から、ほぼ毎日掌編小説を執筆中。東南アジア小説をはじめ、興味のあるあらゆるジャンルをネタにして作品を発表しています。ちなみにこちらには「書き下ろし」としてしばら… もっと読む
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2020年8月の記事一覧

8月31日の夜に

「ああ、もう暗くなっている。数時間後には9月か。こんなに1日って早く過ぎるものだっけ」  …

殺人事件の3日後に

 これははるか昔に起こったとされる、ある殺人事件の3日後の話。  早朝、まだ明るくなりか…

2020のゆくえとその後(Barらくご・後編)

中編はこちら ーーーー  突然現れた裏落語家:九笑亭魔法陣(きゅうしょうていまほうじん)の…

裏落語家の話と噺(Barらくご・中編)

前編はこちら  ーーーーーーー  常連客の要望により、自らの店を貸し切って落語を披露する…

図書館のようなバー(Barらくご・前編)

「おお、いらっしゃいませ」「あ、よろしくお願いします」  西岡信二は、一緒に来たニコール…

旧暦の七夕

「ええ、どうしたものかしら。ねえ、エドワード。相談したいんだけど」 「あ、なんだジェーン…

動物の先生の裏

この作品は、こちら の裏設定です。単独でも楽しめますが、セットで楽しんでいただくとより面白いかと存じます。 ーーーーー 「理事長、吉川です」「おう、副校長。お忙しい中申し訳ないな」  ある日の午後の昼下がり、朝比奈学園理事長の朝比奈は、当学園の小学校副校長の吉川を理事長室に呼んだ。  朝比奈学園は、日本有数の財閥組織である朝比奈コンツェルンの経営する学園である。教育事業にも力を入れており、私立の幼稚園、小学校、中学校、高校、そして大学を所有していた。出来て10年もたたな

動物の先生

「あ、猿先生ごめんなさい」小学4年生の山田楓太(ふうた)は、登っていた桜の木から慌てて飛…

ミニュチュア世界のパラレルワールド

 「あれ、ここは?」鶴岡春香は、目の前の光景を見て目を疑った。そこには、マネキンのような…

越南の春巻きを作る

「おいお前、ダイニングテーブルに食べ物の材料を広げて何始めるんだ?」「あ、これマリコに昨…

富士山頂に響く音色(後編)

こちら の後篇です。  富士宮口5合目から、どうにか一歩つずつ登りつづける大樹。富士登山3…

富士山頂に響く音色(前編)

「お、萌からじゃ。お前の姉さんがワシにネタを送ってくれたぞ」 「へえ、姉さんからなんて珍…

ラーメンの紋様

「では、お電話ありがとうございます。私伊豆が承りました」  伊豆萌は、2か月前からこのコー…

騒音

「けっ!うるさい連中だ。その上あの野郎。老人のくせに間違いなく俺に殴るかかろうとしやがった」  新宿の繁華街の外れにある小さなバーで一人不機嫌なのは、真一という30歳半ばの独身男。このバーは真一が最近行きつけの店で、ほぼ毎日通っていた。ところが店の防音設備が不十分のために深夜になると、毎日のように「騒音がうるさい」と、近隣からの苦情が多い。  バーのマスターも日々苦慮している。それを気にした真一であったが、この日の夜も「今何時だ!うるさい!!」と苦情が来た。そのことをこれ幸い